カンヌ2013受賞:THE ANT RALLY

まず基本的なルールとして、カンヌライオンズはチャリティ・非営利機関や公共機関が実施したものはどのカテゴリであってもグランプリ候補にはなれないそうです(知らなかった‥‥)。今年5部門でグランプリをかっさらった『Dumb Ways to Die』をつくったメルボルン鉄道は、1990年代後半より州政府の運営から私鉄に切り替わったので“公共機関”ではなさそうです。へー。

そしてこれらの非営利カテゴリに属するものは全部門をまたいでたった1つだけ「グランプリ・フォー・グッド」として表彰されるとか。

今年その「グランプリ・フォー・グッド」に輝いたのが『THE ANT RALLY』。

WWF(世界自然保護基金)創立50周年に際してドイツのBBDOデュッセルドルフが制作した、アリによる熱帯雨林の環境保護デモ行進。中南米に多く生息する社会性のアリ、ハキリアリの「葉っぱを運ぶ」習性を活かした“極小のビッグアイデア”です。

ケルン動物園で5日間に渡って展示され、ビデオとともに話題になって成功!とのこと。これは実際に見たらきっと写真を撮りたくなるし、子どもたちにも受けそうだし、本当のデモみたいに見える様がチャーミングだし、メッセージは真に迫ってくるものだし、シャレが効いてるし。

ちなみに、ブランデッドコンテンツ&エンターテイメント部門でシルバー、ダイレクト部門でブロンズも獲得したそうです。

 

おなじ「虫」を使ったアイデア(bugvertising)では、こちらも。

 

これは「無視」できないなぁ‥‥。

潜水艦ポセイドン号からのパーリー

大人気イベント「リアル脱出ゲーム」を手掛けるSCRAPさんの創立5周年記念パーティーに行ってきました。

会場はZepp Tokyo。そう、ここは7月19日から始まる『潜水艦ポセイドン号からの脱出』の舞台!というわけで、『潜水艦ポセイドン号からの脱出』のデバッグ公演込みのパーティーでした。

realdasshutsu

SCRAPさんとはお仕事で『REGAME』の制作をお手伝いさせてもらったり(これは僕は関わってないです)、僕がお手伝いさせてもらったものでは某旅行情報サイトのタイアップキャンペーンで『消えた琉球王朝の王印を探せ!』というコンテンツを作ったりしました。

今回は同僚と社長の7人で出向き、3人と4人の2チームに分かれて、それぞれ初対面の人たちと組んでひと組6人のチームを形成。SCRAP代表・加藤隆生さんの流ちょうな挨拶とプロローグが始まり、気分はすっかり謎解きモードに。5周年記念パーティーはいったん忘れてヒント探しと謎解きに奔走します(実際は走っちゃダメなので早歩き)。

ヴィレッジヴァンガードの店員さんらと組んだ僕らは、脳みそが破裂しそうになりながらも「脱出」は成功!詳しいことはおろか詳しくないことまで書いてしまうとネタバレになってしまうので一切書けませんが、ちょっと詰まっても誰かのひらめきと連携プレーで謎の扉が開かれていくさまは本当に痛快。

協力することが楽しさを2倍にも3倍にも膨らませてくれる。それがリアル脱出ゲームの醍醐味なんだなーと改めて実感しました。ま、僕は足を引っ張らないように助手に徹していただけですが。

SCRAPの社員の皆々さま。別名、鬼才クイズ作成集団。

会場にはテレビの取材も入ってましたし、たくさんのお花が並んでいました。何より感動したのは、加藤さんの社員紹介。これ自体がまたこの日だけの「加藤隆生を暗殺した犯人は誰だ!?」という謎解きになっていて、ビールをあけていた僕らはアルコールを言い訳に惨敗でした。ははは。

 

さて、そんな話題沸騰のリアル脱出ゲームですが、今度の日曜日にテレビで参加できます!SCRAPさんが仕掛け、弊社がお手伝いしている『リアル脱出ゲームTV × Xperia™『人工衛星爆弾ヲ解除セヨ』がTBS系で7月1日24時からスタート。

 

僕は制作に関わっていないので、当日、まっさらな状態で楽しもうと思います。

 

そしてそして、『潜水艦ポセイドン号からの脱出』も超楽しかった!
こちらは僕らが体験した昨日よりもさらに良くなるそう。

 

これから体験する方が羨ましいです。
http://realdgame.jp/zepptour2/

最初から最後まで謎に翻弄されるパーティーでした。SCRAPの皆さま、5周年おめでとうございます。

軍艦島をストリートビュー

長崎県の「軍艦島」がストリートビューで見られる!
Googleさんありがとう!!

 

「軍艦島」という名前で知られている長崎県端島は、長崎港から 19 キロの海上にある小さな半人工島です。1870 年から炭鉱開発が始まり、日本の近代化を支える炭鉱の町として、最盛期には 5000 人以上がこの島で暮らすほどに栄えましたが、1974 年の閉山とともに無人島となりました。

現在、島の一部について上陸が認められていますが、今回は長崎市のご協力により、立入­りが禁止されているエリアを含め島全体を撮影しました。撮影には、バックパック型の撮­影機材トレッカーを用い、約 2 時間程度、島内を歩いて撮影しました。(by Google)

 

Googleマップで「長崎県 端島」と検索‥‥
Googleマップで「長崎県 端島」と検索‥‥
「軍艦島」の名前の由来は、外観が軍艦に似ているから。軍艦を造ってたわけじゃありません。
キターーーーー!!!この3Dモデルで見られるのはGoogle Earthからかな?いや、これは空撮っぽいですね。
人がボール状の360°カメラを背負って地道に撮影‥‥あざす!
人がボール状の360°カメラを背負って地道に撮影‥‥あざす!
ふだんは立ち入り禁止の区域にも踏み込める‥‥!
ふだんは立ち入り禁止の区域にも踏み込める‥‥!

