“Happy”に乗っかりたい気分づくり

Pharrell Williams – Happy

このWebサイトがクレイジーで気持ちいいんです。

アメリカのシンガーPharrell Williamsの“Happy”という新曲のために公開されているこちらのサイトは24時間ぶっ通しで見せるユニークなプロモーションビデオ。

どんな趣向かというと、およそ4分の曲を24時間ひたすら連続再生でループし、その間一曲毎に毎回違うダンサーがそれぞれのパフォーマンスを見せるというもの。
その場のシチュエーションなどはその時間に対応したものになっており、ユーザーは自由に時間を進めたり戻したりしながらダンサーを次々と切り替えていくことが出来るインタラクティブな造りになっています。

K’confより)

どこをどう切り取ってもカッコイイ
どこをどう切り取ってもカッコイイ

Pharrell_Williams_Happy03

ところどころに出てくる有名人を探すのも楽しく、シンプルなルールでいつまでも見続けられるのは本当に気持ちいい。YouTubeでは再生回数が2億を突破しているとか。

世界各国の都市バージョンも派生しているらしく、たとえばスター・ウォーズ(都市っていうか星じゃん)。

そして4月29日、原宿バージョンも公開されました。

http://youtu.be/rVvUxM0ywrc

出演者は、オープニングを務めたファッションブランド「FIG&VIPER」クリエイティブディレクター植野有砂をはじめ、渋谷区長の桑原敏武やビームス代表取締役社長の設楽洋、ユナイテッドアローズ取締役会長の重松理、SHIMAの奈良裕也、FALINEオーナーのBaby mary、Yusuke Devilといったファッション関係者に加え、二足歩行ロボットのASIMO(アシモ)やプロレスラーの蝶野正洋まで多彩な顔ぶれだ。

Fashionsnap.comより)

すこし前の『恋するフォーチュンクッキー』のような流行り方かも。上手い下手関係なくダンスで繋がれるって、もう見ているだけで幸せ。しかも原宿バージョンは作り手の狙い通りに原宿へ行きたい気分にさせてくれます(ボクの場合、原宿=職場だけど)。つまり観光コマーシャルになってる。

そういう点もふくめて音楽がもつ、人を取り込む力って改めて魅力的。全世界で大ヒットしている『アナと雪の女王』も、冷静に考えたらトンデモなストーリーはお構いなしに音楽でヒットしてる(と思う)けど、素人によるアフレコ動画のアップが流行ってたりするし。素人が真似したくなる、参加したくなる音楽になっていることが流行のポイントなのかな。

気がつけばファレルの『Happy』、絶賛ヘビロテ中です。

チームPerfume / テクノロジーで“想い”を身にまとう

昨日、全国ツアーが発表されたばかりのPerfumeですが、昨年の夏に河尻亨一さん主宰のもと出版された『クリエイティブ手帳』に寄稿したPerfumeに関するコラムを掲載します。

 

私たちは Perfume
ここに来た
日本は遥か東 出会うために
世界と 私たちと みんな
ここに立つ
日本とつながって 伝えるために
世界に

2013年6月20日、Cannes Lions 2013での電通によるプレゼンテーション「Happy Hacking: Redefining the Co-creation Frontier(ハッピー・ハッキング:共創の最前線を再定義する)」でゲストとして迎えられたPerfume。冒頭の言葉は、世界中から集まった4,000人もの広告関係者が見守る中、メイン会場であるグランドオーディトリアムのステージから世界に発した彼女たちの挨拶(メッセージ)である。

厳かな雰囲気から一変し、小刻みなビートと衣装に映し出されるプロジェクションで始まる『Spending all my time』エクステンデッドミックス。この模様はCannes LionsオフィシャルYouTubeでも全世界に生中継され、世界へのお披露目となった。

prfm_cannes04

日本で固唾を呑みながらモニタにかじりつくように見ていた僕・・・・を含めたTwitter上のPerfumeファン(Perfumeクラスタ・通称 パフュクラ)は「いいぞいいぞ!」と、まるで甲子園に出場した母校を見守るかのような緊張と連帯感をタイムライン上で共有していた。しかもプロジェクションマッピングで3人の全身に投影されていたのは、サイバー部門でSILVERを獲得したグローバルサイトに集約されたファンからのツイート。僕のタイムラインでは「俺もカンヌデビューw」というツイートも見られた。

冒頭の「日本とつながって」を体現したこの粋な演出こそが、2010年よりPerfumeのLIVEアクトの演出を手掛ける真鍋大度氏(ライゾマティクス)の真骨頂だと思う。これまで数々のテクニカルなアプローチから、ファンとの間に物語を紡ぎ出してきた。メンバーのあ〜ちゃんはこの日のことを

「みんなの想いでPerfumeはつくられているんだっていう、前々から私が思っていたことを形にしてくれた」

と、後日ラジオでしみじみと語っていた。

perfume01ここで「Perfumeグローバルサイト」について触れておこう。世界展開にあたって、ワールドワイドに自己紹介する拠点として生まれたWebコンテンツにもかかわらず、肝心の彼女たちの顔写真やアートワーク、PVなどは一切ない。不親切なほどに情報がなく、あるのは中田ヤスタカ氏のバキバキのBGMと、それに合わせて踊る3人の3Dモデリング映像のみ。

