雑誌の気骨 Vol.1

これまた少し以前のログですが‥‥

7月12日、僕の大好きな渋谷の書店
SHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERSにて、

雑誌対決!
『広告』×『Libertines』×『ROCKS』
3誌編集長トークセッション

がありました。

2010年、広告収入の激減で廃刊が相次ぐとともに、
iPadやKindleなど電子書籍の話題に押されがちな
逆風まっただ中の雑誌業界において、
オリジナルな存在感を確立している3誌とその編集長3氏によるトーク対決。
平日にもかかわらず仕事の合間を縫って参加しました。

 

対談をされた面々は

広告代理店・博報堂が出す雑誌『広告』の
編集長であり、サントリー伊右衛門などで有名なAD、
永井一史さん

カルチャーを創るカルチャー・マガジン『Libertines』の
編集長であり、博報堂ケトル代表でもある
嶋浩一郎さん

SHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERSが
渋谷から送り出す、書店から発信する雑誌『ROCKS』。
その編集長であり、SPBSの代表でもある
福井盛太さん

そして司会進行は、昨年惜しまれつつ休刊した『広告批評』の
元編集長で、銀河ライター主宰・河尻亨一さん

この4名を中心に、各誌のAD(アートディレクター)さんも
途中から参加しての合計7名で行われました。

興味深い発言が(淡々と)飛び交う、濃い2時間。
僕も、思いがけず河尻さんにだいぶいじってもらいました。
全部まとめると超長文になるので
気になった言葉だけ拾い上げます。

 

『広告』永井編集長から見た『ROCKS』‥‥

永井さん

「ROCKSの第一印象は、活字の力、気骨がある」

福井さん

「ROCKSは雑誌というより発信する場所。書店のPRも後付けで、メッセージ性のある場所が作りたかった」

 

『Libertines』(現在、創刊2号目の生まれたてホヤホヤ)を
創刊しようと思ったきっかけ‥‥

嶋さん

「後輩の男の子とレストランに入ったら、「嶋さん、ここは食べログで3.06しかない店ですヨ」と言ってきて(笑)。俺が好きな店なんだからいいじゃないか!と。ネットの集合知は確かに便利だけど、世の平均値だけで見てしまうのはどうなの?主観・主張が叫べるメディアをネット社会の今だからこそ大事にしたいと思って」

 

『広告』永井編集長から見た『Libertines』

永井さん

「嶋くん曰く、Google検索の上位5位くらいまでしか見られない今、雑誌はどれだけその奥にまで入れるか?という志にはなるほどなと思った。なのに創刊号がTwitter特集って。2号目は面白かった」

 

『ROCKS』福井さんの編集方針

福井さん

「基本的に、僕向けに作っている。全国に僕(みたいな指向性を持つ人間)が数千人いるだろうな、という前提で書いている。

僕が考える雑誌とは、驚きと意外性。今の雑誌にはそれがない。アーカイブ化している」

 

『Libertines』嶋編集長から見た『広告』

嶋さん

「永井さんは編集長の前にアートディレクター。超整理好き。雑誌が詩集になるんじゃないの?と思ったらけっこう俯瞰されててレンジが広い。が、1個1個のパーツがどうシナリオに組まれているのかが見えない。読者に委ねてる?線が細いのが好み?」

河尻さん

「オルタナティブというよりアカデミック?」

永井さん

「1個1個の粒立ちの面白さを優先する。独自のものであればいい、と思い、雑誌であることをやめた。『広告』のコンセプトは、新しい発想のエンジン。プロジェクトの到達点に向かってやっているだけで、それがたまたま雑誌のカタチをしている」

 

ここまで書いて、やっぱり僕のブログとしては
超長文になってしまったので、間をバサッと省略して、
(ごめんなさい)
さらに2回に分けます。

それでは、 雑誌の気骨 Vol.2 につづく。


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職

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