 

なんだか、人類が滅亡したあとの地球に宇宙人が降り立って探査しているかのよう。

ムービーが素晴らしいです。

この探査員(と呼ぶことにする)、オシャレな革靴でずんずん歩くなぁ。

ストリートビューはこちらから。
http://goo.gl/maps/1FDx6

[googlemaps https://maps.google.com/maps?cbp=13,183.79,,0,-4.76&layer=c&panoid=9jXDjJXDiloo0v0YxLG2sA&cbll=32.628689,129.738322&dg=opt&ie=UTF8&t=m&source=embed&ll=32.628429,129.73832&spn=0.000904,0.001564&z=19&output=svembed&w=583&h=400]

 

ついでに写真家が撮影したHDR写真も。
http://blog.livedoor.jp/sekaiminzoku/archives/25331619.html

軍艦島は映画『007 スカイフォール』のロケ地でも使われたそうです。

ちなみに、ももクロの『Z女戦争』のロケ地は、戦隊モノのロケ地としておなじみの旧日本加工紙高萩工場跡(茨城県)だそうです。

Cannes Lions 2013 閉会

先週土曜(6/22)にカンヌライオンズが閉会しました。
日本からウォッチしていた自分なりに大ざっぱに振り返ってみます。

60周年を迎えたクリエイティビティの祭典が閉幕
60周年を迎えたクリエイティビティの祭典が閉幕

今年は開催60周年でレジェンドの年と言われ、いま新しいか?ユニークか?ということと同時に、いやそれ以上に、「この作品・仕事を後世にも残したいかどうか?」がジャッジの基準に掲げられたのではないか?と言われています(というか、現地に行っていたうちの社長が周囲とそういう話をしてたそうです)。まるでMoMaのパーマネントコレクションにふさわしいか?的な視点ですね。それもあってか、全体的に受賞作品(広告を作品と呼ぶのは個人的にはすごく違和感があるのですが、めんどくさいので作品で通します)は社会貢献モノ、人助けモノ=ソーシャル・グッドな作品が目立った年だったように思います。おそらく来年はその方向性を掘り進めたものと揺り戻しでエンタメに振り切ったものの両方がよりぐちゃぐちゃに混在するんじゃないか?と思ってます。というか、そうあってほしいな。

公式Facebookページより
公式Facebookページより

それから、これは日本での話ですが、Perfumeがゲストパフォーマーとして出演したこともあって、一般の方々にも映画祭以外の「もうひとつのカンヌ」が広く知られるきっかけとなりました。NAVERまとめに連日まとめ記事がアップされたり、BlogやFacebook、Twitterでわかりやすく速報してくれる人がいたりして、現地にいなくても何が受賞し、何がトピックとして語られているのかは瞬時に伝わるようになっていますが、その動向が今までより分かりやすくパッケージングする方々が多く現地に行かれているおかげで、広く注目されているなぁと実感します。ま、これも錯覚なんでしょうが。

直接伝わらないとすれば、あの現場特有の熱気でしょうか。あれは行った人にしか味わえない「カンヌ熱」。良くも悪くも、その熱におかされて帰ってくるのが行った人の常です。「やっぱ時代は社会貢献だよ!」とか言ってる人がいたらものすごく警戒しますが。

で、僕の身近では社長が行ってきたのですが、熱よりも冷静さをまとって帰ってきました。それは僕らの主戦場であるサイバーライオンで成果を上げられなかったことがいちばん大きく作用しています。その要因はいくつかあるでしょうが、そのひとつは先に書いた「レジェンド」=広告界の重鎮たちの審査視点がいつもと異なっていたからではないか?と個人的には思います。ことサイバーライオンに関しては。やはり審査員の構成によって結果は大きく変わりますから。

とはいえ、決まった結果にケチつけても覆りようもないですし、受賞作品にはそれぞれ見習うポイントがあるはずです。カンヌは終わったけど僕のカンヌは、というか「いいものをつくる」という思いはこの仕事をしている以上は終わらないので(あれ?熱くなってきたな‥‥)、これからも地道に気になった作品をピックアップして、自分なりの視点と言葉を添えてBlogにアップしていこうと思います。

そう、大事なのはデコンストラクション!ある成功事例を自分なりに分解してインサイトから掘り起こし、アイデアの根源へと潜り込む作業です。そうすることで事例をただ知ったかぶりで終わらせない。誰かの記事と被ったとしても、誰かの言葉をなぞることになったとしても、自分のアタマで考えて自分の手で残すことがあとあとすごく効いてくるんです。英語を音読するような感じ?「ただ聞き流すだけでいいんです」なんて嘘です。この通称「デコン会」を僕は2年前に博報堂で石井うさぎさんや木村健太郎さんらとやらせてもらって、これをやりきらないとカンヌを体験しきったとは言えないなぁと思ったのです。本当は複数人でやるのが効果的なんですが、Blogはどこまでも個人のものなので、ここではひとりでやっていきます。

あと、会期中にプロモ&アクティベーション部門モバイル部門のグランプリをBlogにまとめて気づきましたが、英語の勉強になります。アワード用のムービーは非常にシンプルに作られているので文法的には難しくないのですが、短時間に多くのことを伝えるので早口気味。そこで分からない単語や聞き取れなかったワードを調べていくと英語のボキャブラリが増えます。特殊な言葉すぎて日常では使わないよ、というものもありますが。

