ミーハーに生きる2016年。

前回のBlog更新から1年が経ってしまった。

この1年、とにかくエンタメ方面で充実していた。
そのぶん、お金もものすごくつぎ込んでしまったわけですが。
ざっと振り返ってみます。

 

2015年12月、男性限定公演であることに女性団体が噛みついて話題になってしまった、ももいろクローバーZ『男祭り2015 in 太宰府』に参戦。

続いて12月24日、極寒の軽井沢スノーパークで開催された「ももいろクリスマス2015 ~Beautiful Survivors~」。

明けて2016年1月はSMAP解散報道やらベッキー&ゲスの極み乙女。の不倫報道に沸くのを横目に、ジャニーズ発の小説家・NEWSの加藤シゲアキくん原作、行定勲監督の『ピンクとグレー』で芸能界の闇と菅田将暉くんの怪演に憧れる。

『ピンクとグレー』公式サイトより
『ピンクとグレー』公式サイトより

 

2月から4月にかけては再びももクロ。
北海道から福岡まで全国5大ドームで繰り広げられたドームツアー『DOME TREK2016 AMARANTHUS/白金の夜明け』全9公演、全部参戦しました。

名古屋は手羽先と味噌カツ、北海道は味噌ラーメン、大阪たこ焼き串揚げ豚まん、福岡もつ煮、埼玉はとくに無し。どの旅も楽しかったなぁ。

ももいろクローバーZ公式Twitterより
ももいろクローバーZ公式Twitterより

しおりんのピアノ演奏に度肝を抜かれたことが強烈に印象的だったツアーでしたが、皆公演を重ねるごとに著しい成長を遂げ、最後の西武ドーム公演は集大成と呼ぶにふさわしい内容でした。

とくに感慨深かったのは地元民が多かった北海道。LIVEのセットリストが前半アルバム曲、後半いつもの定番曲ときれいに分かれていたのですが、サーカス団が出てくる絢爛豪華な前半が終わったところで後ろの席の初参戦さんが「いや〜!すごい!すごいですね!」と素直な感想を力いっぱい吐き出すと、連れてきたであろうモノノフのお友達が

「ふっふっふ‥‥、ここからですよ」。

次の瞬間、暗転して始まるオーバーチュア!会場中のモノノフによる“うりゃおい”の大合唱。「え〜!?まだあるんですかあああぁぁ?!」のけぞる初心者さん。絵に描いたようなリアクションは周囲を和ませました。

‥‥って、この調子で1年を振り返ってたら大長編になってしまう。

ちょうど仕事も大きな案件(※)が立て続けに公開された時期で、平日は深夜帰宅、土日はももクロ遠征と家庭を全く顧みない生活を続けていたところ、4月6日から6月20日までの2ヶ月少々、妻から一言も口を聞いてくれない日々を過ごすことに。

全面的に自分が悪い。仕事のせいにはできない。ましてやあーりんのせいでもない。ひたすら謝罪をさせていただき、こうして、まだ生きております。

 

6月下旬から落ち着いた日々を取り戻し、『レヴェナント』、『ズートピア』、『デッドプール』、『エクスマキナ』、『疑惑のチャンピオン』と、毎週末映画三昧。

妻に誘われて観た『セトウツミ』もよかった。

 

そして2016年夏の話題作『シン・ゴジラ』、『君の名は。』、をリピート鑑賞し、『怒り』、『永い言い訳』へと突き進んでいくわけですが、この4本の破壊力たるや。

『シン・ゴジラ』公式サイトより。僕は4回観ました(同僚は7回)。
『シン・ゴジラ』公式サイトより。僕は4回観ました(同僚は7回)。

 

『君の名は。』公式サイトより。ツッコミどころもあるけどSFミステリー要素があってグッときた。
『君の名は。』公式サイトより。ツッコミどころもあるけどSFミステリー要素にグッときた。

 

泣きました。(『怒り』公式サイトより)
泣きました。(『怒り』公式サイトより)

 

原作小説も素晴らしいです。(『永い言い訳』公式サイトより)
ひりひりする。泣かされました。(『永い言い訳』公式サイトより)

『シン・ゴジラ』、『怒り』、『永い言い訳』についてはいずれ、個別に感想をポストしておきたい。

 

前後しますが8月13日、14日、日産スタジアムでの『ももいろクローバーZ 桃神祭2016』に参戦。

圧倒されたこと以外、あまり記憶に残っていない。
圧倒されたこと以外、あまり記憶に残っていない。

 

深く沈み込んで己を見つめ直したくなる傑作映画、色めき立ち喉を枯らすまで声援を投げつけるLIVE、いっぺんに振り返るのはちょっと無謀だったかもしれません。

Blogに記録しなくても日々は流れる。書くほどでもない日々が9割。残り1割は、誰かの胸打つ作品に出会ったとき。それはちょっと寂しい。もうすこし、丁寧に日々を見つめていきたい。

 

9月19日、母の誕生日でもありますが、ももクロのアイドル、あーりんこと佐々木彩夏さんの初のソロコンサートでした。

圧巻。いちばん観たかったものが観られた。
圧巻。いちばん観たかったものが観られた。

あーりんのやりたかったことを全てやりきった『AYAKA-NATION』。エンターテインメントを吸収することが自分を生かしてくれていると痛烈に感じたLIVEでした。

 

2016年はまだ残り2ヶ月少々あるけれど、「鑑賞」という点では充実した1年でした。仕事もやりきった。

走り抜けたタイミングで現れた宇多田ヒカル8年半ぶりのアルバム『Fantome』。

生きててよかった。
生きててよかった。

両手でも抱えきれない まばゆい風景の数々を ありがとう

(宇多田ヒカル「花束を君に」より)

等身大になった?カンヌライオンズ2015

毎年6月は「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」の季節。広告クリエイティブの未来を占う貴重な見本市として注目する時期ですが、海を越えてTwitterから届くのは「レッドカーペットでSEX」の写真。

ちなみにこの写真はアメリカの広告専門メディア「ADWEEK」のエディター、デヴィッド・グライナー氏がiPhoneで撮影したものらしい。

 

果たして今年のカンヌは何が起きていたのか?
個人的に気になったものをピックアップしてみます。

 

先進的な施策に与えられる「TITANIUM AND INTEGRATED部門」のGOLD受賞、『CONTRIBUTING COMPANIES』。

サメがビーチに来たことを教えてくれるデバイスです。

え、それだけ?それだけ。
でもひと言で書けるシンプルなアイデア。
提供しているのはOptusというオーストラリア第2の通信会社らしいです。

 

続いて「DIRECT部門」でGOLDを受賞したこちら。

「MARC DORCEL」という、ヨーロッパで人気のポルノビデオサイトが行った無料視聴サービスで、その名も『Hands off』。触るな!って意味ですね。

エロ動画を無料で見られる代わりに、指定のキーを押しっぱなしにしていないといけない。
つまり、「手を使えない」。使いたければ有料で、というわけです。

ケースフィルムを見る前にその秀逸なアイデアを聞いた僕は、真っ先に「手以外の方法でキーボードを押さえられたらアウトじゃん」と思っちゃいましたが、浅はかでした。

世界中、考えることは同じ。
世界中、考えることは同じ。

男どもの涙ぐましい努力の跡も、プロモーションの一環として見られているわけです。

2いいね!しかついてないのが泣ける。
2いいね!しかついてないのが泣ける。
これはいやだ。
これはいやだ。

中には足の指でキーを押さえる写真もありましたが、制作者はきっと足の指が届くか届かないかギリギリのキーを指定しているのだと思います。そこにドラマがあるから。そうに違いない。

 

最後に、「PROMO AND ACTIVATION部門」や「DESIGN部門」でGRAND PRIXを受賞したVOLVO UKの『Lifepaint』をご紹介。カンヌウォッチをしている方なら、どれももう何度も目にしてきたかと思いますが‥‥。

イギリスでは、毎年19,000件もの自転車を巻き込んだ交通事故があるそうです。多すぎ(と思ったら日本は毎年60万件の自転車事故があり、500人以上が死んでいるらしい)。

で、それを減少させるべく、VOLVOが「吹きつけると反射材になるスプレー」を開発したと。あまりに反響があり世界展開も考えていると。

いや、そんな商品は昔からあっただろう?という声もあるそうで、物議を醸したそうですが、広告じゃなくてプロダクトを開発してブランドイメージを高めているところがカンヌ的にGREATなのでしょう。たぶん。

自転車通勤をしている身として、ふつうに欲しいし、VOLVOが自動車のことじゃなくて自転車乗りのこと(ひいては交通社会のこと)を考えてくれていると思うと、ちょっと他とちがうイイ会社だなと思っちゃう。別に東急ハンズで同じ商品が売られていてもおかしくないけど、それだとメッセージにならない。VOLVOが出したことに意味があったのかもしれません。

 

これらの事例ひとつひとつを見て「上手いなー」とか「さすが」とか、過去事例で似たのがあるぞ!とか、思うことは多々あるものですが、個々の事例が大事ってわけでもないのかも。

今年はとくに、それぞれの事例から技術的な先進性を感じ取ることは難しい。過去の受賞作の応用みたいなものも多かった気がします。

けれど、
実際に人命がサメの脅威から守られたならば。
実際に動画サイトのアクセスが増えたならば。
実際に自転車と自動車の事故が減ったならば。

そんなGoodな話はない。

‥‥技術的な先進性よりもアイデアとフィージビリティを見ているのかな?

