吉田ユニさんの個展に行ってきた。

ラフォーレミュージアム原宿でやっている、吉田ユニさんの個展『IMAGINATOMY』に行ってきました。

吉田ユニさんは1980年生まれ(同い年)で、ラフォーレをメジャーにしたAD大貫卓也さんの事務所、野田凪さん(2008年に急逝)の宇宙カンパニーを経て2007年に独立されたアートディレクターです。ラフォーレ原宿、LOUIS VUITTON、資生堂などのグラフィック広告や、木村カエラ、きゃりーぱみゅぱみゅ、AKB48のアートディレクションも手がけられています。

壁一面にひろがる女性のボディで表現されたタイポグラフィ、イメージスケッチからそのまま飛び出てきたかのような不思議なアングルの写真、CGではなく手描きによる緻密な仕事。

これらはほぼすべて「女性」を絵の具やキャンバスとして構成されているように見えました。あくまでも女性をテーマには据えていないであろう距離感。じとっとしていない、お仕着せのメッセージ性がない、庭園のような美意識だけがそこにある感じ。でも単なる道具として扱うような冷たさもなく。それゆえにナショナルブランドのグラフィック広告にもなり得るんだろうな。

って、あれ?もともと広告としてつくられたグラフィックだよな。

なのに、まずグラフィックがあって、そこに企業やアーティストが違和感なくスポッとはまっているように見えます。

 

raforlet

 

思えば、LOUIS VUITTONや資生堂のグラフィックって、そうだったかも。まず見た目のインパクトや確固たる世界観があって、「わあ素敵」、「なんか気になる」。そのあとに「あ、資生堂。やっぱりね」と思ったものでした。

きっとご本人はひとつひとつの課題に応える形で制作されているんだろうけれど、純粋に対象物を観察してビジュアル化して、まるで火葬して骨だけで組み上げたような、研ぎ澄まされた佇まい。でもギリギリのところで狂気とか恐怖のメッセージはなくて、浄化されている。

そんな純粋性をもっているのは、大貫さんの広告に携わってきた方だからなのかな。「なんじゃこりゃ?あ、ラフォーレ」の“読後感”を思い出させてくれました。

最近、グラフィックにゾクゾクした広告って何だったっけ?と思い返してみると、

ラフォーレのディズニーガールズ。吉田さんのお仕事。

このビジュアルアイデアを思いついたとして、実際につくったらもっと怖いものになってもおかしくないと思う。単にきれいなだけでもなく、キッチュでもなく。

これは展示されていませんが、数々のお仕事を大きなサイズでまとめて見られてよかったです。

 

余談。
原宿という場所柄か、お客さんの中には女子高生も何人かいました。商業施設が入場無料でやることの意義を目撃した気がして、ラフォーレえらい!とか思うくらいには年を取ってしまった。

吉田ユニ展 “IMAGINATOMY”
11月24日まで。


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職