当初は、ノンバーバルな世界観の中で最小限の構成に絞り込んだ「記号としてのPerfume」をキャッチーかつミステリアスに体感してもらうことが狙いなのかもしれない(海外ファンにはYouTubeという強力な補完サービスがあるし)と思ったが、実はそうでもなさそう。

perfume02いつでもつながれるオンライン上の「ステージ」は、公開時からツイートを集積してビジュアライズする機能を持っていた。ティザーサイトは専用ハッシュタグでツイートすることで3人の3D CGによる全身像が浮かび上がる。それはハイコンテクストな「ファンレター投稿」。さらに3人の3Dデータをダウンロード可能とし、コアなファン(でありクリエイター)たちによってさまざまなテクスチャーで踊るダンシングビデオが作られたり、3Dプリンタで3人のフィギュアが作られたり。もはや「海外への自己紹介」としてのグローバルサイトではなく、3人とファンをつなぐプラットフォームになっている。ノンバーバルな顔して、言葉を集積する装置だったのね。

この一連のプロジェクトはふつうに彼女たちの音楽を聴いて応援するライト層にとっては敷居が高いと思われるが、真鍋氏には「あえて少し挑戦的なアプローチをする方が受け入れられる」という思惑があったという。「つくれるファン」への過剰サービスに、「つくれるファン」は過剰に応える。それが世間一般でのPerfumeのブランディングにもつながっている。超不親切で、超親切。ひとことで言えば、尖ってる。

やがてサイバーな「場」に集まったファンの言葉やアクションは、LIVEのプロジェクションマッピングによって3人の生身の体に“還元”される。それは本人たち自らが「想い」を身にまとった瞬間だった。カンヌのサイバー部門でSILVERを得たグローバルサイトは、その賞を授与されたレッドカーペットの先にあるステージで完成したのだ。

Web

そんな粋で手の込んだ演出を下支えする技術もすごかった。舞台袖からリモコン制御で5回も変形させていたという衣装や、正確かつ俊敏に踊る3人の全身とリンクするプロジェクションなど、開発と実証、リスク回避策まで練られた装置をたった2ヶ月で準備したというのだから脱帽。まじで。

当日の舞台裏を真鍋氏自身はこう振り返る。

「当初与えられたセッティング、キャリブレーションの時間は始まる直前の15分間のみ。メンバー3人は本番までステージに立つことは許されずぶっつけ本番でやるしかないという非常に厳しい条件で、さらに彼女達は大阪でライブを終えてすぐに渡仏してライブという過酷なスケジュールでした。当日の会場のセットも、その日まで分かんなかったもんね(笑)。 」

『Perfume at Cannes Lions! 真鍋大度&菅野薫が、共創の最前線“ハッピーハッキング”の想いを語る』より)

そんな裏方の苦労はみじんも感じられず、ただただ彼女たちのパフォーマンスは日本人ならではの「所作」と呼びたくなる優雅さにあふれていた。真っ暗なステージに浮かび上がるカラフルなグラフィックは万華鏡のようで、直線の美しい純白の衣装は折り紙のよう。複雑に折りたたまれ、リモコン制御で動くプリーツは現代版の歌舞伎の早替えである。決して単純に海外受けを狙ったものではないだろうが、「そう見てしまう」自分がいる。Twitterではすぐさま3人の衣装をキャプチャしてギミックを紹介してくれる人までいて、ありがたい。

 

たった8分間ながらも強烈なビジュアルを披露したLIVEは、Perfumeの個性の一部を象徴的に切り出して幕を閉じた。

「今までできなかった、MVとかの映像の中だけで合成していたようなCGとかが、ライブで見せられるようになったのは、三人だけで立つステージに無限に幅が広がったなと思います」(『Switch』Vol.31・かしゆか)

「大度さん達がいなかったら、こういう前衛的なことをしてるグループには絶対見えなくて。だからPerfumeのかっこいいイメージをつけてもらってます」(同・のっち)

広島出身の、売り出し方を秋葉原あたりで彷徨うアイドルから一転、中田ヤスタカプロデュースにより「テクノポップユニット」としてオリジナルの位置を不動のものとしたPerfume。もともと肉声をヴォコーダーで変換されることで注目を浴びたテクノポップユニットは、LIVEパフォーマンスやファンとの接点でもテクノロジーを武器にすることで飛躍した。とまとめると3人がロボットのようだが、ロボットのように振る舞える肉体と表現力、それに相反するチャーミングな人間性に引き込まれる。って、完全にファンレター投稿になってきたぞ。

チームPerfumeのHappy Hackingは、これからもさらにHappyな世界を私たちに投影してくれるだろう。すべての想いをインプットし、その身にまとって。

(2013年8月31日寄稿のテキストに加筆・修正)

 

そして今。

昨年10月に発売されたアルバム『LEVEL 3』を引っさげて東京・大阪の2大ドームで行われたツアー Perfume 4th Tour in DOME 「LEVEL3」 (初回限定盤) [Blu-ray] は必見です。これについてはまた今度じっくり書きたい。

Blogなんで自分の好きな曲についてダラダラ書くよ。

http://youtu.be/FzVjxVQgVDs

『Yes-No』(1980年)
オフコース、あぁ、名曲や‥‥。

中学高校と、オーディオマニアの父とフォークソングファンの母に影響されて、中学の入学祝いに買ってもらったKENWOODのコンポで聴きまくったのが、このオフコースと、井上陽水、安全地帯、中島みゆきでした。家に母親のカセットテープがあったから。

高2の夏から友達に勧められてRADIOHEADやBjorkなどへと傾倒していきますが(ハードはMDウォークマン)、田舎の思春期のガキにとっては『Yes-No』がまぶしすぎる原体験。言葉にすると陳腐だけど、日本語の歌詞の奥深さとメロディで描かれるドラマ性に衝撃を受けたものでした。