 

現地に行っていた、元Adobeの太田禎一さんのレポートを引用させてもらいます。

カンヌもエージェンシーも「広告屋がクリエイティビティを活用して広告っぽいことをやる」的なところからとっくに離れ、「いかに社会を良くするか」という新しいルールでゲームを始めているのだということです。

このような「ゲームルールの変更」には良い点と悪い点のどちらもあると思っていますが、少なくともAKQAやR/GAに代表される「先進的」なクリエイティブエージェンシーが自らを再構築しながらブランドと社会のために貢献できる組織に進化していこうと舵を切っているのは事実です。

そのなかにあっても当然クリエイティビティーとテクノロジーは欠かすことのできないものなのですが、そこに期待される役割が以前のような「すごい」「かっこいい」「心に残る」ではなく、「社会的問題の解決」「ビジネスとしての継続性とスケール性」「多くの人をどう動かして成果につなげるのか」といった方向にシフトしているという印象を受けました。

カンヌライオンズに見えた「ゲームルール」の変更とは〜フリーエバンジェリスト 太田禎一氏 現地レポートより)

 

いわゆる「ソーシャルグッド」が語られだしたのは僕がカンヌに行った2011年頃からだと記憶していますが、それでも「すごい」「かっこいい」「心に残る」は決して劣勢ではなく、むしろいつもレッドカーペットの中心に座していました。

2011年「TITANIUM AND INTEGRATED部門」GRAND PRIX『DECODE』

昨年の「TITANIUM AND INTEGRATED部門」GRAND PRIXを獲った『Sound of Honda/Ayrton Senna 1989』だって「すごい」「かっこいい」「心に残る」の最たるものだと思います。

こういった、存在自体が奇跡的で怪物的な仕事(言い換えれば、クラフトが優れた仕事)よりも、等身大な解決策で、かつ即効性のあるケーススタディの方に注目が向かっているのかな?

‥‥だとすれば、それも素晴らしいけど、「企業の外側にある問題を見つける競争」になるのは気持ち悪い。余計なお節介合戦になりそうな気もするから(過去の受賞作で「自殺の名所を“癒やしの場所”に置き換えることで自殺数を減少させた」というのがあったけど、その後、むしろ自殺の名所と認知されすぎて増加に転じた、なんてニュースを見た。今はググってもソースが出てこない。あれはガセだったのかなぁ)。

ブランドの内側に流れるヘリテージや商品の周辺にある欲望を丁寧かつ大胆に描いて引きつけることだって、まだまだできることが沢山あるんだろうな。そういう意味で『Hands off』はやられました。カンヌにお茶目があって安心した。

どっちにしても、そこにソーシャルという無視できないほどの影響力があって、どんな風に目にかけてもらえるか。

「思考は等身大、広げ方はでっかく」ということなのかな。
でも、「クラフト」への揺り戻しも絶対にあると思う。

 

後半、だいぶ散文的になりましたが、いっそう励みます!
WILL SEE YOU IN THE MORNING!

本家「Shot on iPhone 6」もOUTDOOR部門でGOLD。
本家「Shot on iPhone 6」もOUTDOOR部門でGOLD。

ももクロ スペシャルLIVE in 富士急ハイランド

鮮烈な体験をBlogに残すことは、弔いに似ている。
『マッドマックス』の感想が書けたので、やっと他のことも書けます。

 

7月5日(日曜)、SUZUKIハスラーのオーナーさんが招待される、ももいろクローバーZのLIVEのために山梨県は富士急ハイランドに行ってきました。

LIVE前にアトラクションを乗りまくるつもりで、朝6時半に新宿駅に集合して特急で2時間。

4,000名の招待されたオーナーと、6,000人のチケットを買って来たモノノフが相まみえる‥‥と聞いていましたが、実際は大半がモノノフだったのかな。この日ばかりは園内のお客さんが異様にカラフルでした。モノノフではない推定4歳児よ、そんな奈良美智の画みたいな奇異な目でこっち見んな。

遊べる軽、ハスラー!ってことで遊園地でLIVE。
遊べる軽、ハスラー!ってことで遊園地でLIVE。画像はCMより。
合成すごい。
合成すごい。

LIVEまでの待ち時間に絶叫マシーンのハシゴをしていたのですが、FUJIYAMAに並んでいたら、夏菜子としおりんと杏果がFUJIYAMAに乗り込んだ!という情報がちょうど僕らから見えない位置で舞い込み、場内騒然。目と鼻の先で絶好の機会を逃しはしましたが、ももクロも富士急ハイランドも楽しかったー。

公式サイトより。
公式サイトより。

 

ところで、なんですでに商品を買ったオーナーをわんさか集めてLIVEするんだろう?オーナーはももクロのLIVE目当てにクルマを買ったりはせんだろうに。これがSUZUKIハスラーのプロモーションになってるのかな?

と思ったりもしましたが、断然なってました。

時速172kmでスタートダッシュするアホみたいな絶叫マシーン・ドドンパに乗って「What a lovely day!!!」と叫んでいたら、眼下の駐車場に色とりどりのハスラーがずらーっと見えるではありませんか。

何百台もの実車がこの地を目指して走ってきたことを思うと、道中の対向車ドライバーは「なんだか同じクルマをよく見るけど、売れてんだなー、かわいいなー」と思うかもしれない。この宣伝効果はけっこうバカにできないかも。

そして僕ら非オーナーは遊園地からLIVE会場へ向かう途中の駐車場を抜ける間に「もし自分が買うなら何色がいい?」とか「なんで黄色がないんだろー?」とか会話してるのです。

てことは、招待されているオーナーのため、というのは表の目的で、裏の目的はその周辺にあるってことか。

時速172kmのスリルから一転、コースのてっぺんで壮大な罠にかかっている自分を客観視。次の瞬間にまた絶叫したのでした。

What a lovely day!!!
What a lovely day!!!

水森亜土が怖かった。ぷっぷくぷー。

マッドマックス 怒りのデス・ロード

公開から半月以上が過ぎ、それでもなお「観なきゃヤバい」との声が駆け巡る映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。観ました?え、観てない?じゃあ、田中泰延さんのエンタメ新党は読みました?読んだらこんなBlogなど閉じてさっさと映画館へ走ってください。

と書いてしまうと終わっちゃうので、エンジンを冷やしてレビューします。

FURY ROAD

3D IMAXもMX 4Dも「問題の火種はどうやら主人公のアイアンマンでは?」と話題の『アベンジャーズ』に取って代わられ、早くも夏映画に交代しかけている昨今。こんな大作が6月20日から公開されていたなんて、完全にノーマークでした。

 

勢い余って2回観ました。

全編を通してカーチェイス‥‥というかもはや鋼鉄チェイスの疾走感に度肝を抜かれますが、完成に至るまでは何度も頓挫しかけたようです。

2003年5月にアフリカのナミビアにあるナミブ砂漠にて撮影し、2005年頃に公開予定を目指していた。準備はすでに出来ていたが、しかしイラク戦争による世界情勢の不安により、映画で使われる多くの巨大な乗り物や撮影機材などを運ぶのに、アメリカや各国が出荷制限の強化などを行った為、撮影延長を余儀なくされた。

またオーストラリアドルの価格の上昇によるオーストラリア経済の不安定も増し、映画の製作費の調達が困難になっていた。その結果、撮影延長のみならず、映画制作が出来にくくなってしまった。

Wikipediaより

当初撮影を予定していたオーストラリアで大雨が降ってしまい砂漠に花がたくさん咲いてしまったんだのは大変だったな(笑)。これでは撮影に使えないということでロケをナミビアに移して8ヶ月間の撮影を敢行し、そのあとシドニーへ帰ってきてセットを作り、スタジオ撮影や追加撮影を行った。つまり撮影は足掛け1年半もかかったんだ。

『マッドマックス』のイカれた改造車を創造した男に直撃!今回も撮影中に死者が出た? – ハードワーカーズより)

