メモ

今、夜更かしして攻殻機動隊を見てるんだけど、
やっぱ面白いです。都市を描ききってる。

アニメーションという虚構を、いかにリアルなものへと
昇華するかは、都市・環境を描ききるというところに
かかってるんじゃないか?と思いました。

そこが嘘を嘘と思わせない最低限のプロットだと。

AKIRAもしかり。ナウシカ(アニメ、マンガとも)しかり。

虚構の都市を描き、その中で生活する登場人物たち。
それにこそ、リアリティを感じます。
キャラクターの魅力以上に。

「耳をすませば」も、そういうリアルを狙って現代の、
しかも実在する街を描いたらしいけど、僕はSFの街の方が
ぞくぞくするようなリアル感を覚えます。なぜだろう。

それには、都市とは何で構成されているかを考える必要があります。

思うに、都市というのはコンクリートで出来ている。
で、アニメの中のコンクリートというのは、見ていると
往々にして湿気にまみれているということに気付きます。

雨に濡れていたり、蒸気を浴びていたり。

この湿気が、コンクリの年月や質感を(セル画にも関わらず)伝えて
くれるんじゃないでしょうかね。それがそのまま都市の量感になる。

都市の存在感です。

さらに蒸気のうごめきは奥行きと動きの演出を高めてくれます。
攻殻機動隊はそれら蒸気や湿り気の演出力を教えてくれます。

そういえば、森山大道・畠山直哉の撮る都市風景も濡れている。

 

話は変わりますが、
AKIRAの舞台はネオ東京ということらしいけど、
僕は攻殻の方が東京らしいんじゃないかと思えます。

「無国籍な都市を描こうとしたら東京に近付いてしまった」という
話を聞いたことがあります。そんでもって、逆にAKIRAの舞台は、
東京というよりはむしろアメリカに近いんじゃないかなぁ。

なぜかはわからないけど。

あなたは
「AKIRAの画は乾いているからアメリカの乾燥地帯ぽいんじゃないか」
と言っていましたが、それもあるでしょう。

加えて、あの衣装。まるでマイケル・ジャクソンです。
80年代的空気が、アメリカ的空気と言ってもいいのかもね。
AKIRAはちっとも未来じゃないよな。それで構わないのだが。

未来都市というものに、僕は
下水のじっとりとした湿り気を感じずにはいられません。
常套手段かもしれませんが、いわゆるツボなんです、きっと。


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職