とくにオフコースと安全地帯は今でもほんとうに素晴らしくて。
声とアレンジが。

『碧い瞳のエリス』(1985年)。
安全地帯、最高や‥‥。

この曲の作詞をされている大御所・松井五郎さんが手がけられた名曲『ふたりの夏物語』。その作曲家・林哲司さんと近年タッグを再び組んで作られた曲があるので、お聴きください。

http://youtu.be/RRlB4lNeY7c

『涙目のアリス』(2012年)
玉井詩織(ももいろクローバーZ)

いいなぁ、80年代トレンディドラマ風のこのマッシュアップも込みで。
(動画作者さんの『ももクロと警察』も秀逸です)

なんなんでしょう、この歌詞とメロディとアレンジから来る王道感。
2012年じゃなくて1985年くらいから歌い継がれてきた名曲のような。

ただ貼りたかっただけのキャプチャ。
ただ貼りたかっただけのキャプチャ。

企画物アルバムの1曲とは思えないクオリティに、アイドルかくありき!と思わず納得してしまう。

そんな80年代J-POPを彷彿とさせるこの曲のピッチを落としたものがこちら。

しおりん、大人や‥‥。
「昔、中山美穂が歌ってて、それがコレなんだよね〜」とサプカルクソ野郎がLP漁りながらこれ見よがしに言ってきたら信じてしまいそう。

玉井さんもいつかこんな落ち着きのあるしっとりとした歌い方をする日が来るのかしら。

脈絡なくつづけます。

『グランドでも廊下でも目立つ君』(2010年)
作詞・作曲 つんく♂

Berryz工房の須藤真麻さんと熊井友理奈さんのデュエット曲。これまた素晴らしい。熊井さんの声とこの曲の透明感はいまいちマッチングしないんじゃないか?と思ったりもしましたが、LIVEで観て謝りたくなりました。かわいく歌う。これに尽きます。オフコースじゃないんだから。

 

まとめられなくなってきたので、無理矢理まとめると、かわいく歌う!& シンセサイザー最高!(違)

というわけで、この人を避けて通ることはできません。
お聴きください。
tofubeats『Don’t Stop The Music』feat.森高千里(2013年)

 

避けて通れない人と組むtofubeatsさんの避けて通れないセンスに注目です。
おしまい。

計画性のない元美大生のキャリア設計

「美大生が社会人になるってどゆこと?就職ってすべき?好きを仕事にするってできるの?‥‥大丈夫、病気で休学したり単位が足りなくて留年したりした先輩もなんとかやってるよ!みたいなことを、お前の言葉で伝えてほしい」

ざっくり言ってそんな用命がS教授から来たのは、2013年7月のことでした。

身の丈の身の上話ならできます、ってことで9月に新宿の椿屋珈琲で打ち合わせ。学生時代にお世話になりっぱなしだった教授と会ったのは何年ぶりだろう。クラスメイトと結婚したことを報告せずにいた不義理を詫びるも、先生は終始笑顔。昔と変わらず福山雅治よりも低い美声に、おのずと背筋が伸びる。

聞けば講義の日程は11月。まだぜんぜん時間ある〜。と思って2ヶ月ほど何もせず、パワポに言葉をまとめたのは前夜でしたが、気がつけば78ページの大作ができあがっていました。

 

11月19日、母校の武蔵美で講義。

『キャリア設計基礎』だったかな?150人くらいの後輩たちを目の前に90分間、自分の学生時代から現在のキャリアまでをお話ししました。

スライドの一部。
スライドの一部。

おおまかにはCINRA.jobさんでインタビューしていただいた内容とかぶることも多いけれど。まずは、今の仕事が学生時代の「制作」と同じで「実験」の要素をはらんでいるスリリングな内容であることを、具体的な事例を通して(話せる範囲で)話しました。

美大の制作と似ていると言いつつも、それは単純な創作活動ではなく経済活動でもあること、学生時代には有耶無耶にもできた「納期」や「事情」の存在、そして「課題解決」のためにやる仕事であることなんかも、しっかり押さえながら(この辺の話をしていると自分で自分に説教しているみたいでつらい‥‥)。

さまざまなプロフェッショナルたちの力が結集して、実現不可能と思われていたことが具体化される。その醍醐味は武蔵美にいた頃の創作とは比べものにならない規模感とスピード感。スリリングで楽しい。

けれど、学校の12号館に籠もってみんなに手伝ってもらいながらつくった作品だって、小宇宙の中で果てしなくスリリングで楽しかった。あれは逆に「卒制」という独特な時間軸の中でたっぷりと試行錯誤できました。何度も何度もやり直しながら、無駄を踏みながら、自分なりの切り口で自分なりの美を形にできた。時間をかけることが仕事だったと言ってもいいかもしれません。今となってはその時間が財産。

卒業制作をまとめたポートフォリオ。つくったのは、3メートル四方の水を張ったスクリーンに映像と静止画を投影するインスタレーション
卒業制作をまとめたポートフォリオ。つくったのは、3メートル四方の水を張ったスクリーンに映像と静止画を投影するインスタレーション

 

仕事の紹介をしたあとは、武蔵美で僕がどんな風に過ごして「広告」や「インタラクティブ」という進路に出会ったか?について。

もともと高校時代に『広告批評』と『ACC CMフェスティバル』に出会い、大貫卓也さんに憧れていた自分。一浪して入った大学で大貫さんの講義を聴講して大興奮し、CM論という授業で元電通の小田桐昭先生と出会えた。小田桐先生の授業の中で岡康道さんに心酔した。中島信也先生の授業で「おもろい大人がいっぱいいる」ことに未来が明るく感じられた。