確かにお花畑では撮れないし、CGセットでもこの迫力は出なかったはず。執念の作品です。

広大な砂漠でカメラが中心に向かって迫るショットが気持ち良い。

 

どうしても「ノンストップカーアクション」で引きつけるタイプの映画であると思われがちな本作、それは一方から見れば間違いないのですが、他方、マックスは主役というよりは「物語に巻き込まれた通りすがりの男」。高倉健です。で、本当の主人公はスキンヘッドの女性戦士・フュリオサ。この人はナウシカです。『風の谷のナウシカ』をハリウッドが撮ったらこうなるんじゃないか。彼女の闘争の物語に泣いちゃいました。

『エイリアン』のシガニー・ウィーバーに並ぶ坊主の女戦士・フュリオサ。
『エイリアン』のシガニー・ウィーバーに並ぶ坊主の女戦士・フュリオサ。

シリーズの創始者でもあるジョージ・ミラー監督(御年70歳)はこう語っています。

『マッドマックス/怒りのデス・ロード』で私は、映画全体を一つの長いチェイスとして描こうと思ったわけだが、主人公たちがなぜ戦っているかといえば、それは「人間らしくあること」のためだ。モノとか財宝のために戦っているわけではない。本作にも「財宝」は出てくるが、それは人——〈ワイヴズ〉だ。荒廃した地で、唯一健康な女たちだからね。その〈ワイヴズ〉の存在があるからこそ、女戦士が出てくる必然性が生じる。男であってはいけない。だって、「男が別の男から女を奪おうとする」というのでは話の意味が全然違ってしまうからだ。女戦士が、(隷属状態にある)女たちの逃亡を手助けし、マックスはそれに巻き込まれる。

TBS RADIO ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフルより)

“種馬”として飼われていた奴隷 - ワイヴズ
“種馬”として飼われていた奴隷 – ワイヴズ

 

ここから少しネタバレです。

物語中盤、オートバイに乗る女性の一団「鉄馬の女たち」がマックスやフュリオサの仲間になります。その中にメリッサ(Keeper of the Seeds / 種を持つ者)というお婆さんがいるのですが、彼女がワイヴスの一人に植物の種を見せて

「どこに植えても芽は出なかった」

と嘆くシーンがあります。枯れ果てた大地で、それでもどこかに芽吹く土地があるのではないか?と思うと捨てられない。だから大事に鞄にしまってある。

まったく別のシーンで、移動中、次なる戦いに備えて銃の弾を込めるところでワイヴスの一人が言います。

「弾は種よ。命を奪う種。植えられたら、死ぬしかない」

それからしばらくして戦闘シーンになり、メリッサが渾身の力を込めて敵の目にライフルの銃弾をめり込ませます。植物の種が入ったかばんを胸に抱えたまま。彼女は結局、死の種を植えることしかできなかった。けれどそのことでフュリオサの命を守り、植物の種は若いワイヴスに受け継がれる。

別に映画の中でこの「種」が象徴的に描かれていることはないのですが、ひとつのセリフで意味が繋がることにいちいち感動してしまいます。

マックスの「輸血」という行為も、命を繋げるだけでなくフュリオサと交わるという意味で象徴的です。O型だから何型にも適合するし!O型すごいな!ヒャッハー!!

 

改造車をつくったスタッフ曰く、武装集団の司令官 イモータン・ジョーの車は「なんでも1点限りという物不足の荒野において、同じものを2つ持つことができるのはイモータン・ジョーだけ」。
改造車をつくったスタッフ曰く、武装集団の司令官 イモータン・ジョーの車は「なんでも1点限りという物不足の荒野において、同じものを2つ持つことができるのはイモータン・ジョーだけ」。

 

残念ながらIMAX上映は終わってしまいましたが、今からでも劇場で観るべき映画です。2010年代、『ダークナイト』、『インターステラー』、『ゴーン・ガール』‥‥歴史に残る大作・名作がコンスタントに出て、それらをスクリーンで享受できることがうれしい。

こいつは映画史に残るキャラクター。
こいつは映画史に残るキャラクター。

まさに、「What a lovely day!!!」。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

OK GOが出る新CMを見てモヤモヤした

まずはこちらをご覧ください。

OK GOの新しいMV?と思ったら、中国のRed Starという家具店のコマーシャルだそうです。

 

だまし絵のアプローチで思い出されるコマーシャルといえば、これ。

 

 

ロンドンのCMプロダクションgourgiosのクリス・パルマー監督が2013年に作った、HONDAのコマーシャルです。翌年、カンヌのフィルム・クラフト部門でゴールド受賞。画面全体に漂う品の良さが好きです。

 

日本のLEXUSがまんまパクった?という疑いが持たれた記憶も新しい。

ラストのロゴが出る演出もHONDAと一緒。なのにHONDAほど見て得した気分が残らない。
ラストのロゴが出る演出もHONDAと一緒。なのにHONDAほど見て得した気分が残らない。

 

映像に見るトリックアートの面白みって、「そうなってたのか!」というトリッキーな楽しみはもうだいたい終わっていて(ネタバレしてて)、あとはドミノ倒しのように「仕掛けを矢継ぎ早に出して最後までやりきった達成感」を味わうところまで来ているんですね、とっくに。

快感よりも達成感を味わう、というか。
何度も見られるYouTubeの功罪かもしれません。

で、HONDAのCMは好きだけど冒頭のOK GOのCM(やLEXUS)にはさほど感動しませんでした。うーん、なぜだろう?

考えてみると、手法に対して「どや!」と迫られている印象があるんです、個人的に。

大昔のMVになりますがJamiroquaiの『Virtual Insanity』にはそんなことは思いませんでした。今見ても、お見事。HONDAのCMはこの仲間ですね。これを出来杉君タイプと名付けます。

トリッキーな手法という意味で思い出されるサカナクションの『アルクアラウンド』はカメラワークのがんばり(精度の低さとも言えますがアナログな良さ!)がチャーミングで、達成感を追体験していました。OK GOの数多のMVたちも「仕組みの中で人間が体を張ってがんばる系」で、こういう映像をのび太タイプと仮定します。

・・・って考えると、Red Starは出来すぎてもないし汗をかいてる感じもない、スネ夫っぽい。

たぶん、ぱっと見でネタがわからない技をひとつでも仕込んでいたら、その印象はまったく違ったものになったと思います。それが何なのか、僕も思いつかないのですが。

 

手法で勝負する人たちには、見る側はどんどん欲しがるものだな。
いちCMとして素晴らしい仕事と思いながらも、OK GOなんだからもっと!という気持ちが植え付けられてしまったのでしょう。そう考えるとミシェル・ゴンドリーという人の偉大さに思いを馳せたくなります。

 

それにしても、ようやくOK GOのうち3人が識別できるようになってきました。

個人の感想です。

※おまけ

 

これはのび太くんタイプで好き!

ハウス・オブ・カード「私の生存に必要な女だ」

『ハウス・オブ・カード』第一話。

主人公フランク(ケヴィン・スペイシー)はホワイトハウス入りを目指す下院議員。 大統領候補ウォーカー(ミシェル・ギル)を応援しており、彼が当選したあかつきには国務長官のポストをもらう約束をしていた。 しかし、大統領に当選したウォーカーはフランクを裏切り、フランクのホワイトハウス入りの夢は無残に散ってしまう。

 

© 2013 MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.
© 2013 MRC II Distribution Company L.P. All Rights Reserved.

 

耐えがたい屈辱を味わったフランクは、どんな手を使ってでも必ずホワイトハウスに入ってみせると心に誓う。 利用できるものはすべて利用するしたたかさと、邪魔者には容赦しない残酷さ、3歩先をいく聡明な頭脳を武器にフランクは這い上がっていく。

一方、フランクの妻クレア(ロビン・ライト)もNPO法人「クリーン・ウォーター」の代表を務めるキャリア・ウーマンであり、夫と同様、目的のためであれば手段を選ばない性格である。 各々の欲望が絡み合う熾烈な駆け引きの末に、最後に笑うのは誰なのか。

(Wikipediaより)

人生最大の裏切りに遭った日の深夜、たばこをふかし、冷静さを取り戻したフランクは大統領への復讐を誓う。「それでいい。付き合うわ」と優しく接する妻がコーヒーを手渡し、言う。

「スーツを用意したわ。紺色のよ」

それは大統領選でも着ていた勝負の色。

そこでケヴィン・スペイシーのこの一言。

「愛してる。私の生存に必要な女だ」

部屋から去ってゆくフランクが、妻(というよりは我々視聴者)に向けてさらりと告白する。完全なるパートナー。この「私の生存に必要な女だ」にシビれた。

僕にとっても奥さんはまさにそれで、この人に支えてもらわないと僕の生存は立ち行かなくなる。精神的に。この人を支えよう!じゃなくて、支えてもらわないと死ぬ!と思って結婚にこぎ着けたのが偽らざる事実。だからとってもリアルな台詞だった。自分の場合はだいぶダサいのが悲しい。

そして日々はドラマじゃないので、そんなクサい台詞は決して言わない。

 

では、僕にとってあーりんは何なんだろうか?