‥‥とまあ、2013年のカンヌは終わり、蓋を開ければメルボルン鉄道の「DUMB WAYS TO DIE」がグランプリ5冠という前代未聞の快挙を成し遂げたエポックな年になりましたが、テキスト(教科書ね)としてのカンヌはまだ終わってないのです。

 

そういえば、2011年のカンヌ勉強会で電通の岸勇希さん(ブランデッドコンテンツ&エンターテインメント部門審査員)がこんなことを仰っていました。

「今年は節目の年です!ってこの6年くらい毎年聞いてる気がするんですが、要は、カンヌは自分の中での発見でしかない。金銀銅の色を見るな、自分がどれをいいと思うかを素直に見ろと。賞を伏せてひとつの事例を徹底的に分析すると、その人の血肉になる。あと、たくさん見る。どれがすごい、ではなくて、とにかくたくさんの事例に触れられるんだから、見まくって学べばいい。今は公式サイトでも見られる」

(拙Blog CREATIVE KITCHENに行ってきました。#03 より)

つづく。

 

参考記事:
カンヌライオンズ2013受賞結果出そろう 日本は33のライオン獲得 | AdverTimes(アドタイ)
NAVERまとめ:タグ「カンヌ国際広告祭」
世界最大級の広告祭「カンヌ・ライオン」で注目された日本人

じぇじぇ!?『あまちゃん』を目撃

NHK連続テレビ小説『あまちゃん』、第1回から欠かさず見てます。

一昨日のことです。会社で打ち合わせをしていたら、同業で大学の後輩のYさんから「いま××××(コンビ二名)のとこであまちゃん?の撮影してますよー!」と一報が。

「じぇじぇじぇ!? (‘jjj’) 」

一緒に打ち合わせてた同僚(後輩O)と会社を飛び出しました。

ミーティングしてる場合じゃねえ!!
ミーティングしてる場合じゃねえ!!

 

そこは会社から徒歩5分のコンビニエンスストア前。いました、小雨降る歩道に、エキストラさんたちや小規模なクレーンとカメラ、雨合羽のスタッフさんたちが。「アキちゃんどこかな?」「ユイちゃんもいるのかな?」突っ立っているだけだと完全に邪魔な野次馬だから、「大好きなドラマだし撮影の苦労も知る制作畑の人間だしマナーはわきまえてますよ」という気高き誇り(?)を胸に、コンビニ前をあくまでも歩行者として通り過ぎました。が、アキちゃんはおらず。「いませんね!」「ロケバスの中で待機かな?」「どうします?」「とりあえず一周してコンビニに入ってみよう」‥‥裏道を通ってぐるり。コンビニの中へ。

よし、帰るか。意味もなくお茶を買って出ました。

ドアのすぐ脇で、ショートカットの女の子が雨合羽の人に髪を整えてもらっているところでした。

(じぇじぇじぇじぇ!)

帰るのは中断。雑誌コーナーのすき間から、外にいるアキちゃんこと能年玲奈さんを見守る僕と後輩O。
「大好きなドラマだし撮影の苦労も知る制作畑の人間だしマナーはわきまえてますよ」という気高き誇り(という名の常識)があったので写真に撮ったりはしませんでしたが、会社に戻ってすぐ絵に起こしました。

ミナミの帝王越しに見る北の海女。
ミナミの帝王越しに見る北の海女。

本物はこの1億倍かわいかった。奈落に落ちるらしい東京篇、楽しみです!

どうでもいいですが、雨合羽と夏ばっぱ、似てますね。

パシフィック・リム 予告篇

この夏の最注目映画です。

映画『パシフィック・リム』予告2(字幕版)

監督は『鉄人28号』を見て育ったという日本贔屓のギレルモ・デル・トロ氏。日本贔屓だからトロ。公式サイトのビジュアルはまさに鉄人そのものです。

 

ところで、やっぱアメリカという国は演説の国なんですね。
隊長らしき黒人のたたみかけるような言葉が映画を盛り上げます。
それが日本語になるとどうもパッとしない。けど頑張ってます。

映画『パシフィック・リム』予告2(吹替版)

菊地凛子さん演じるコ・モリ役に林原めぐみさんをはじめ、玄田哲章、古谷徹、三ツ矢雄二、池田秀一、千葉繁、浪川大輔という最強布陣。

近年はハリウッド大作映画の吹き替えでは、新鮮さなどを狙い俳優や女優、タレントを起用するケースも多い。しかし、『パシフィック・リム』では、声優の経験が深い役者を中心に吹き替え陣を組んだことが目を惹く。

「パシフィック・リム」 声優陣に古谷徹、池田秀一、林原めぐみ、三ツ矢雄二ら発表

この一文には激しく賛同します。映画はずっと残る「作品」なのに、プロモーションのためだけにタレント=本職じゃない人を起用するのはほんとうに納得がいかない。配給会社が映画を舐めてどうする。マイケル・F・フォックスを織田裕二がやった20年前に気づくべきだったんです。

こういう悲劇もありますからね。

mariko

パシフィック・リム

カンヌ2013:Perfume!!!

Cannes Lions 2013でPerfumeが驚愕のパフォーマンス!
昨晩23時(日本時間)からの電通さんのセミナー「Happy Hacking」にて披露され、YouTubeのLIVE配信でその一部始終を目撃。いや〜、すごかった!

どなたかが作成されたiPhone 5用壁紙。仕事早い!かっこいい!!
どなたかが作成されたiPhone 5用壁紙。仕事早い!かっこいい!!