大事なことは「心の師匠を複数人もつ」。

(ここで『プロフェッショナル 仕事の流儀』風にピアノでぽーん!と鳴ってほしい)

僕自身でいえば、この講義を依頼してくれたS教授と、前述の小田桐先生。

ポイントは「複数人」です。ひとりの大人に傾倒するのは、自分に幅を持たせる意味では逆行しちゃうから。指針がたやすくぐらついてしまう若いうちだからこそ、心の師匠はひとりに絞り込まなくていい。ドハマりするけどちょっと浮気性、くらいがちょうどいい。と思います。

さらに言うと、(僕はなんだかんだで6年いたけど)4年間で追求するテーマもひとつに絞り込むんじゃなくて、ふたつの間を行ったり来たりするくらいが逆に深みを与えると思う。僕の場合、映像学科で写真を専攻し、写真をギャラリーで展示したりWeb上で毎日アップロードしたりする表現行為と、好きだった広告の世界が重なり合ったところに、将来的な行き先となった「Web広告」、「インタラクティブ広告」がありました。

その進路決定は行き当たりばったりで「キャリア設計」などという明確な指針は皆無。でも足場を二つもつことでいい迷いが得られたんだと思います。写真家になるのか?なりたいのか?広告制作者になるのか?なりたいのか?僕なりに迷うことができた。写真をやる中でWebにアップしたり、その写真が海外の人から感想をメールでもらえるようになったり、宣伝のために始めたBlogに反応があったり、そういう経験の先に「あるお題を達成するために、コミュニケーションで人を動かす」というテーマが待っていた。それが飯の種になった。そんな感じです。

だけどそれも振り返ってみて初めて、点と点がつながって見えてきたこと。渦中にいる学生時代というのは気づけないものです。気づくのは後でもいいから、超めぐまれた今の環境を使い倒しておくれ!‥‥老婆心で話しました。ま、そんなことは、外からなんと言われようが、卒業してみないと分からないんだけど。

 

僕のいた映像学科では、3年生の冬に学科全体で「進級制作展」という卒業制作のプレみたいなイベントがあります。
広報の責任者になった僕は、今見たらどうしようもなくしょぼい公式サイトを作り、90人の同級生から作品タイトルとコメントと顔写真を集めてパンフレットも作り、学内に貼るポスターも友達とデザイン。その作業の中で、大事にしたことが2つあります。

ひとつは、パンフレットのプロフィールは必ず顔写真を掲載すること。

シャイボーイ、シャイガールの多い美大です。晒すのは顔じゃなくて作品だろう、と考える人が多い美大です。案の定、顔写真なんてアルバイトの履歴書以外で提出したくないと言い出す人たちも少なくなかったけれど、伏し目がちでもシルエットでもいいから、写真であることにこだわりました。

理由は、卒業後にふとこのパンフレットが部屋の奥から出てきたときに「時間の経過」を感じてほしかったから。卒業アルバムのように。それにはイラストじゃなくて顔写真がマストです。進級展の図録にそんな機能は不要といえば不要ですが、ただ必要に迫られてつくる、というのがイヤだったんだと思います。

もうひとつは、お客さんの導線をリアルタイムに修正すること。

人の流れが悪いところを見つけては、案内板を毎日つくって問題の箇所に貼り出していきました。当時は佐藤可士和さんの「行動デザイン」という言葉にシンパシーを感じていたので、「行動をデザインするんだ!」と鼻息荒くやってました。今の仕事でやっている修正作業となにひとつ変わらない。

展示を「運営」の側から関われたことが、今の広告業をする上での下地になっているのは間違いないです。

 

最後に。

大学という場所は、20歳そこそこの人間にとっては吸収しきれないほど恵まれたモノやコトやヒトであふれています。その環境の中で、あとの人生を運命づけるほどの原体験をどれだけ得られるか?

同じ環境にいても在学中からアーティストとしてデビューして名を馳せるカリスマくんもいる。今はTwitterやSNSでつぶやけば世界に作品をUPできる。その開かれたフィールドで「いいね!」をたくさんGETしている「友人」を見て焦る必要はないと思います。数値に換算できなくても、分かりやすい形で目に見えなくても、親は説得できなくても、原体験は今も体験中かもしれない。大事なのは「自分と対話すること」。

 

12

 

なんでも効率化が叫ばれる今の時代に、
親に土下座して高い学費を払って
美大なんてところに来てしまったあなたに。

Instagramやお絵かきアプリでオシャレな写真やイラストが
誰でも「作れる」時代に、それでも自分でなにかを
作ろうとする殊勝なあなたに。

この先、自分の「強み」や「好き」を発揮する場所は
想像以上にいくらでもあること、なければつくればいいこと、
そのために今、原体験を得ること。

そのために、大学へ「通う」こと。

以上を、休学と留年をしたダメ先輩からの贈る言葉とします。
来ている人たちに言っても意味ないんだけど。

90分間も得体の知れない人間の話を聞いてくださってありがとうございました。

 

追伸。

久しぶりに訪れた母校のゼミ室で、進級制作展のために撮った自分のプロフィール写真のコピーが貼られているのを発見。

当時公開中だった映画のイ・ビョンホンみたいな写真が撮りたい!と言って撮った一枚。
当時公開中だった映画のイ・ビョンホンみたいな写真が撮りたい!と言って撮った一枚。

10年前の自分とまさか対面するとは‥‥。
当時協力してくれた同級生の優しさと、時間の経過を感じずにはいられませんでした。

てか、誰が貼ったんだ‥‥。

ノリの良い友達に恵まれてたんだなぁ。

靭帯ってどこ?