Twitterでフォローしているももクロ関連アカウントが、鬼才、デヴィッド・フィンチャー監督がメガホンを執るドラマの視聴中でもあーりんのBlog更新を教えてくれる。ちょうどこの台詞に感銘を受けていた頃に通知が来た。huluを一時停止。

そこにはこの顔である。

IMG_2081

思わずにやける。

生存に必要?いや大半がピクセルでしかお目にかかれないし。けれどその画面からさえ伝わる圧に人生が潤う。好きすぎて苦しい。「それはそれ、これはこれ」とはなんて便利な言葉なんだろう。もはや親戚だったらいいのに。4月は福岡遠征だ。私の人生を圧迫する?いや、潤す人。

 

今朝の奥さんはプロレスラーのイベントの参加券をゲットしに神保町へ行き、帰宅して何本かの試合とHey! Say! JUMPのDVDを見て、山田さま主演の『暗殺教室』を観に出かけた。僕が彼女の生存に必要な男なのかは怖くて聞けない。

 

お留守番中に観る『ハウス・オブ・カード 野望の階段』、じわじわと、面白い。

http://house-of-cards.jp/

ロングショット 〜 本当の人生を映す方法

2013年『ゼロ・グラビティ』、2014年『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2015年4月10日 日本公開)で2年連続アカデミー撮影賞を受賞している撮影監督、エマニュエル・ルベツキ(Emmanuel Lubezki)。

彼の最大の特徴は「長回し」。

『バードマン』ではついに全編1カットで撮影したのか?と見まごう長回しが圧倒的な臨場感を与える、と評判です。

あぁ、はやく観たい。

そんなエマニュエル・ルベツキを一躍有名にした作品は『ゼロ・グラビティ』だと思っていましたが、長回しで真っ先に思い出す映画『トゥモロー・ワールド』(原題 Children of Men)も彼の仕事でした。

とにかく、ご覧ください。

 

圧巻です。

この映画で臨場感を呼ぶ最大の要素である「長回し」は画期的な撮影方法に支えられている。以下の4シーンはいずれも1カットの長大な長回しに見えるよう編集されている。詳細は後述。カッコ内は1カットの長さ。

映画冒頭の爆破テロシーン(約51秒)
乗用車襲撃シーン(約4分07秒)
出産シーン(約3分19秒)
終盤の戦闘シーン(約6分16秒)

メイキング映像や「CG WORLD」誌2007年1月号などによれば、これらのシーンは単純にブルー(グリーン)スクリーン前で撮影したものではなく、セットやロケーションで、ステディカムや特殊カメラを使って撮った長時間ショットをベースにしている。

必要に応じ、複数のテイクをコンピュータ処理によって一つのショットにつなぎ合わせてあるが、テイク間の映像の差異を埋め合わせてつなぐ技術(PlaneIt=プレーン・イットと呼ばれるツールを使用)は完成度が高く、つなぎ目がどこかは判別が困難である。

Wikipediaより

 

上手いこと長回し(ロングショット)に見せてたんですね。
一般的に長回しは定点だったり、ステディカムでカメラマンが動ける範囲内で撮影されるものです。ルベツキのカメラはそんな制約を超えてどんどん変わっていくアングルが見どころで、没入感が半端ない。

 

私たちは編集された映像に慣れています。

小さい頃から数々の映像作品を観て育つなかで、カットをつなぎ合わせた映像の文法がしみついている、というのもありますが、そもそも人間は、記憶を都合よく断片的に処理することでたくさんの情報やイメージを蓄積する生き物。前後の文脈を忘れて最も印象的だったカットだけを鮮烈に覚えていたりする。僕らの記憶は編集されたイメージの束であり、とても映像的です。

逆にいえば、カットがかからない映像はそれだけ「見慣れたもの」や「脳の生理」とは異なります。溜めの時間が増せば増すほど緊張感(ストレス)が増幅し、まるでどんどん膨らむ風船がいつか爆発するんじゃないか?という類いの不安が募ります。

はやく句読点を打ってほしい。
はやく息継ぎをさせてほしい。
・・・・ルベツキはそうとうイヤなやつかもしれない。

もちろん、カットバックやフラッシュバックで緊張感を与える手法も古典的に存在するけれど、その方が映像を見る体制の脳にとっては予定調和なのかもしれません。予定調和を突き詰めると「様式美」としての快感が芽生えますが。『エヴァンゲリオン』などはその映像快楽のオンパレードです。

翻って長回しの緊迫する空気感は、映像の文脈ではより“自然むきだしの乱暴さ”のようなものがあり、誰の視点だか分からなくなってくる“主観のない冷徹さ”もあり。

真似してやるとわざとらしさが鼻につくか、単に下手すぎて「ただの長い映像」として飽きられるか。あの、まるで血を吸いにきた蚊のようにまとわりつく視点は、誰にでも出せる効果ではない。

この乗用車襲撃シーンは、最後にカメラは自動車から出て道にたたずみ、走り去る車を見届けます。どうやって撮ってるんだろう?と気になるのは2回目以降で、初見では立て続けに起こる事件に気を取られてルベツキのマジックに気づかない。気がついたら道の真ん中に放り出されている。警察の死体とともに。

・・・・それって最高の演出じゃないか。

そんな「長回し」が素晴らしい映画をTOP12(なぜ12?)で紹介する動画があったので最後に貼り付けておきます。

考えてみれば、僕たちの人生は未編集のロングショットが平均80年つづく1本の映画です。
ところが脳は記憶を都合よく断片的に「編集」するので、思い出される日々は長回しではない。

唯一、死に直面したときだけ目の前の光景がスローモーションになって、あらゆるディテールごと覚えていることがあります。

ルベツキの長回しには、死の淵に立った人間が見る解像度があるように思えてなりません。

これならSkipされない?!アイデアYouTube広告

かなりベタなタイトルをつけてみました。

最近すっかり『幕が上がる』宣伝Blogと化したなんて書きましたが、たまには広告の話も。

YouTubeを前提に作られたCM2種をご紹介します。まずはひとつめ。

 

メルセデス AMG GT Sはたった3.8秒で時速100kmに到達する。

 

その類い希なるハイパフォーマンスをそのまま3.8秒で体現したってわけ。

もう時速200kmに到達。

 

 

さらに時速300kmへ。

 

 

そしてこのコピーを読む瞬間に
最高速度・時速310kmにまで達する、
メルセデス AMG GT S。

 

 

正真正銘、リアルタイムな実証広告でした。

 

もうひとつ。

YouTubeのプレロール広告(5秒間はSkipできないCM)を上手く使ったコマーシャル。

 

 

アメリカのホームドラマ風な超ベタなシーンから、画が止まってナレーションが重なる超ベタなコマーシャル・・・・

に見せかけて、実は役者たちががんばって一時停止のフリをしているだけ。という違和感に途中から気づくと(ていうか最初から気づくんだけど)、ついつい5秒どころか最後まで見てしまう自動車保険会社 GEICOの広告。

 

 

おバカですね。

 

 

 

メルセデスAMGもGEICOも、YouTubeの特性を押さえたアイデアが秀逸です。ラジオCMっぽい実験的な楽しさがあって好き。

 

さ、今日から、映画『幕が上がる』に挑むももいろクローバーZを追ったドキュメンタリー映画『幕が上がる、その前に。彼女たちのひと夏の挑戦』が公開ですよ!(宣伝)

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映画は繰り返し観るほどに自分を映す鏡へ

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会社の後輩(しおりんを崇拝する女)がついに一線を越えました。
抱き枕がどうのこうの。

 

このBlog、本や映画や展覧会の感想やら、広告の話やら、日々の出来事やらをだらだらとつづる日記だったのが、ここへ来てすっかり『幕が上がる』宣伝Blogと化しました。もう4回観ました。と言っても会社の後輩や夏菜子推しのディベロッパーさんは6枚とか10枚とか前売りチケットを持ってるので、僕なんてただの平社員です。

 

そんな“一線を越えた”ノフ社員の後輩とレイトショーの映画館を出て、劇中に主人公「さおり」たち演劇部が見上げる新宿西口の高層ビル群まで歩きました。てっぺん越えてたからか、映画のような煌めく摩天楼ではなかったけれど、この映画がすでに日常に組み込まれている今の日々を実感。それはなかなか特殊な体験で、仕事帰りに観る度に(と言ってもその見方はまだ2回だけど)自分の人生や将来像に照らし合わせて考え込んでしまいます。