 

まだ全受賞作品が出揃っていない段階だが、グローバルサイトは早々とサイバー部門で銀賞(SILVER LION)を受賞しており、会場となったグランドオーディトリアムには世界中から4000人を超えるのクリエイターや広告業界関係者が集結した。(ナタリー:拍手喝采!Perfumeがカンヌ銀賞で驚愕の最先端ライブより)

僕が今回獲れなかったサイバーライオンです。悔しいなぁ‥‥。

 

オープニングのナレーションが流れる中、真っ白な衣装をまとったメンバーに、プロジェクションマッピングの技法を用いて色とりどりのグラフィックが映し出される。衣装のスカートと肩の部分は電動で翼のように広がり、まるで天使のような姿に。生身の人間を全身スクリーンにするという最先端のテクノロジーに、会場中から感嘆のどよめきが起こった。(ナタリーより)
オープニングのナレーションが流れる中、真っ白な衣装をまとったメンバーに、プロジェクションマッピングの技法を用いて色とりどりのグラフィックが映し出される。衣装のスカートと肩の部分は電動で翼のように広がり、まるで天使のような姿に。生身の人間を全身スクリーンにするという最先端のテクノロジーに、会場中から感嘆のどよめきが起こった。(ナタリーより)

近未来ジュディ・オング!
からの、「Spending all my time」のエクステンデッドミックス!!

ビートの効いたイントロとともにメンバーが上に着ていたドレスを颯爽と脱ぐと、下には肩のプリーツが印象的な真っ白な衣装が現れた。3人の動きに合わせて衣装には次々にCGが映し出され、まるで光が踊っているような神秘的な光景となった。(ナタリーより)
ビートの効いたイントロとともにメンバーが上に着ていたドレスを颯爽と脱ぐと、下には肩のプリーツが印象的な真っ白な衣装が現れた。3人の動きに合わせて衣装には次々にCGが映し出され、まるで光が踊っているような神秘的な光景となった。(ナタリーより)

カンヌに行ったのはもう2年前ですが、ひとり黒の直角二等辺三角形ツアーTシャツ着て現地を歩き回っていたあの当時からまさかこんな日が訪れるなんて!今年も行ってたらP.T.A.リストバンドつけて最前列で見守ったのに!歯も磨いたし黒縁メガネで行ったのに!

そのカンヌに行っているうちの社長のTweet。

 

こちらはHotchkissのマユミさんのTweet。

裏山!

なにより真鍋大度さんとチームRhizomatiks、チームPerfumeに拍手と嫉妬です。

(菅野さんとは先日お会いしたばかりなので妙な気分)

 

さあ、このあとは7/5(金) にイギリスで行われるワールドツアーのライブビューイング、秋に3rdアルバム発売、冬に2大ドームツアー!iTunes Storeでも配信が解禁!!怒濤の攻めモードに震える‥‥。

 

カンヌでのパフォーマンスはYouTubeに落ちてますのでどーぞ(消される可能性あり)。
プレゼンテーションも込みのムービーはこちら

 

2007年 新宿Loft~オトノミライ~ より。このコたちがカンヌで…。おめでとう!

カンヌ2013受賞:TXTBKS

Cannnes Lions 2013 モバイル部門のグランプリ『TXTBKS』(フィリピン)をご紹介。

まず、有権者に訴えたいのは、フィリピンの教科書はとっても大きくて重たい!ということであります(『有吉マツコの怒り新党』風に)。

教科書を持ち運ぶのは子どもたちの「重荷」。背骨が変形する被害も!先進国ではタブレットによる教科書が普及しつつあるけど、貧しいフィリピンでは無理‥‥。

この差は歴然!

そこで目を付けたのが、中古のガラケー。通信会社SMARTは、たくさんの使われなくなったガラケーを教科書にすることを企画。

目の付け所がシャープな、リユース。

教科書のデータを入れたSIMカードを各教科ごとにつくり、生徒たちに配布しました。

準備に6ヶ月を費やしたとか。このデザインもいいですね。
それがコレ。
それがコレ。
通学かばんの重さは半分に減り‥‥
通学かばんの重さは半分に減り‥‥
テストの成績は90%向上、出席率も95%にUP!
テストの成績は90%(?)向上、出席率も95%にUP!

次々と成果を生み出すのであります(『怒り新党』の塙風に)。

「あの重さはもう勘弁」
Yeah!
でも今はこれがある!Yeah!

これが今回のモバイル部門のグランプリというのは、一見、わかりにくい気もしました。だって、ツールとしてはたしかにモバイルというハードを用いているけれど、やってることは社会貢献であり、モバイル「部門」なのかなー?と。でも、SIMカードに教科書データを入れるというアクションはやっぱりモバイルを媒介にコミュニケーションしているわけで、穿った見方をしすぎなのかしらん?と思った上で、やはり施策としては超素敵。文句なしに素晴らしい。

ビデオを見るとその素晴らしさがより伝わります。

フィリピン以外の発展途上国でも今すぐやるべき!と思いました。それは先日紹介した「immortal fans」にも言えることで。企業がただ自社のプロモーションをしていればいい時代はとっくに終わって、どれだけ世の中に役立てるかが期待されているのはアタマでは理解していましたが、カンヌは確実にそこへ向かっているんですね。クリエイティビティという翼で。

で、いいものはオリジナリティに溢れていると同時に、「みんなもやりなよ!」とアイデアのシェアを促されているような気になってきます。新しい言語を作っているようなものですね。「朝は『おはよう』と言い合おう」みたいな。というわけで、おやすみなさい。

カンヌ2013受賞:immortal fans

現在開催中のカンヌライオンズ2013のプロモ&アクティベーション部門のグランプリに、ブラジルの臓器ドナー登録を促すキャンペーンが選ばれました。AgencyはOgilvy BrasilとSao Paulo。

