カンヌ2013受賞:TXTBKS

Cannnes Lions 2013 モバイル部門のグランプリ『TXTBKS』(フィリピン)をご紹介。

まず、有権者に訴えたいのは、フィリピンの教科書はとっても大きくて重たい!ということであります(『有吉マツコの怒り新党』風に)。

教科書を持ち運ぶのは子どもたちの「重荷」。背骨が変形する被害も!先進国ではタブレットによる教科書が普及しつつあるけど、貧しいフィリピンでは無理‥‥。

この差は歴然!

そこで目を付けたのが、中古のガラケー。通信会社SMARTは、たくさんの使われなくなったガラケーを教科書にすることを企画。

目の付け所がシャープな、リユース。

教科書のデータを入れたSIMカードを各教科ごとにつくり、生徒たちに配布しました。

準備に6ヶ月を費やしたとか。このデザインもいいですね。
それがコレ。
それがコレ。
通学かばんの重さは半分に減り‥‥
通学かばんの重さは半分に減り‥‥
テストの成績は90%向上、出席率も95%にUP!
テストの成績は90%(?)向上、出席率も95%にUP!

次々と成果を生み出すのであります(『怒り新党』の塙風に)。

「あの重さはもう勘弁」
Yeah!
でも今はこれがある!Yeah!

これが今回のモバイル部門のグランプリというのは、一見、わかりにくい気もしました。だって、ツールとしてはたしかにモバイルというハードを用いているけれど、やってることは社会貢献であり、モバイル「部門」なのかなー?と。でも、SIMカードに教科書データを入れるというアクションはやっぱりモバイルを媒介にコミュニケーションしているわけで、穿った見方をしすぎなのかしらん?と思った上で、やはり施策としては超素敵。文句なしに素晴らしい。

ビデオを見るとその素晴らしさがより伝わります。

フィリピン以外の発展途上国でも今すぐやるべき!と思いました。それは先日紹介した「immortal fans」にも言えることで。企業がただ自社のプロモーションをしていればいい時代はとっくに終わって、どれだけ世の中に役立てるかが期待されているのはアタマでは理解していましたが、カンヌは確実にそこへ向かっているんですね。クリエイティビティという翼で。

で、いいものはオリジナリティに溢れていると同時に、「みんなもやりなよ!」とアイデアのシェアを促されているような気になってきます。新しい言語を作っているようなものですね。「朝は『おはよう』と言い合おう」みたいな。というわけで、おやすみなさい。


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職