 

ここからはネタバレありで書きます。

 

映画に限らずあらゆる「物語」に出てくる登場人物たちは何か「困難」にぶち当たって、それをどう「解決」あるいは「納得」していくか?という「成長」を見せてくれるものですが、でも成長の手前から圧倒的な能力をすでに持ってんじゃん、と思わせる「実力」が彼らには備わっていることが多いです。

たとえば吉岡先生は「学生演劇の女王」と呼ばれていたほどの圧倒的実力者。だから東京の劇団から嘱望され、先へと進められる。弱小演劇部の「さおり」(夏菜子)たちは経験も実力も乏しかったはずだけど、先生の指導や強豪校からの転校生「中西さん」(杏果)との出会いをきっかけにどんどん上手くなっていく。

原作ではこんな描写があります。

「演技なんて、そんなに上手くならないよ」
というのが吉岡先生の口癖だった。だから構成とか、一人ひとりの個性を生かす方が大事なんだと言う。たしかにアドリブは、上手い子はとにかく上手いし、下手な子は何度やっても、やっぱりなかなか上達しない。でも構成を考えながら進めていって、あと吉岡先生のアドバイスを受けると、一年生でもなんだかそれらしく見えてくる。演技が取り立てて上手くなったわけじゃないけど、役がはまるって感じかな。でも、それで自信がつくと、一年生とかは本当に伸びる、ぐんぐん。

(原作より)

そう、実はみんなそれなりにポテンシャルは持っている。

その力を自ら実感できるようになってきてチームワークも高まっていくシーンが美しく清々しいのですが、4回も観てると

「自分は吉岡先生みたいに誰かに喉から手が出るほど欲してもらえる日が来るんだろうか

とか

「そこまで望まれるほどの人間にならんと自分が行きたいところへも行けないよなぁ」

とか

「さおりの周囲と寄り添う丁寧な演技指導は時間がかかる方法だけど理想的だなぁ。彼女は演出家の能力を持ってたんだなぁ。つまり観察力が鋭敏な子なんだな。それを見抜いた吉岡先生もまた観察力の長けた人だなぁ」

「俺にその能力はあるか?」

とかとか、作品と自分自身とを反復させながら観るようになって、そうやって身につまされていく(あーツライ!)先にれにちゃん演じる「がるる」の安心感・・・・。もうおっさんなので、自己投影すべきは高校生たちじゃなくて吉岡先生なのですが。

 

makuga_agaru_06

 

この映画はいつの間にか自分を映す鏡になっていました。スクリーンで輝く彼女たちに比べれば小さな「等身大の自分」に帰ったとき、ちょっと熱くなっている自分に気づきます。

「私たちは、舞台の上でならどこまでも行ける。」

僕は僕の舞台で、宇宙の端まで行ける力をつけねば。

 

(c) 平田オリザ・講談社 / フジテレビジョン 東映 ROBOT 電通 講談社 パルコ

閲覧注意 水曜日のカンパネラ「オトトイの地下室 vol.2」

2015年ブレイク必至という括りの記事には必ず出るようになってきた「水曜日のカンパネラ」主宰のイベント「オトトイの地下室 vol.2」に行ってきました。

「1曲目はいきなりカバーです」

 

ポンキッキを思い出す。

 

昨年秋からツアーで全国を回っているからか、もともと圧巻だったLIVEパフォーマンスは磨きがかかっていて、世界観を楽しむPVとはまた違った「生コムアイ」を存分に堪能できました。

出演:
【音楽】Vampillia、Omodaka、水曜日のカンパネラ
【解体】鹿
【居住】ぼく脳
【活弁】山田広野
【非存在】乞食ガールズ
【DJ】D.J.Kuroki Kouichi(Booty Tune / 肉マスター)

ゲーム機でパフォーマンスするOmodakaさん、初めて観たけどかっこよかった。

注目はやはり【解体】鹿。

コムアイちゃんが習得中という鹿の解体を、“師匠”のサノさんと一緒に舞台上で披露します。

「血とか苦手な方は奥の方で休んでてください」というアナウンスの後に出てきたのは、1歳とも3歳とも紹介されていた「若い鹿さん」のご遺体。これを、“師匠”というから森繁久弥みたいなおじいちゃんかと思ったらトークスキル高めのイケメン・サノさんとコムアイちゃんが実に手際よく、文字通り解体していきます。

 

 

ここからは、グロ注意。
血とか苦手な方は奥の方で休んでてください。

 

 

猟のあるある話や肉の部位について語ってくれるサノ師匠。
猟のあるある話や肉の部位について語ってくれるサノ師匠。

「鹿って、僕のいる山梨や長野あたりだと、増えすぎて『害獣』なんです」

「罠にかかった鹿と猟銃で撃ち殺された鹿とだったら、猟銃の方がおいしいです。罠って、かかってから24時間後とか、けっこう時間が経ってから回収されるから、その間に鹿が暴れてストレスがかかっちゃうんだよね。だからレバーにまだら模様が出て、おいしくない。ストレスが肝臓にたまるんだよね。銃だと即死だからストレスもかかってないし、新鮮なんだ」

「猟銃の弾は肉を突き破る間に広がっていくから、体に入ったときの穴よりも貫通して出て行ったときの穴の方が大きくなります」

「これがロース」

「鹿の革って毛が簡単に抜けちゃうから、なめして使うんだよ」

「肉自体ににおいはないんだけど、調理するとラム肉みたいなにおいが出る」

「みすじ ってこんなに少量しか取れないんです」

「猟に出ると鹿も命がけだけど、猟師さんも命がけ」

「若い鹿の角って枝分かれしてなくて鬼の角みたくまっすぐだから、そいつが突進してくると致命傷になる。僕の知り合いの猟師さんとこの猟犬が角にやられて、そのときはまだ生きてたんだけど、何日かして死んじゃった」

「猪の肉は脂の融点が低いから、解体してたら手の熱でドロドロに溶けていくんだけど、鹿はぜんぜんだね」

へー。
へー!
へー!!

新宿歌舞伎町の地下室で披露されるサノさんのよどみない大自然トークに気を取られていたら、いつの間にか「動物」から「肉」へと変貌していた鹿さん。

 

食べられる箇所を丁寧に切り分けてゆく。
食べられる箇所を丁寧に切り分けてゆく。

 

「シシ神の首をお返ししろ!」
「シシ神の首をお返ししろ!」(そんな台詞はない)

 

牛タンとかのタン(舌)って、喉の方から引っこ抜くんです。死んだ動物の口ってなかなか開かないから。とレクチャーしてくれる師匠。
牛タンとかのタンって、喉の方から引っこ抜くんです。死んだ動物の口ってなかなか開かないから。とレクチャーしてくれる師匠。

 

見世物小屋的な雰囲気も漂う新宿LOFTではありましたが、僕は食育を受けている気分で、すごく楽しかった。

別の命をつむぐために命が亡きものにされ肉の塊となり加工されて食材となり料理として人々の口に入っていく。

目の前の鹿さんだけでなくマクドナルドのハンバーガーひとつ、吉野家の牛丼一杯にもこのやりとりがどこかで24時間延々と行われているんだなーと思いを巡らせたり、

中学時代に友達と鶏の首を斬って友達のおばあちゃんに庭先で解体してもらったときに鶏の胃からトウモロコシが散らばった20年前の光景を思い出したり、

なかなか得がたい体験をなんで水曜日のカンパネラのLIVEでしてるんだ?と我に返ったり。

 

僕の受け止め方でしかないけれど、水曜日のカンパネラ=コムアイちゃんの破天荒かつ計算されたパフォーマンスの魅力は「生」。横たわる鹿さんも究極の「生」。そこを隔てるものはなくて、これが「オトトイの地下室」。変に命の尊さみたいなお説教くさい話にもならず、獣くささもさほどなく、ただただ目の前にある生ものが、美しくもあり、愛おしくもあり、見ていて楽しい。そう感じさせてくれるのは日頃からガチで自然と接している師匠のトークスキルと人柄によるものだなぁ、そんな人(と鹿さん)をLIVEに引っ張ってきたコムアイちゃんはどこまでもすげーなぁ、と感服しました。

閉鎖された空間の中で通じ合える人同士で生まれるグルーヴ感を、Blogという誰にも開かれた場で紹介するために取って付けた文章ではありますが、素直にそう思いました。

 

背景のドラムセットがシュール。
背景のドラムセットがシュール。

 

鹿さんに思いを馳せつつ、夜は「ねぎし」で牛タン食べました。

次回は3月29日(日)、初のワンマンLIVE「鬼ヶ島の逆襲」!