審査員の野添剛士さんによるレポ。

死後に臓器提供することへの家族の精神的ハードルというとてつもなく大きな課題に対して、「自分の愛するサッカーチームのファンを増やすためならオレはドナーになるぜ!」という宣言をチームのファンカードにつける。という、とてつもなくシンプルで、世界中で展開可能なアイデアで実現した仕事です。(中略)これがこの記念すべき年のカンヌで世界に知られることで、本当に少し世界を変えられるんじゃないか。そんなことを信じて選んだグランプリです。

SIXメンバーが見たCANNES LIONS 2013レポート(第1回)より

『immortal fans』不死のファン、永遠のファン。
『immortal fans』不死のファン、永遠のファン。

同じチームを応援するファンの間でドナーカードを作る。それは臓器だけでなく魂をバトンするためのドナーカードになる。日本にも「臓器提供意思表示カード」がありますが、そこにこんな熱い意味を込めるなんて、熱狂的なサッカー大国ブラジルらしい施策かもしれません。

51,000人以上がオリジナルのドナーカードを求めた。
51,000人以上がオリジナルのドナーカードを求めた。
それがコレ。
それがコレ。
臓器移植の年間件数も増加。
臓器移植の年間件数も増加(ドナー登録数は54%UP)。
初めて、角膜移植の待機リストが1,047人からゼロに!
初めて、角膜移植の待機リストが1,047人からゼロに!

スポーツの力を、選手やチームではなくサポーターが軸になって別の価値に転用する。「俺が死んでも俺の心臓でお前はチームを応援してくれよな!」と誇らしげに語るファンの姿が目に浮かびます。まさに不死のファン。さながらハッピーなレッドカード。

ファンの結束力をドナー登録に結びつけたこの施策、素晴らしいと思いました。

関根勤の妄想力

博報堂が発行している雑誌『広告』2012年1月号、コメディアン 関根勤さんへのインタビューより。

 

関根は、妄想好きとしても有名だ。

「アイドルとデートする妄想はよくやってたんですけど。最近は、妻にも妄想し始めましたよね。というのは、21年前に、家族で旅行に行った写真が娘の麻里の部屋にあったんですよ。パッと見たら、妻が35で。まあ、35というと本当に若くて、きれいで、女盛りなんですね。アレーッ、何でこんな女盛りの妻を楽しまなかったんだと。毎日眺めたり、抱きしめたり、『きれいだね』って言ったり。僕も37でそこそこ若かったんで、気づかなかったんですね。でも、ここへはもう戻れない。そのとき、ふと、待てよ、と。今の妻のことも、20年後に同じように写真を見て比べてみたら。『ああ、この頃きれいだったな。何で俺はそれを享受しなかったんだろう』って思うと思ったんです。これまでの妄想って、過去ばかりに飛んでいたんですけど、そのとき初めて自分が78歳になりまして、20年後に、未来に飛んだんですよ。自分が78歳になったという妄想で今の妻を見たら、いや、妻は若いし、きれいなんですよ」

 

感動しました。

33歳の僕は2ヶ月後に同い年になる妻を関根さんのように見たことはもちろんなくて。

自分なりに反省して、平日の夜に呼び出し麻布十番でイタリアンに興じたわけです。

というのはこじつけで、たまたま妻の会社の近くにいたから出てきてもらっただけですが。でも、こういう誰にも邪魔されないディナーが平日にあるのは悪くないし、20年後に訪れるかもしれない後悔をすこしは軽減できるかも。なんて。

関根さんは意識して喋っていないかもしれませんが、妄想ってたしかに「亡き女を想う」と書く。たとえ戻ってこない過去も、いったん未来に飛んで想えば、また現在に帰ってこれる。

というのはこじつけで、本当は「妄(みだ)りに想う」って意味だから、好き勝手に想うこと。それを一枚の家族写真から拡げること自体、とっても愛妻家なんだと思う。

そんな関根さんを見習って、ときどき未来に飛んでみよう。

糸井重里と鈴木敏夫の「生きろ。」を巡る往復書簡

1997年公開時のポスター。映画館で4回観た。
映画館で4回観た。
1997年公開の映画『もののけ姫』のキャッチフレーズ「生きろ。」

とても力強いこのコピーをはじめ、「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」(魔女の宅急便)、「4歳と14歳で、生きようと思った」(火垂るの墓)など数々の宮崎駿アニメのコピーを手がけてきた糸井重里さん。

そんなコピーライター・糸井重里と、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫さんとの「生きろ」を巡るやりとりが面白かったので書き起こしました。

ドキュメンタリー『もののけ姫はこうして生まれた。』より

 

ナレーション(以下 Na):鈴木プロデューサーは、絵コンテの重要箇所を書き取り、宣伝に応用しようとする。映画の結末がまだどうなるか分からないまま、映画のイメージを決定するコピーづくりに着手する。

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鈴木敏夫プロデューサー(以下 鈴木):彼(宮崎駿)自身、そりゃ確かにラストシーンまだ分かってないですけどね、ラストまで話は(※脚本は制作と同時に進行していた)。とはいえ、まあなにしろ20年、僕は一緒にやってきましたんでね。そういうことで言えば、やろうとしていることに関しては、なんとなくは分かってたんですよね。

で、それを言葉にする作業ってのが必要なわけですよね。それで僕はそういうときに「糸井さんの力を借りたいんだ」と。ということで毎回ね、僕としては「こういう話なんだ」と。「さあ、コピーつくってください」と。「そのひとつのコピーが関係各自、みんなを支配するから」って。それでまあ、糸井さんにお願いしに行って、例の「生きろ」っていう言葉が出てくるんですけどね。ま、今回だけは糸井さんもそうとう苦労して(笑)。僕はいつも糸井さんからはねえ、「鈴木さんの仕事はありがたい」って言われてたんですよ。なんでかつったら、糸井さんが一回ポンっと出してくれるとね、僕だいたい一回で決めてきたんですよね。ところが今回は、なんと50本くらい書いていただくというね(笑)。