昼間、5つ下の弟と高校サッカーをテレビで見ていて、
10年前に彼が県代表で出たときの話に。

国立競技場を行進する弟を、
両親と彼女(今の奥さん)と見たのは鮮明に覚えていました。

ゴスペラーズが歌ってた。
二回戦で敗退したときの相手校・石川県の星稜高校に
あの本田がいたことは、10年目にして知った。

そっか、俺は17歳の本田を見てたのか。

顔も性格も体格も似てなさすぎる兄弟。

かたや休日は彼女や友達とドライブ、かたやゴールド免許。
かたやスペインリーグおたく、かたやモノノフ。
日産スタジアムで見たのは、かたやロナウジーニョ、かたやあーりん。

28歳になった今も京都の1部リーグでレギュラーをやってる弟。
そのことも今回の帰省で知りました。
秋に靭帯を切ったらしい。

へえ、で、靭帯ってどこ?

顔も性格も体格も似てなさすぎる兄弟。
愛媛を出て深夜の高速道を東へひた走ってます。
弟のHONDA車で。

アウトプットするよ。

新年あけましておめでとうございます。

2013年はWebディレクターという職種に慣れるための一年でした。

正直、まだまだ。

自分の至らなさに自分が翻弄されるという状態に、ちょっと疲れたなぁ。周りにもずいぶん迷惑をかけました。

そんな中、また一緒に仕事がしたいと言ってくれる方々がいることに救われます。挑戦できるステージがあることに感謝しながら、もっとチャレンジングな仕事がしたい。

 

昨年は個人活動でも取り組む舞台を与えてもらえた年でした。

年の初めに、前職の後輩・長谷川弘佳さんに誘われてレシピブックのコピーワークをお手伝い。

夏は『広告批評』元編集長の河尻亨一さんに声を掛けてもらい、2013年のカンヌライオンズをまとめた雑誌に、Perfumeに関するコラムを執筆させてもらいました。

11月、母校・武蔵美の教授に呼ばれて人生初の講演をしました(その模様は別の機会にアップします)。

どれも刺激的だったなぁ。
自分の言葉で書いたり、話したりすることが、誰かの手に渡って形になる。意味を持つ。その醍醐味を知った年でした。

第一義は目の前の仕事だけど、今年は個人の活動ももっと広げていきたい。

だから、今年のテーマは「アウトプット」。

それが一人前にできるためには、仕事の方のレベルアップが欠かせないんだけど。

 

本年もよろしくお願いします。

巨大神殿からの脱出

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幕張メッセで前代未聞の3000人規模で開催されたリアル脱出ゲーム『巨大神殿からの脱出』のデバッグ公演に行ってきた。

謎制作のSCRAP加藤さんと堺谷さんには『ビックロ機密文書を探せ!』でもお世話になりました。

再演の可能性があるのでネタバレになることは一切書けないけれど、謎を解いて次のステップに進む快感はやっぱり気持ちいい。

本公演のあとの加藤さんのBlogを読んだ。世界記録、おめでとうございます。

 

そうそう、舞台の裏側を見せてもらいました。
クラタスの生みの親、倉田さんにもお会いできました。

DSC05835

壁面にうつる影は演出ではなくて、パイプ椅子の作業場もリアルな作業場。
クラタス、超かっこよかったっす。巨大な造形物への畏敬の念が半端なかったわ。

木谷さん、ありがとうございました!

R-40 〜サプライズ〜

社長が40歳になったので、サプライズでバースデーパーティーをしました。

社員と外でミーティングをしたあと、まだ改装工事中の3階に呼びつけ、隠れていたゲストのみなさんや社員全員がわっと出てきて「おめでとう」のシャワー、特注のケーキ、国内外のさまざまな方によるビデオメッセージ、そして奥様からのお手紙ムービー。

改装中のオフィスで強行サプライズ!
改装中のオフィスで強行サプライズ!

「泣かせる」という目標は達成できました。それだけで満足。

しかも、前日の深夜3時に社長の奥様宛に送った、

これは一案ですが、まずは動画を見てもらって、
他にも集めているいろんな方々のビデオメッセージも織り交ぜて
「あぁ素敵なビデオメッセージや〜」と思わせておいてから、
最後に手紙ムービーで一気に泣き落としに入る!という、
まさかのサンドイッチ作戦というのもありかなと思いました。

というプランがそのまま採用され、狙い通りのビデオを作っていただけたことに感謝しきり(東北新社のK様、ありがとうございます!)。プランナー冥利に尽きるというものです。一部、若気の至りに走っちゃった写真のチョイスと組み方に修正を入れたいところはありましたが、それもご愛敬。

みなさんに多忙なスケジュールの合間を縫っていただき、13分45秒の大作ムービーができあがりました。

写真、僕。我ながらいいの撮った。
写真、僕。我ながらいいの撮った。

 

奥様に手紙を書いてもらって朗読してもらう。

これは僕自身の、前の会社をやめるときに同僚たちにやってもらった経験から来ています。まさか妻からの手紙が送別会で代読され、日頃彼女が何を思って僕を見守っていたのか知ることとなりました。みんなの前で。‥‥あれをやりたい。

それでなくても、社長を慕う多くの方々が集まってくれている状況に勝算は見いだしていましたが、むしろ奥様にとって手紙を書くというきっかけ作りにしちゃえ、と、かなりお節介なことを考えて実行させてもらいました。「こんな企画がなかったらやらなかったこと」をやってもらいたい。サプライズは喜びの沸点がわっと上昇するものですが、手紙はその後も一生残る世界にひとつだけのギフトだと思うので。残るイベントにしたかった。

思いのほかグッとくるお手紙を書いていただき、僕が昼間から泣きそうになったのはいい思い出です。

 

当日は仕事の納品や突発的な作業が折り重なって、しかもケーキの発送トラブルなど、ほんとうに間に合うのかドキドキでしたが、奇跡的にすべてが間に合いました。

素敵な計画を立ち上げてくださった小川さん、中村さん、かなみさん、木谷さん、戸田さん、金子さん、社内の進行に誘ってくださった金澤さん、そして奥様の鴨下さん、Facebookグループのみなさま、BIRDMANのみんな、ありがとうございました。

 

おめでとうございます!
おめでとうございます!