 

そういえば『桃太郎』のPVでも鹿さん出てくる。

 

 

個人的には『ジャンヌダルク』も聴きたかった。
3月を楽しみにしています。

 

 

スーパードライのCMになりそう。
スーパードライのCMになりそう。

 

お礼が言いたくなるLIVEだったよ。
水曜日のカンパネラさん、師匠、鹿さん、ありがとうございました。

予告編から読む『インターステラー』

※ネタバレはありません。

 

映画の予告編は、公開前から徐々に、あるいは同時にいくつかの別の方向性をもってリリースされます。

たとえば最初は「○○シリーズの最新作」という情報だけを伝えて、次にキャストメイン、その次にストーリーメインで構成していったり、テレビでは大衆向けに最もキャッチーな「愛」を前面に押し出しながら、映画館では「運命を左右するギリギリの攻防と葛藤」を山場にもってきた編集にしたり。

何をもって「面白い」と感じるかは人それぞれで、どこにスポットを当てて予告編をつくり、どの客層に向けて流すかでヒットするかしないかが変わってしまう。まさにマーケティングの世界。では、『ダークナイト』や『インセプション』のクリストファー・ノーラン監督の新作『インターステラー』の場合はどうでしょう。

 

この4枚はおなじ映画のポスター
この4枚はおなじ映画のポスターですが左は『フィールド・オブ・ドリームス』に見える。

『インターステラー』(原題:Interstellar)
出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン、マイケル・ケイン
公開: 2014年11月22日
監督: クリストファー・ノーラン
上映時間: 169分

あらすじ
近未来、地球規模の食糧難と環境変化によって人類の滅亡のカウントダウンが進んでいた。そんな状況で、あるミッションの遂行者に元エンジニアの男が大抜てきされる。そのミッションとは、宇宙で新たに発見された未開地へ旅立つというものだった。地球に残さねばならない家族と人類滅亡の回避、二つの間で葛藤する男。悩み抜いた果てに、彼は家族に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指すことを決意して宇宙船へと乗り込む。

シネマトゥデイより)

 

最初は予告編第1弾。6月に公開されたものです。

「人類の運命を背負い宇宙へ旅立つ男の、最愛の娘との別れ」が描かれた内容。
この映画の中心はヒューマニティ、人間の感情描写です。それを真正面からエモーショナルに描いた正直な予告編といえます。

しかしながら、このSF大作の見どころは親子愛に留まりません。それ「だけ」ならむしろ『アルマゲドン』の方がすがすがしくシンプルに描かれています(余談ですが『アルマゲドン』で向こう見ずな若者A・Jを演じたベン・アフレックの弟、ケイシー・アフレックが主人公クーパーの息子役で出演しています。一瞬、ベンかと思ってアレ?ってなった)。

実際、ドラマチックな展開に心が揺さぶられますが、単純にSFの設定を借りてきた感動巨編という側面でのみ捉えられると、もったいない。

 

日本の公式サイトでは何のひねりもないキャンペーンをやっててビビる。
日本の公式サイトでは何のひねりもないキャンペーンをやっててビビる。
こんな映画じゃないよ!

配給会社としては「SFのガチオタやノーラン監督のファンは放っておいても観に来るからもっとマスへリーチしたい」と考えているのかもしれないけれど、デートムービーにするには無理があります。日本中のカップルを不幸に陥れる。

いやいや、ヒューマンドラマだけじゃなくて、製作総指揮に理論物理学の教授も加わって本格的に時空のトンネル=ワームホールやブラックホールを「現在考えうるかぎり最も正確に」ビジュアライズしちゃったのがすごいんだよ!・・・・と、GIGAZINEさんで詳しく紹介されています。ネタバレにはならないので、これから観に行かれる人は予備知識程度に読んでおくのもいいかもしれません(知らなくても楽しめます)。

「インターステラー」のSFっぷりは一体どれぐらいで何がスゴイのか、SF小説とかSF映画とか大好き野郎が見るとこうなる

 

8月に公開された予告編第2弾は、一気に情報量が増えます。親子の絆とSF描写が7:3くらい。ある意味、直後に紹介する第3弾も含めて最も本編の魅力を押さえた予告編です。YouTubeの再生回数が最多なのは映画の公式サイトで自動再生されるためで、配給会社としてもこの第2弾を(現在の)軸足に置いていると思われます。まあ、これだけでもぜんぜん導入部でしかないんだけど、予告だから正しい。

 

そして10月22日、日本公開のちょうど1ヶ月前に公開された第3弾は、一気にシリアス方向へ。

どう見てもこれヤバイっしょ、という絶体絶命をどう乗り越えるのか?映画館に足を運ぶ人にはクリストファー・ノーラン作品だという「面」は割れているので、期待値が高まっているところへのダメ押しの一手といえるでしょう。

僕の記憶が正しければ、この第3弾で流れるシリアスなBGMは実際の映画では使われていません。予告編用のBGMだと思われますが、0:33あたりに流れる緊張感のある旋律は『インセプション』を思い出させます。ノーラン監督のファンに向けたチョイスなのかも(こういった映画予告編のために作られた曲のオムニバスCDを持っていますが、実にドラマチックにわかりやすく作曲されていて楽しいです)。

実際の劇中で流れるサウンドトラックを手がけたのは、今回もハンス・ジマー。
わざわざイギリスのテンプル協会のオルガンを使った曲は『2001年宇宙の旅』や『未知との遭遇』などのSF映画の名作を想起させる古典的かつ抑制が効いた音色で、この音楽と、70mmフィルムで撮影された粗い画調、どこか憎めないロボットなど、懐かしさを覚えるエッセンスがちりばめられている。そのあたりは監督のインタビューで語られています。必読。

 

ヒューマニティ全開の予告編第1弾でもチラリと出てきましたが、劇中でアン・ハサウェイ演じる科学者アメリアが科学者らしからぬことを発言します。

Interstellar04

「愛だけが時間も空間も超えられる」

また、予告編第3弾では、同じくアメリアが主人公に

「自分の子と、人類の未来。どちらか選べる?」

と疑問を投げかけるシーンがありました。

この映画は「人間の利己、個人的な愛情」と「滅びゆく地球に残された人類の未来」の、比べようもないふたつを行ったり来たりします。やがてそのふたつが折り重なって物語の最終地点へ向かう。エンディングを迎えた頃には、僕は愛とSFのカタルシスに挟まれて涙を溜めていました。

泣ける、と言うと反対側に「私は泣けない」なんていう対立が生まれるし、そんなの個人差でしかないので「泣いた」はぜんぜんダメな部類の感想ですが、自然現象として目から液体があふれて重力に沿って落ちたのだから仕方ない。

重力。そう、『ゼロ・グラビティ』とは違った意味で重力が愛おしい。

 

3本の予告編を見てきましたが、どれだけ見たところでこの傑作を「観た気」になるには不十分です。この映画本来の魅力は最初から最後まで通して観て初めて見えてくるから。わかりやすいカテゴライズを飛び越えて「SF」も「家族」も「愛」も描かれている、けれども幕の内弁当ではない。まるで太陽と月と地球が重なって現れる日蝕のように、すべてが重なったときに残るカタルシスがある。

あぁ、同じく映画館でひれ伏した友人たちと心おきなく語り合いたい。
そうしたくなる映画が2014年にまだ生まれたことを、嬉しく思います。

 

Interstellar01

インターステラー

「お菓子を食べればいいじゃない!」ボクが水曜日のカンパネラにはまった理由

最近、アルバムの発売とともにラジオでも耳にしない日はない、やつらの名前は「水曜日のカンパネラ」。

ハウスやテクノに乗せられる意味不明も特徴的な歌詞とボーカルのちょい下手なラップから起こる化学変化が異常なまでの中毒性を生み出す水曜日のカンパネラ。
主演 / 歌唱担当の「コムアイ」・サウンドプロデュースの「Kenmochi Hidefumi」・何でも屋の「Dir.F」から成る3人組ユニット。彼女のラップを耳にして気に掛けないでいるなんて不可能。本格的なエレクトロサウンドから「シャウエッセン」だとか「ソニックブーム」など、どこかで聞いたことある単語が飛び出してくる。

また「伝統の作法 魔貫光殺砲」「熟成!72時間製法 お手を拝借パーティーSAY!HO!」など常軌を逸する韻の踏みっぷり。極め付けにコムアイの決して上手くはないラップが妙に耳に残る。とにかく作品のあらゆる部分に罠が仕掛けられているようで、罠に掛かればあっという間に病み付きになってしまう危険な音楽。