Na:その、苦闘の跡が浮かび上がる、ふたりのFAXでのやりとり。

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鈴木敏夫のFAX:糸井重里様。コピーの一日も早い完成を 首を長くして待っています。3月21日。

 

糸井重里のFAX:6月4日。鈴木さま。いくら映画の進行が父として進まぬ状態だからといって、私までのんびりとしては池ませんでしたよね。やっぱり難しかったんです。(誤字は原文ママ)

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おそろしいか。
愛しいか。

mononoke03

本当は「おとろしい」の方がいいと思ったんですが、辞書に出てこないのであきら目ました。

おまえには
オレがいる。

惚れたぞ。

ひたむきと
けなげの
スペクタクル。

アカンかったら またやりなおします。日本語フリーハンドワープロの調子が悪くて誤字が多くてすみません。

 

鈴木FAX:前略 糸井重里様

mononoke051再考を!

宮崎も「ちがう」というし、小生もちがうと思いました。小生が気になっていた台詞はこれです。「そなたは、美しい‥‥」これ、宮崎駿が言っているという気もするのですが、如何でせう。この前糸井さんが「カッコイイとは、こういうことさ」も「タヌキだってがんばってるんだよォ」も、宮さんが言っているというのを思い出した次第。

 

6月18日。

糸井FAX:鈴木敏夫様
ちがうボタンを押しまくってしまいました。もののけ姫の観客の顔が、いつもより見えなかったので、柄にも無く悩んでしまったわけのように思えます。AとBが、私の考えた結論です。

A
だいじなものは、有りますか。

B
昔々は、今の今。

その他に、

おまえは、まぶしい。

死ぬのと、生きるの、どっちが好きだ。mononoke06

死ぬなっ。

それでもいい。私と共に生きてくれ。

ハッピー?

迷走する巨人(ファン)糸井重里

 

6月25日。

mononoke07

糸井FAX:もののけノイローゼです。
どうも他の仕事は進んでも、『もののけ姫』になると、く、く、苦しくなるのです。『もののけ』というキャッチーな言葉が良すぎるのかしら?「もーののけー!」というようなコピーでも本当は成立するようにも思いつつ、三度目の答案用紙を提出します。

悪からでも善からでも、おまえを守る。

弓を誰にひく?!

あなたは、何を守る?!

なぜ、俺は生まれてきた。

 

7月10日。

糸井FAX:すいません、鈴木さんの原稿を読んで、また、もっと混乱してしまいました。今回はなんだかきついのです。1、作品の思想を表現し、2、集客を促す‥‥というふたつの目的が必須なのはわかるのですが、1の目的をズバリ表現しきることは難しい気がします。

生きろ。

LIFE IS LIFE !

化けものだらけ。

神々は、なつかない。

森には、おそろしい神々がいる。

暴と愛の嵐。

人間がいなきゃよかったのか。

わからなくっても、生きろ!

 

mononoke08

 

鈴木FAX:前略 糸井重里さま

生きろ。ぼくは凄くよいと思いました。
たった3つの文字なのに、そこに込められた時代性。イケルと思いました。宮さんも「近い!」とひと言。

 

鈴木FAX「生きろ。」
この力強いコピーだと。宮さんもついに納得しました。迷い道に誘ったりしてスミマセンでした。これで前に進めます。

 

Na:もうひとつの悩める闘いが終わったのは、7月7日のことであった。

 

owari

「生きろ。」と書かれたポスターが初めて出たとき、そのたった3文字に世間は驚きました。そして「たった3文字でコピー書いてお金もらえるなんて」と言う人も中にはいました。

でもちょうどこの『もののけ姫はこうして生まれた。』の中で、山犬モロに声を当てた美輪明宏さんがモロの生も死もあわせ持つ奥深さを表現する際にこんなことを言っています。

「構造が三重四重になってるから、突き詰めるとシンプルになるのよ。スポーン!と。七色の太陽光線が重なると白になるようにね」

たった3文字の「生きろ。」もそういうこと。で、その突き詰める過程にこんな茨の道があったのか、と。あの糸井さんもスルッと出ないことがあるんだと知って、ちょっと安心、したら、ダメなんでしょうね。

清水幹太、BIRDMAN、コバヤシタケルが明かす、Intel「PUSH for Ultrabook」の舞台裏

ぼくらの仕事を、white-screen.jpさんにインタビューしていただきました。
激動の65日間を余すところなく語ったのはこの天才たち。

世界中から5万人が参加! 清水幹太、BIRDMAN、コバヤシタケルが明かす、Intelのキャンペーン「PUSH for Ultrabook」の舞台裏!!

 

読んでいただければわかりますが、やっぱり凄い案件に関わってたんだなと。

 

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そもそも自社にこの装置を作っちゃうこと自体がクレイジーだと思う。

 

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しかも24時間回すとか…。

 

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GWを挟む24時間休みなしのブロック詰めの当番(通称 蟹工船)では、スタッフのみんなにずいぶん無理強いをしたり、自分が強行突破した場面もありました。

 

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が、アイデアを絵空事に終わらせず次々と形にしてゆく天才たちによって完成・更新されてゆくこのとんでもない装置。最後まで全員で“運転”することができたのは心底うれしい。

 

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目の前で起きていることは魔法か?そんな気持ちで見守っていました。

 

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自分を振り返ってみれば、至らないところも多々ありました。

 

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もっともっと役に立つ人間にならないと。

 

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そう思います。

 

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ぼくに魔法は使えなくても。

 