 

みなさんと共犯者になれて楽しかったです。

沖縄へ。2013

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「青い 水平線を いま駆け抜けてく♪」

山下達郎の『RIDE ON TIME』をBGMにドライブしたくなる、台風明けの宮古島。

10月26日〜28日、
去年に引き続き、今年も社員旅行で南国に行ってきました。

レンタカーの中で流れていたのは、唯一受信できたNHK FMからの坂本冬美でしたが。

水温はちょい低め。
台風一過の直後で水温はちょい低め。後ろにいるのはブラザー・トムではありません。

 

10月なのに、南の島で夏を取り返してきました。

いや、今年の夏は、

長野でパラグライダーとか、

熱海で花火とか、

もうたっぷりと夏をしてきたと思いますが、

宮古島の青は、

どことも違う透明感があって。

 

嘘みたいな写真がいっぱい撮れて面白かったです。

さようなら、天野祐吉さん。

全10回だったかな、とても濃いお話が、天野さんの、あの柔らかな声でつづきます。
2006年頃の対談ですが、もう何遍も見ています。

 

2013年10月20日、コラムニスト・天野祐吉さんがお亡くなりになりました。
訃報を知ったのはその日の深夜。
僕はいち読者でしかありませんが、翌日は仕事が手につきませんでした。

TwitterやFacebookで、いろんな方々が、学生時代の『広告批評』との出会いや、天野さんの講義で受けた影響が今の広告人としての自分を形成している‥‥と語られています。僕もそのひとり。17歳。さかのぼれば16年前。

美大受験のために田舎から1時間半かけて松山の美術予備校に通っていました。県でいちばん大きな、紀伊國屋書店にしか扱いのなかった『広告批評』と出会ったことが、僕の人生を決定づけた。最初に買った特集は『非力本願』という号でした。田中麗奈の『サントリー なっちゃん』や『TRAVELING』がヒットし、ペプシマンや多田琢さんのCMが華やかに流れ、ナイキの広告がいちいちかっこよくて、キンチョウの「つまらん!」にガツン!とやられてBOSSを飲んだ時代。

17の田舎の若造に、広告をたんなる流れゆくものではなく観察物、ユーモアのある創作物として見るための手引きをしてくれた人でした。ACCのCMフェスティバルに行ってみたり、『大貫卓也全仕事』を買ってむさぼり読んだり、朝日新聞のCM天気図を楽しみに月曜日を待ったり、したものでした。

大学に入り、1度目の3年生と2度目の3年生のときに『広告学校』に通い、そこで「生の天野さん」と出会います。生野さん、じゃなかった、生の天野さんはあの柔らかな声なんだけれども、テレビで見るよりちょっと辛めの発言と、厳しい目つきで。

それから7年ほど経って、天野さんのBlogでたまにコメントさせていただき、コメント欄で会話させてもらったことも。いま考えれば、すごいなぁ。その流れで『広告批評』元編集長の島森路子さんのインタビュー集の書評を書かせていただく機会も得ました。ご本と、直筆のお手紙は今でも宝物です。

 

冒頭と同じ対談の中で、こうも仰っていました(うろ覚えですが)。

「広告のコミュニケーションって、俺も馬鹿だけど、あんたも馬鹿だねぇ。っていう距離だと思うんですよ。俺は賢いけど、あんたは馬鹿だねぇ。だと誰も聞いちゃくれないでしょ?俺は馬鹿だけど、あんたは賢い‥‥もへりくだりすぎている。俺も馬鹿だけど、あんたも馬鹿だなぁっていう距離感がね、大阪の広告は上手いんです。そういうのに憧れますよね」

俺も馬鹿だけど、あんたも馬鹿だねぇ。

この目線で、広告を通して時代を批評していたのが、天野さんなんだろうなぁ。
愛だなぁ。

11月4日の午前9時5分から、NHKで追悼番組があります。
もちろん、見ます。

ビックロ機密文書を探せ!

日本を代表する謎制作集団・SCRAPが新宿東口に謎を仕掛けました。

 

そのお手伝いをしました。

「あの文書が、盗まれた…?」
「あの文書が、盗まれた…?」

ビックロ機密文書を探せ!

9月27日から10月6日まで!
Webサイトから参加登録するか、当日のお買い物レシートで参加できますよー。

今回、サイトはもちろん、企画、このムービー、現場で配られる解答用紙、問題パネル、奪還成功パネル、店員さんの謎バッジなどなど、Webだけでなくイベント用に、ありとあらゆるものを制作させていただきました。

まずは1F受付で解答用紙をGETせよ!
まずは1F受付で解答用紙をGETせよ!
ムービーの音楽は「半沢直樹っぽいシリアス路線で!」とオーダー。会議室のシーンではテーブルをばんばん叩くキャラをしのばせ、雰囲気は『Kiss Kiss Bang Bang』みたいなお洒落シルエットを目指しました。

こういうのは言うと野暮なんだけど、この仕事に関しては「些末なところを徹底する」のが僕の役目と思ってやってます。

もっと根幹の部分はうちのコピーライター・O女史がしっかり見てくれているので、その下で安心して遊んでる感じ。彼女が構成したネタバレサイト(後日公開)もかなりイイ出来です。

この金・土・日で終了してしまいます。新宿にお立ち寄りの方はぜひー!