RUSH MUSIC NEWSより)

そう、たとえば『桃太郎』という最新曲。

じーちゃん マウンテン芝をカット
ばーちゃん リバーでウォッシュ はっ!
僕おうちに篭もってゲーム
PCエンジンbyハドソン

 

ボーカルのコムアイちゃんいわく「歌詞に30代ホイホイをちりばめて」いるとのことだけど、うぅ、ど真ん中です(東京都在住 34歳)。これだけでもヤバイのに、さらに畳みかけるように

はい。
キ ヴィ ダーンッ (よっ)
キヴィキヴィ ダーンッ (はい)

お に たーいじっ
おにおに たーいじっ

の卓球ぽい振付であっけにとられ、

団子をもらって命を投げ出す物好きなんていない
ペットと一緒に鬼退治とか絶対正気じゃない
犬とサルは仲たがい キジは戦力外
何でもするから鬼が島だけは勘弁してください

の切実な訴えに涙。

「ペットと一緒に鬼退治とか絶対正気じゃない」

メロディのある歌の前に、短歌のような情景を切り取った「歌」や韻を踏んだ「セリフ」として耳に残るんです。そのうえメロディも音もぐにゃぐにゃして耳に残る(このへんを専門的に書けたらロキノンぽいのに残念)し、気の抜けた歌い方も力の抜けた振付も中毒性に拍車をかける。

 

10月某日、Charisma.comさんの「どっと祭」というイベントに行ってきまして、そこに水曜日のカンパネラさんも出ていまして。それが最初の出会いでした。

『星一徹』という歌で小さなちゃぶ台(あれは発泡スチロール製なんだろうか)を客席に

投げては回収、
投げては回収、
投げては回収、

というパフォーマンスが衝撃的だったのです。

パンクなバンドが客席にダイブするのは知っている(見たことはない)けど、ちゃぶ台を回収しにステージから降りて歌いながら歩き回るシンガーを見るのはもちろん初めてで、しかもその間ボクらお客さんは正座しているんです。『星一徹』だから。

 

で、10月23日(平日です)、渋谷で対バンライブがありまして、

仕事の合間を縫って行ってきました。

 

 

この日はお菓子を入れたバスケット片手に客席の奥までずんずん突き進み、これまた中毒曲『マリー・アントワネット』で

「お菓子を食べればいいじゃない!」

と叫びながらお菓子をばらまいてくれました。

 

 

その2週間後の11月5日(平日です)、アルバム『私を鬼ヶ島に連れてって』の発売記念インストアライブ!ふたたび仕事の合間を縫ってお友達と行ってきましたタワーレコード新宿店。

サインもろてきました。
握手しておしゃべりもしてきました。
お菓子とキヴィ団子はもらえませんでした。

SFCの人だって。頭いいんだな。

 

すっかり、どっぷり。

 

 

かわいくて、先が読めなくて、歌詞に固有名詞がばんばん出てきて、かつての井上陽水やらスチャダラパーやらで大きくなったアラサーおっさんの心を鷲づかみです。日本語で遊びまくってることが、なんというか羨ましい。

 

水曜日のカンパネラ(Twitter)

 

「お菓子を食べればいいじゃない!」

ぐうの音も出ない僕は
しっとりもちもちキヴィ団子に手を伸ばす。

 

アルバムの試聴はこちら

カンヌ勉強会 2014 – ダイレクト系など

昨日のカンヌ勉強会 2014 – フィルム系に続き、河尻さんによる、ダイレクト、プロモ、チタニウムなどで受賞しそうなものをピックアップ。

 

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河尻さんチョイス
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▼ FIRST KISS

WREN(ウォーレン)というアパレルブランドの服を着ている男女。初対面同士の彼らにカメラの前でラブシーンを演じてもらうドキュメントフィルム。「素人」が何かするのは定番になっていて、キスまでしてもらえるようになった。素人がファッションモデルの代わりをしている。
YouTubeで8,000万ビューを超えている。

 

▼ Skype – Stay Together

フィルム系だけど、これも「素人」が出ているシリーズ。血も通わないようなイメージのSkypeがやっているという面白さ。笑いを求めてない。感動を求めている。感動はシェアを生みやすい。

【COMMENT】
笑いは文化的な背景や笑いに対する成熟度などに差異が出てしまうので、それに比べて感動系の方が広くあまねく共感を得やすいんでしょう。あと、素人が主人公になるというのは世界的な流れなんですかね。

 

これもフィルム系だけど‥‥

▼ John Lewis Christmas Advert 2013 – The Bear & The Hare

ディズニーのチームが手がけたらしい。

じつは全編CGではなくコマ撮り撮影で作られた!という驚きもある。

メイキングを見ることで二度驚く。そんなメイキングを見せることももはや当たり前の手法になりつつある。

 

▼ Digital News paper holder

アワードムービーの典型。社会的背景、問題点→アイデア→メイキング→仕組み(図説)→効果→成果。

 

▼ British Airways – #lookup in Piccadilly Circus

子供の頃を思い出させるビジュアルをインタラクティブに再現しただけでなく、ビルボードには飛行機のフライトナンバーや目的地なども表示されるとのこと。でも単純に素敵。

ケーススタディビデオもあったのでご紹介します。

 

▼ MILKA – LAST SQUARE

パッケージにIDが書かれていて、それを元に「ひとつだけ欠けたチョコ」を大切な人に贈れるサービス。企業姿勢を体現。

河尻:チョコ1欠片もらって嬉しいんかな?っていうのはありますけどね(笑)。
石井:でもリアルに1つ欠けたパッケージになっていて、それを贈るところまでやってるのはすごい。パッケージのビジュアルが上手い。

 

▼ DHL – DHL is Faster

温度で変わるインクを仕込ませた箱を用意して、ライバル社に運ばせる。
河尻:「なかなか挑戦的ですけどYouTubeでもそんなにバズってなくて(笑)」

【COMMENT】
騙すという手法は昔からありましたが、そこにテクノロジーを上手く使っていて、かつ、さほど手が込んでいない(シンプル)という点に好感を持ちます。

このほかで上手な「騙しの手口」としては、オランダの『Sweetie』がすごい。

児童売春の撲滅を目指す団体が仕掛けた、CGの「10歳のフィリピン人少女」。1,000人以上が検挙されたという実績が評価されそうです。
これ自体はぜんぜん「広告」じゃないですが、このYouTube動画から団体への寄付ができるようにもなっています。

 

▼ NAR mobile – Life saving cable project

スマホ同士をつなげるケーブルで、充電を分け与える仕組みを通して献血を訴えた。
分かりやすいけど本当にこんなことできるのかな?

 

▼ social swipe

カードをスワイプすればパンが切れる。=募金になる。
見れば分かる。ビジュアルのつくり方が上手い。

【COMMENT】
British Airwaysもそうですが、デジタルサイネージ広告にインタラクティブ性が加わったものは、元々が交通広告という「通り過ぎて無視される」という問題との闘いであることを考えると、ビジュアルもオチも分かりやすいことが大前提。その意味でsocial swipeはさらにソーシャルグッドな意味合いもプラスされてて素敵だと思いました。

紹介されていなかったデジタルサイネージの事例で個人的に好きなのはコレ。

Unbelievable Bus Shelter | Pepsi Max

あと、コレも。

Photoshop Live – Street Retouch Prank

コレも分かりやすい。

 

▼ climate name change

one show受賞作。
台風の名前は人名(カトリーナなど)だから、自分たちで決めたい。
気候変動がこんなに起きてるのに何も政策を立てない政治家の名前をつけてやろう!というNPO団体の運動。
石井:去年も似た考えのがありましたよね、ロシアで。
河尻:悪路を放置する行政に対して、その道路で政治家の顔を描いて、工事させることで消させたやつですね。

 

 

そろそろウェアラブルも出てくるのでは?

