そこにある必然

「最近の広告のなかでは、SoftBankのプププっていう音が1番やと思う」

とブログに書いている人がいた。

納得。どんなクリエイティブよりも企業の気配を察知させられるあの音。

心を鷲づかみにされるグラフィックもなければ、心を打つコピーもない。

けれども、

プププッ=SoftBankって刷り込みは他社ケータイを使う人にも認知済みだし、着信を知らせるという機能性がちゃっかり“必然”でもあるし。プププ。

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先日、カンヌ広告祭の報告会に出席した。

その中で、サイバー、チタニウム両部門でWグランプリに輝いたUNIQLOCKの制作者、田中耕一郎さんのビデオインタビューが紹介された。

「PC上で、“そこにある必然”をつくればコミュニケーションとして強いんじゃないかと考えた。それが時計だった」

なるほど、“必然”ほど強力なものはないのかも。

生活や風景にとけ込んでいるものは誰も排除できないし、受け入れていることを意識することもない。

そのスキマに入れるか否かは、ほんと微妙。
センスとか仕上げ力とかがモノを言う世界。

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田中耕一郎さんのことばの続き。

「けれど、時計とUNIQLOがどう結びつくのかなぁ?って。
 ある日、UNIQLO+CLOCKでUNIQLOCKという言葉を思いついて、すべてがパッとつながったんですよ」

言葉が突破口を開いた。
それも印象的なエピソードだと思った。


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職