吉高由里子「Honey Moment」

はちみつの入ったトリス、TORYS HONEYを片手にまどろむ女優・吉高由里子さんを被写体に“うごく写真集”をつくりました。

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じかんよ、とまれ。高画質スーパースロー吉高由里子 | Honey Moment – サントリー トリスハニー

吉高サンの何気ない日常をハイスピードカメラで撮影し、1,000分の1秒~2,000分の1秒の超スロー映像で構成。トリスハニーが表現する”甘いひと時”がまるで永遠の時間のように感じられる内容で、吉高サンがベッドに倒れ込んだり、会話をしたり、物憂げな表情を見せたりとさまざまなシチュエーションの映像を4秒ごとにランダムで映し出してます。

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Cannes Lions 2013プレ勉強会

6月です。カンヌライオンズの季節が近づいてきました。

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今年はPerfumeがゲストパフォーマーとして出る!という、広告関係者視点ではなくPerfumeファンクラブ会員としても俄然注目のイベントになりそうですが、その前にちゃんと(?)賞レースにあがってきそうなものをピックアップして好き勝手に予測しようぜ!ってことで、6月7日(金)、Cannes Lions 2013プレ勉強会に行ってきました。

『広告批評』元編集長の河尻亨一さん主宰、ゲストは毎年恒例・kiramekiの石井義樹さんによるプレ勉強会。副題は「今年は工作系(メイカーズ)来んじゃね?」。今回で4度目の開催だそうで、僕にとっては3回目の参加です‥‥が、仕事の関係で大幅に遅刻。それでも最後にプロジェクターに映し出されたスライドに感銘を受けたので、行った甲斐はありました。その話は最後に書くとして。

いくつかピックアップします。

 

http://youtu.be/kKTamH__xuQ

イギリスの公共テレビ局 チャンネル4によるパラリンピックのコマーシャル。勝負師の顔にゾクゾクする。あまり馴染みのなかった彼らの競技を見てみたいと思う。多民族で形成されているからでしょうか、身体障害者への理解は欧米の方が進んでいる気がします。

 

http://youtu.be/YRB0i9-AUQs

学校の唯一無二の美女、スーザン・グレン。ただひたすら彼女をありったけの美辞麗句で荒唐無稽に称えるナレーション。

「『コミックのヒーローを魅了するヒロイントップ10』のライター達は、スーザン・グレンみたいなヒロインを作り出したいと願ったに違いない。スーザンが近くにいると僕の震度計は8を記録し、彼女の周りの女たちはたちまちゴブリンみたいになる」

そして「If I could do it again, I’d do it differently.」(もしもう一度やり直せるなら、今度は別のやり方にする)と現在の男(なんとジャック・バウワーasキーファー・サザーランド!)が語り終える。そして、AXEとともにFear no Susan Glenn.(スーザン・グレンなんて怖くない)。

男が惚れるヒロインと、男が憧れるヒーローのサンドイッチ。すばらしい!

 

https://youtu.be/DAAYSBfxkqQ

悪魔に魂を売らなくても手が届く値段のメルセデスですよ。

この悪魔が『スパイダーマン』シリーズでグリーン・ゴブリンを怪演したウィレム・デフォーってのがいい。昨年、同じスーパーボウル枠のCMでクライスラーがクリント・イーストウッドを起用して話題になりましたが、ハリウッドスターの説得力はすさまじい。

http://youtu.be/T1c3AXZkYeU

 

クルマ続きで。

http://youtu.be/ANhmS6QLd5Q

「Audiに乗って自信が持てた」
いいパパだなぁ。親子で乗ってカッコイイのって、Audiかもなぁ。と思わせてくれるCM。

 

『Smoking Kid』

路上でタバコを吸う喫煙者に、少年や少女が駆け寄って「ライターを貸して下さい」とお願いをする。すると喫煙者は必ず「え?」といった反応を示し、「タバコは健康によくないんだよ?」や「寿命が縮まるんだよ?」などと、子どもたちに対して優しく説明をし始める。タバコがどのように体によくないのは、理解しているのである。そして子どもたちは「じゃあ、なんであなたはタバコを吸っているの?」と逆に問いかけつつ、そっと手紙を喫煙者に渡す。そこには「あなたは私の心配をしてくれた。でも、なぜ自分自身への心配はしないの?」と書かれているのである。

(ロケットニュース24「タイの禁煙プロモーションCMが心にガツンとくると世界中で話題に」より)

これは見てて辛くなりました。ただ、「効く」だろうなぁ。

 

コカコーラ『Small World Machines – Bringing India & Pakistan Together』

第二次大戦による分裂以降、対立が続くインドとパキスタンを結ぶベンディングマシーンをコカコーラが提供。これは取り組み自体もさることながら、プレゼンテーションビデオが素晴らしい。本当にこんな風にハッピーな風景が生まれたのかはちょっと懐疑的ですが。絶対ダンスする人いるよな(とか思っちゃう)。

参照:対立関係の続くインドとパキスタンの国民がコカ・コーラ社のキャンペーンで笑顔に / 世界にも感動を与える

余談ですが、BGMの「Go Do」はプレゼンビデオによく多用されますね。

 

Ram Trucks『Super Bowl Commercial “Farmer”』

「だから神は8日目に農夫をつくった」という言葉がつづく、農作業用トラック会社のCM。重厚なHDR写真はよく見ると微妙に視差を生む角度をつけていたり雲が流れたり、見る者を引き込む細かな演出がされています。ナレーションはPaul Harveyというアメリカの有名なラジオパーソナリティ(2009年に90歳で没)による演説だそうです。