▼ Ravijour – TRUE LOVE TESTER

Ravijourという、セクシーさが売りの下着メーカー。
制作はPerfumeの演出でおなじみのライゾマ!いいなぁ。

 

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カンヌ現地の情報
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・今年は97カ国から37,400エントリーがあった
・カンヌ現地では三位一体の楽しみ方をしましょう

 CELEBRATION:賞としてのカンヌ
 LEARNING:60個あるセミナーも出た方がいい。ルー・リードとか(※)。
 NETWORKING:10,000人が交流を深める。名刺が何枚あっても足りない。ヘッドハンティングも。

1日に1回、人気セミナーをYouTubeで生中継しているので見てみましょう。

※今年はU2 ボノとAppleのデザイナー、ジョナサン・アイヴが登壇するとか。

cannes_guest

石井:現地で学ぶ広告漬けの1週間なんてない。自分は何ができるだろう?ということを見つめ直せる機会。行かなくても分かることももちろんある、が、世界一の広告祭としてそこにしかない熱がある。日本から抱えてきた仕事もあってパーティーもあって今年はW杯もあるから寝られないけど、それもひっくるめて修行みたいな重要な場所。

・日本にいる人は受賞速報とセミナーまとめを活用しましょう

6/28(土)14:00〜17:00
報告会をやられるそうです。

 

以上です。

最後に、河尻さんが「時間がなく紹介できなかった」作品をFacebookにアップされていたので、そちらをコピペして終わりにします。

▼ 43dbオーケストラ

▼ Google“Night walk in marseille” 
https://nightwalk.withgoogle.com/en/home

▼ giraaf

▼ spotify“forgotify”
http://forgotify.com/

▼ coca-cola – Radar for Good

★Sound of Honda“Ayrton Senna 1989”

これもライゾマティクス制作。素晴らしい。プロの仕事。

★NYC Recalling 1993 

 

6月15日からのアワードの現地速報が楽しみです。

カンヌ勉強会 2014 – フィルム系

2014年も6月に入り関東は梅雨に突入‥‥と同時に広告業界ではCannes Lionsの季節の到来でもあります。

今年は6月15日〜21日に開催。
今年は6月15日〜21日に開催。

今年も銀河ライター 河尻亨一さん(編集者)とキラメキ 石井義樹さん(CMプロデューサー)によるチョイスで「今年のカンヌ」を予想するプレ勉強会が開かれました。キラメキのオフィスでワインあけながら4、5人でやってた頃がちょっと懐かしい、100人規模の大きなイベント(しかも場所は京橋の東京スクエアガーデン)になっててびっくり。

 

以下にまとめてみましたが、「10 over 9」原口さんのNAVERまとめも分かりやすい&内容はほぼ一緒なので、そちらもオススメです。僕は僕で感想や他の事例も折り込みつつ書いてみます。

NAVERまとめ:前編(フィルム、フィルムクラフト部門への予想)
NAVERまとめ:後編(ダイレクト、PR、プロモ、デザイン、サイバー、モバイル、アウトドア、チタニウムなどへの予想)

 

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予想しにくい
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One Show、Newyork Festivalがあったものの、今年はCLIOが秋に移動しちゃったので予想しにくい。また、昨年が60周年ということもあり総じてレベルが高かったので今年は揺り戻しで低いかも。今年突然出した作品がダークホース的に受賞しちゃうかもしれない。

 

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クルマのコマーシャルが面白い
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▼ Volvo Trucks – The Epic Split feat. Van Damme (Live Test 6)

One Showグランプリ

石井:今年のグランプリ候補はこれなのかなー。他に強いCMがあまりないから。「最後にオチと意味がわかる」という、昔からのカンヌの(広告の)文法。圧倒的なクオリティ。英語がわからなくても、ボルボのトラックのスタビリティが優れていることを言ってるんだなーというのは伝わってくる。いわゆるLIVE TEST(実証広告)。

じつは6つあるシリーズのひとつで、これのティザーがまたイイ。

ヴァンダムのうろたえっぷりがカワイイ。
河尻:メイキングじゃなくてティザーなんですね。

 

▼ Volvo truck dynamic steering

これもOne Show獲ってる。

河尻:オチはバレるものだから最初から伝える。
実験、テスト的な作品。やってみた系、エクストリーム系
それをいかに広告ぽく見せないか。エンタメですらある。

【COMMENT】
そういえば昔、Googleも「SPEED TEST」(※)で湧かせましたが、実証広告ってバカバカしく極限に挑戦するというだけで笑えるし、男子小学生っぽいノリにその企業を好きになってしまいそうになる。Volvoはエンヤの品も無駄にあって、ディレクターの料理が素晴らしい。無駄に掛ける美学、の贅沢さ。

※Google – SPEED TESTS

 

▼ Honda – Illusions

石井:初っぱなでネタのからくりが分かっても騙されっぷりが気持ちいいからシェアされていく。シェアされることを意識して作っている。ロンドンのCMプロダクションgourgiosのクリス・パルマー監督(カンヌ常連)による仕事。近年多い流れとして、トップクラスの監督やカメラマンと制作費を使って、YouTubeでバズることを意図している。

たとえばthe mill(※)という世界有数のプロダクションが、どこまでが実写かを分からせないくらいのクオリティで映像をつくってYouTubeで爆発的にシェアされる時代。

【COMMENT】
the millがつくったCMで最近話題になったモノといえば、NIKEの「Winner Stays」。

お金かかってますね。贅沢さにアッパレ。

 

▼ Honda – Hands

石井:明らかにカンヌを取ろうと思ってる感がありますけどね(笑)。
ホンダの名作「The Cog」(※)からの流れを汲んだ「ナット1個からはじまるモノづくり精神」を手のひらで見せていくというシンプルさ。これまでの海外の作品が詰まってる、オマージュみたいな作品。

【COMMENT】
※The Cog(2003年)

古さを一切感じさせない。

 

▼ フォルクスワーゲン – Wings

スーパーボウルのCM。

 

▼ Chrysler and Bob Dylan Super Bowl Commercial

一昨年のクリント・イーストウッド(※)からのシリーズ。
今回はボブ・ディラン。アメリカの車づくりは最高であるというメッセージ。

※It’s halftime in America(実際、スーパーボールのハーフタイムに放送された)

 

▼ Video Bob Dylan
http://video.bobdylan.com/
撮影した物をTVみたいにザッピングでき、like a rolling stoneのように見られる。

 

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感動!
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▼ Apple Holiday

石井:個人的に好きなのはコレ。
One Show獲ってますね。感動系。カンヌでも何か獲るんじゃないかなと思ってる。
監督はランス・アコード。

ランス・アコードといえば‥‥これも。

 

▼ P&G Thank You, Mom

ソチ・オリンピックのP&Gの広告。
ロンドンオリンピックの続編。当時もゴールドを獲得。家庭用品をずっと作っているブランドとしてストレートなメッセージ。

ランス・アコードは元々カメラマンで、『マルコヴィッチの穴』や『ロスト・イン・トランスレーション』の撮影監督。VWの『the Force』(2011年)で監督として名前が売れた。長尺の編集が上手い。

 

▼ Google We’re All Storytellers

検索が可能性を拓くというGoogleならではのCM。

 

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笑い!
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▼ Old Spice シリーズ

良いにおいになった息子がモテるからナイスじゃない、けどつけたらモテるという話。
グランプリじゃなくてシルバーあたりを獲りそう。

 

▼ Budweiser Super Bowl XLVIII Commercial — “Puppy Love”

河尻:子犬と馬の話がアメリカ人は好きなんでしょうね。
カンヌって笑いのCMの殿堂みたいなとこがあった。今は違うけど。

 

▼ 2014 Super Bowl XLVIII Ad “Ian Up For Whatever”

パーフェクトなことばっかり起きるビールが「BUD LIGHT」というメッセージ。素人を使ったドッキリ企画だが、賛否両論あった。

 

冒頭でも言われていましたが、総じて今年は小粒な印象だそうです。それは昨年がカンヌ創立60周年記念で気合いの入ったCMが多く見られた分の揺り戻しか?という話も出ていましたが、フタを開けてみなければ分かりません。というわけで、明日は河尻さんパートの「ダイレクト、PR、プロモ、デザイン、サイバー、モバイル、アウトドア、チタニウムなどへの予想」をまとめてみます。明日につづく。

10代の通り道にスタンフィールド捜査官

先日、妻(1980年うまれ・33歳)がこんなことを言っていました。

「世のアラサー女はすべからく10代にゲイリー・オールドマンにやられてるよね!」

「うんうん、レオンのね!あの狂気じみた震えでフリスクを噛むあの表情な!」

と、大学の同級生であり漫画家の友達(同 33歳)。

え、あれ、フリスクだったの?
眠気覚まし?口臭予防?

やっぱ違うよね。

それにしてもしびれる登場シーン!!!

 

そう、おなじ80年生まれの僕も通りました、レオン。
日本公開が1995年で、翌年にテレビ放送されたとすると96年だから16歳。

居間と台所の間にあった実家ののれんを両手で優雅に開いたりしたものでした。

そんな多感な10代に観ちゃった映画は一生モノ。
一生ひきずって、こじらせていくしかないのです。

それが我々松坂世代(ただし体育会系ではない)にとっては
『レオン』であり『セブン』であり『ガタカ』であり『アキラ』。
どれもビデオテープがすり切れるほど見返しました。

声優さんのセリフ回しまで暗記したよ。
今思えば、英語で見とけばよかったよ。
映画オタクの証明以外で役に立たないよ。