ビックロ機密文書を探せ!

PACIFIC RIM

遅ればせながら映画『パシフィック・リム』を観てきました。しかも2回。1回目は3D吹き替え、2回目は2D字幕で(3回目は予約したのに寝坊で断念‥‥)。

6月に予告篇をBlogに取り上げたのに、9月まで映画館に足を運ばなかったことをここに謝罪します。いや、ほんとうに素晴らしかった。2D字幕版を最初に鑑賞した妻は翌週に3D吹き替え版をひとりで池袋まで観に行き、その映画館で売られていなかったガイドブックを買うためだけに新宿バルトナインまで行ったそうで、惚れ直しました。ほんと、男心とオタク心をくすぐる素晴らしい出来なのです。

実写で観てみたいものをことごとく実写化してくれた映画。
実写で観てみたいものをことごとく実写化してくれた映画。

 

KAIJU(怪獣)や巨大ロボはCGだけど着ぐるみの重厚感を意識したそうです。

例えば巨大ロボ「イエーガー」を整備する基地はガテン系の男どもでひしめいているんですが、このスタイリッシュとは真逆の油のニオイが漂う雰囲気は『機動警察パトレイバー』ですし、主人公が操るロボの動力源がアレなのは『ジャイアントロボ』と共通ですし、頭部がボディに合体して出撃するシーンは『マジンガーZ』の「パイルダーオン」ですし、ラストシーンは『エヴァ』を彷彿とさせますし、他にも「この設定のモノネタはコレか?!」と言いたくなるシーンが目白押し。

ぼくが特に感動したのは、イエーガーがビルの谷間を闊歩するシーンで流れる音楽。伊福部昭さんの『ゴジラ』のテーマ曲を彷彿とさせる重厚なオーケストラをぶつけてきてるんです。ここでもう涙腺崩壊。

0:53あたりから流れる曲がそれです(この東宝ゴジラ的予告編の出来も最高!)。

余談ですが、VFXスーパーバイザーとしてメイキングに出てくるジョン・ノール氏は兄弟でPhotoshopを開発したことでも有名。さらに余談ですが兄のトーマス・ノール氏からサインもらったことがあります。どこかに行ってしまったけど‥‥。

 

そろそろ劇場公開が終わりそうな『パシフィック・リム』。菊地凛子と芦田愛菜ちゃんの演技も必見。字幕版と吹き替え版のどちらもオススメです。

映画館で観るべき映画でしょう。

Cannes Lions 2013 Book Project

2013年8月31日、代官山蔦谷書店にて、とある本の出版記念イベントがありました。でも、そのとき肝心の本はまだ完成していませんでした‥‥どゆこと?

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『Cannes Lions 2013 Book Project』。

雑誌『広告批評』元編集長の河尻亨一さんが立ち上げ、オンライン上に集った約250名(8.31現在)の広告関係者やカンヌウォッチャーが今年のCannes Lionsの事例やトピックをアップ。それを一冊の本に編むリアルタイム・クラウド編集会議&雑誌制作プロジェクト。

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中村洋基のクリエイティブ千本ノック!

Webデザインの専門誌『Web Designing』さん主催のワークショップ、中村洋基のクリエイティブ千本ノック!に参加してきました。

 

100人ちかい受講生と、洋基さん、そしてゲストにサントリー酒類の宣伝部の方がでっかい会議室に集まり、「サントリー ザ・プレミアム・モルツのWeb広告を考えよ!」というテーマで進行しました。

8つ(もっとだったかな?)に分かれた6〜8人ほどのチームでブレストをする前に、洋基さんから、「企画で気をつけるといい3つの要素」について。

 

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1:人間のインサイト と 技術のインサイト

よく、広告制作では「インサイトを突くといい」なんて言います。インサイトとは、うちに秘めたる欲求のツボみたいなもので、それを押すといいよーなんて言うけれど、PARTYは(←僕は、だったかも)そのインサイトがヒューマンインサイトとテクニカルインサイトのふたつあると考えていて。

ヒューマンインサイトは、人間の欲求。
テクニカルインサイトは、技術の可能性。

広告コミュニケーションはもともとヒューマンインサイトに則って企画化していくものだけれども、ことデジタル領域においてはテクニカルインサイトがあると他人のアイデアとかぶりにくい。そこが強みなんだから、テクニカルインサイトはバカにできない。

例:ミッシング・チルドレン(中国・Cannes Lions 2013 モバイル部門受賞)

http://youtu.be/B4eqE1GTTEs

中国では毎年2万人以上の子供が誘拐され、ストリートチルドレンになっている。そこで、ストリートチルドレンの写真を撮って送ると児童保護団体のデータベースに登録されている誘拐された子供の写真と顔認識でマッチングするアプリを開発。今までに600人の子供の身元確認ができた。

⇒ヒューマンインサイト(困っている人を助けたい/いいことしたい/子どもは宝、守りたい)
⇒テクニカルインサイト(顔認識/データベース)

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2:NOWISM いまを共有する。

Snap Chat・・・10秒だけ残す写真共有アプリ。
http://gigazine.net/news/20130822-snapchat-review/
今だけを切り取り、その瞬間だけを共有する。これがアメリがで流行ってる。

