西東京のメモリー

今日、7月14日は3度目の結婚記念日。
1週間前に思い立って箱根の旅館を予約して、
付き合って13年目にして初(!)の二人旅を敢行した。

その2週間前、僕は立川にいた。

これも急に思い立って、
1999年に上京してから7年間を過ごした
立川を気まぐれに歩き、当時ヘビロテしていた
ミスチルの『Atomic Heart』や
くるりの『東京』を
iPodで聴きながら思い出を散策。

立川は妻と出会った美術予備校がある。
立ち寄ってみたけどあいにく日曜で閉まっていた。

予備校から6年通った大学、
そして新卒入社してからの半年間の
あわせて7年半住んでいたアパートに向かった。
かつて以上に掃除が行き届いていないこと以外は
何も変わっていなかった。

友達がふざけて鍵で書いた玄関前のラクガキもそのままだった。

 

ラクガキはやめましょう。
ラクガキはやめましょう。

 

街は駅前を中心にデパートや駅ビルが新たに建ち並び、
その代わりに薄汚い雑居ビルや違法駐輪の一帯が整理され、
ずいぶん都会になっていた。

帰り際、よく通っていた定食屋で
メンチカツを食べようと思ったけど、
店じまいされていた。

自分が訪れるよりもずっと前にそうなっていたんだろう。
なのに、突然来て、勝手に感傷的になっているのが
なんだか身勝手な気がした。

第二の故郷は、ほんとうの故郷とちがって
帰るべき家も寄るべき友人も何もない。
あるのは自分の記憶と友達が残したラクガキだけ。

 

それに比べて旅は気軽でした。
新しい場所は辿るべき感傷コースがない。
観るものすべてが新しい。

 

ロープウェイから見下ろす大涌谷(おおわくだに)の温泉地帯。
ロープウェイから見下ろす大涌谷(おおわくだに)の温泉地帯。

 

無計画に宿だけ取って
ロマンスカーで行った箱根は
妻のジャニーズ好きがおおいに役だった。

ケーブルカーからロープウェイに乗り、さらに船で
芦ノ湖を南下し、観光らしい観光を楽しめたが、
すべてHey!Say!JUMPのバラエティ番組で
八乙女くんと藪くんと石原良純が訪れたコースらしい。

デブとは言わないが出不精の妻を旅に連れ出すには、
ジャニーズの旅番組を見せてからにすればいいんだ!と
結婚4年目にして学んだ。

彼女は旅先でも自分の好きなものを追っかけている。

 

僕は何を追っかけて立川まで行ったんだろう。


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職

「西東京のメモリー」への2件のフィードバック

  1. 故郷は生まれた場所だけじゃなく、思い出がある場所は全部故郷ですね。二人で旅行に行った場所もいずれ故郷になりますよ。

    1. 記念日を大事にしようと思えたのは禎さんのおかげです。最初の記念日をちょっといい思い出にできたのはアドバイスがあったからで。故郷、もっと増えるといいなぁ。

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