 

http://youtu.be/ev-R0tsreBw

メトロ・トレインズ・メルボルン『Dumb Ways to Die』

オーストラリアの鉄道会社による事故防止啓蒙ビデオ。Dumb Ways to Dieとは「おバカな死に方集」。コミカルな死に方に笑って見てしまうけれど、実際、こういうマヌケな死に方が後を絶たないらしい。ソーシャルで流行る「キャラクター」「歌」「シンプルなメッセージ」が三拍子揃ってて、ACの『あいさつの魔法』を思い出しました。毒っけは比べものになりませんが。

ちなみに、カンヌの前哨戦ともいわれるOne Showでグランプリを受賞。

参照:かわいいキャラが歌に乗せて死にまくるメルボルン鉄道公式のアニメムービー「Dumb Ways to Die」 – GIGAZINE

 

Dove『Real Beauty Sketches』

Doveによると、世界中の女性の4%しか自分のことを美しいと思っておらず、一方でDoveはポジティブな自尊心を築き、女性たちのポテンシャルを最大限まで引き出すことにコミットしているため、女性たちに重要なことを伝えたいという想いからこのビデオを作成するに至ったとしている。そしてその伝えたいとても重要なこととは…

“You are more beautiful than you think. ―あなたはあなたが思っている以上に美しい。”

心に触れるDoveのブランドプロモーションビデオ Real Beauty Sketches [動画]より)

自分のネガティブな証言によって描かれた肖像と、他人のプレーンな証言によって描かれた肖像。シンプルだけどこれほど説得力のあるものもない。拍手したくなるムービーです。

 

さて、ここからは、「今年は工作系(メイカーズ)来んじゃね?」という副題にのっとって、なんか作っちゃった系のプロモーションたちを。

 

『The Popinator』

ポップコーンで有名なお菓子メーカーが「ポップコーンプロジェクト」を展開。「Pop!」の掛け声に反応する“ポップコーン投げマシーン”を開発しちゃいました。

 

[vimeo http://www.vimeo.com/46975682 w=580&h=326]

『Super Angry Birds – a Tangible Controller』

世界中で人気の「アングリーバード」にリアルなコントローラーを作っちゃいました!手作り感満載だけど楽しそう。3人くらいで綱引き状になってて200インチくらいのスクリーンでやったら盛り上がりそうですね。

 

[vimeo http://www.vimeo.com/62678151 w=580&h=326]

『The Most Powerful Arm』

筋肉が急速に衰える筋ジストロフィーへの寄付を訴えるメッセージ。筋ジストロフィー症の女性が呼びかける言葉をロボットアームがたどたどしく書き起こします。キャンペーンサイトに行って寄付すると、このロボットアームが署名してくれるようです。10日間で20,000人分のサインが集まったとか。

 

他にもいろんな事例が紹介されたようですが、最後にスクリーンに映し出されたショットがこちら。

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80歳代のおばあちゃんが勝手に修復作業してとんでもない仕上がりになったキリストのフレスコ画。世界中でパロディが生まれ、遊び尽くされました。しかもスペイン南部にあるこの教会は一躍観光名所となり、入場料を取り始めたら“作者”のおばあちゃんと訴訟問題に発展したとか。

河尻さんいわく「意図して広告にしようと企んだものではないけれど、これだけ世界中で話題になるような出来事をどうやって作り出すか、注目せざるを得ない」と。

ちょうど僕も先日、うちの社長に「今年印象に残ったプロモーション教えて」と訊かれ、Googleの「World Wide Maze」や「キリンのどごし 夢のドリーム」や「リアル脱出ゲームTV」や「TOKYO CITY SYMPHONY」や手前味噌ですがIntelの「PUSH for Ultrabook」が思い出されましたが、どれにも勝って印象深いのはこれ(↓)でした。

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女子高生がTwitterに投稿したことで大流行した「マカンコウサッポウ」。これも「おばあちゃんのフレスコ画」と同じく、プロモーションじゃない。けれど日本を飛び越え世界中でこの遊びが流行し、北米のカプコンが「波動拳コンテスト」を開催するまでに至りました。

USカプコンのフットワークの軽さは見習うものがあります。折しも日本では『ドラゴンボール』の映画版が公開中だったので「映画のプロモーションか?」とも囁かれましたが、そういった形跡は見られませんでしたし、もし実際にそうだとしたらここまで流行らなかったでしょう。USカプコンは後乗りだったから良かったのかも。そこがなんとも難しいところで、「広告だとわかった途端に冷める気持ち」とどう寄り添いつつ、面白いものを仕掛けるか?おばあちゃんや女子高生の純粋さがあればこその流行に勝負を挑まないと。そのためには、動機の純粋さではなくメッセージの純粋さが求められるのかな?言葉にすると陳腐だけど。

 

それにしても、アメリカのスーパーボウル枠で放映されるCMでほぼ埋まってしまうフィルム部門の注目作。映像の派手さではなくメッセージの普遍性、人間賛歌で評価が高いものが多いのは最近の風潮でしょうか。どれも心に沁みます。

そして、どうしても工作系といえばおバカな方向で魅力を発揮しがちですが、メッセージを乗せる領域に手を伸ばしている『The Most Powerful Arm』も印象的でした。テクニカルなことやSNSで下支えしながら、確実に誰かの笑顔をふやす仕事がしたい。そう思いました。

クリント・イーストウッドが昨年訴えた「ハーフタイム」=癒やしの時間は、まだ世界的につづいているのかもしれません。だからこそ今「効く」ことを考えたいなと。今年のカンヌライオンズは6月16日から22日まで。僕は日本から見守ります‥‥。

 

おまけ参照:

アドフェスト2013まとめ
(河尻さん編集)

Cannes Lions 2013 Prediction
(Pinterestで予想している人のまとめ)