「いま」の価値が高まっている時代。

音楽でいえば、CDが売れない時代にLIVEの価値が上がっている。

言い換えれば、ストック型⇒フロー型へ。

たとえば、キャンペーンサイトの数が減っている。どうしてか?
何ヶ月もかけて頑張って作っても、今はTwitterに載ると一瞬で洪水に巻き込まれ、終わる時代。昔はもうちょっと息が長かった。今は消費が速すぎて、打ち上げ花火が瞬間すぎることに作り手も広告主も気づいてきたということかもしれない。

そんな中、Red BullのStratos。

2012年10月14日(日)昼 【日本時間 10月15日(月) 早朝】、レッドブル・アスリートのフェリックス・バウムガートナー(オーストリア人、43歳)が、アメリカ合衆国 ニューメキシコ州ロズウェル上空39,014メートルの成層圏からジャンプし、フリーフォールの世界新記録の樹立と、高高度での安全性の発展に向けた情報収集を目的としたミッション、Red Bull Stratos(レッドブル・ストラトス)を成功させました。(公式サイトより)

リアルタイムに2億8000万人が見た。
究極のLIVE体験。

http://youtu.be/7f-K-XnHi9I

 

NOWISMって、もっとシンプルにいえば、「バルス」。

「メディアや企業も参加し、過去最大の規模となったラピュタの“バルス祭り”。秒間14万投稿と世界記録を更新」ITmedia 記事より

 

考えるときのヒントは、「極端にする」ということ。

企画するとき、「お祭りか、継続か」を選ぶ。
今を共有する最高のお祭りをつくるのか、リレーションを築くコミュニケーションをつくるのか、を意識してみる。

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3:ブランド

ブランドとは、ひとことで言えば、名声。

アウディやベンツよりも日本の軽自動車の方が値段も燃費も優れているし日本の路上には適しているんだけれど、それでもベンツを買う人がいる。それはブランドがあるから。

さらにブランドが持っているチカラとは、商品や会社の存在が、人々の幸福に直結するということ。

例:Olympics P&G – Thank You Mom Commercial

http://youtu.be/2V-20Qe4M8Y

 

例:Dove Real Beauty Sketches

 

ブランドのメッセージング⇒生死、家族、美、恋愛、健康、お金・・・全員が共感できることを真ん中に置くと、効く。

他社と差別化することにこだわらない。「他社より優れてます!」「シェアNo.1」じゃなくて、「あなた×生死」「あなた×家族」「あなた×美」「あなた×恋愛」…をつなぐモノ、企業。

真に言うべきことはなにか?アウトプットは強いか?を意識してみよう。

言い換えれば、世界内自己存在意義。

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‥‥この3つのうち、2つでも取り入れられていると強い企画になる。3つとも達成できるといいんだけど、3つ全部というのは難しい。。

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で、ここから課題の説明でした。「サントリー ザ・プレミアム・モルツのWeb広告を考えよ!」

サントリー酒類 Iさまよりオリエン。
洋基さん「Iさんといえば、最近ではトリスハニーのHoney Momentを手掛けた人です」

そうなんです、余談ですが、この日ゲストに招かれたサントリーの宣伝部の方とは、僕がHoney Momentで直接やりとりさせていただいたクライアントの方だったのです。超偶然。そして関わった仕事の名前が出てきて嬉しい。

プレモルの市場動向やコマーシャルについて実際にCMを見ながらご紹介。

ずっと同じ「Shall we dance?」のメロディと矢沢永吉のモノクロCMを続けているように見えて、ちゃんと市場や時代性を見て細やかなメッセージングの調整を行っている、というお話。たとえば、特別な日だけに飲む高級品と捉えられすぎて日常飲みでは売れづらくなったと感じられたら「金曜日はプレモルの日。」というメッセージで日常的にも買いやすくなる土壌をつくる、など。じつはとっても戦略的。

 

と、TVCMをひととおり見てから、Web、インタラクティブを使った広告クリエイティブのブレスト開始。

 

━━━━━【洋基さんよりブレストのルールを提示】━━━━━

★まずはタネでいい。
⇒プレモルあるある or 技術あるある。

★紙に書いて共有しよう。
⇒飛び交うコトバを紙で文字に落としていくと、さらに広がる。

★まずはなんでも出してみよう。
⇒うんこみたいな話から黄金のうんこが生まれることも。

★人のアイデアを否定するのは最後にしよう。
⇒個別に否定・批判していると閉塞してしまう。発言しづらい空気にもなってダメ。
まずはみんなの考えていることをぜーんぶテーブルの上に出しきろう。
セレクトはその後!

★ブレストは楽しく、雑談しながら。

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‥‥今回は初対面の方々とやるブレストだったので、腹の探り合いみたいなところに思いのほか時間を要しました。ブレスト慣れしている人とそうでない人との温度差がハッキリと出てしまったのも反省点。そのぶん、ふだんの会社で気心知れたメンツとブレストできる環境のすばらしさに気づくこともできたかな?

ワークショップの中心である課題企画の提出と講評については、個々の企画について紹介せねばならないので割愛します。ただ、1位になったチームは最初に洋基さんがお話しされた企画のポイント3箇条をすべて網羅していて、学ぶところが多かったです。
ワークショップの中心である課題企画の提出と講評については、個々の企画について紹介せねばならないので割愛します。ただ、1位になったチームは最初に洋基さんがお話しされた企画のポイント3箇条をすべて網羅していて、学ぶところが多かったです。

 

とても無料とは思えないほど充実した時間。この模様は次号のWeb Designing誌に掲載されるそうなので、楽しみです。