コマーシャル博覧会 vol.02の続き、最終回です。
月別: 2010年12月
コマーシャル博覧会 vol.02
コマーシャル博覧会 vol.01の続きを書きます。
ACC創立50周年記念 『コマーシャル博覧会』
特別講演「CMをつくってきた人たち、50年の物語」
講師:小田桐昭さん(Ogilvy & Mather Japan最高顧問)
お話の続きは、日本のTVCMの創成期を築いてきた中心人物、杉山登志。
杉山登志(すぎやま とし・1936年8月7日 – 1973年12月12日)
日本のCMディレクター。本名は杉山登志雄。テレビ草創期から数多くのテレビCMを製作し、国内外の賞を数多く受賞。天才の名をほしいままにしたが、自らのキャリアの絶頂にあった1973年12月12日、東京都港区赤坂の自宅マンションで首を吊って自殺。享年37。
(Wikipediaより)
小田桐さん:
「テレビCMの黎明。杉山登志を中心とした日天(日本天然色映画株式会社)の時代。今までは映画業界から流入して仕事が成り立っていましたが、日天はデザインの観点からCMを創り出した。日天の内部競争は非常に激しかった。とくに杉山登志さんと葛上周次さんのライバル関係は凄まじかった」
「当時、テレビはアップのメディアだと言われていたが、杉山さんはアップとロングの対比 、バランスが優れていた」
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=FoUoGz0Oefs&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
個人的には下のCMが好きです。今でもかっこいい!
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=0Vk8GtmYi_k&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
ちなみに、杉山さんの作品集DVDはYouTubeにも上がっていない名作が59本収録されていてオススメです。
「CMで選ぶ、企画の時代。『電通ラ・テ企』からCMプランナーのルーツ(※ラ・テとはラジオ・テレビの略。当時はラジオが先頭でした)。ラテキをリードしたふたり、山川浩二さんと、内藤俊夫さん」
ここでどんなCMが流されたのか、残念ながら失念しました。
「電通映画社(電通テック)の台頭。映画社の二本松といわれた、松尾慎吾さんと松浦さん。松尾さんといえば、レナウン イエイエ」
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=fm6xs0fbCAI&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
「60秒のエッセイスト、東條忠義さん。先にナレーションを書いてからコンテを描く人でした」
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=pFQAtFYzlhg&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
「1973年 杉山登志、その死と日天の落日。1970年代は制作プロダクションから広告代理店の時代へ。杉山さんは37歳の若さで自殺をしてしまいます」
その後、日天もまた杉山さんの死を契機にゆっくりと終焉を迎えます。赤坂のマンションに残された遺書も、まるで広告のナレーションのようですらあります。
リッチでないのにリッチな世界など分かりません。
ハッピーでないのにハッピーな世界など描けません。
夢がないのに 夢を売ることなどは……とても……
嘘をついてもばれるものです
「博報堂のふたり 沼上満雄さんと藤井達朗さん。藤井さんは48歳で亡くなった。サントリーレッドのCMや日清どん兵衛など。彼が長生きしたらその後の博報堂がどう変わっていたか、見てみたかった」
このシリーズは檀れいさんの金麦にも通じるものが流れていそう。
「愛」のストレートでない表現がよくて、個人的にはレッド派です。あ、レッドと金麦の間には「恋は、遠い日の花火ではない。」「愛だろ、愛っ。」も。
サントリーって、愛を広告する数少ないブランドかもしれません。
またしてもお酒の話になったところで、最終回、Vol.03へと続きます。
コマーシャル博覧会 vol.01
ACC(全日本シーエム放送連盟)の創立50周年記念イベント、
ACC創立50周年記念 『コマーシャル博覧会』
~CMの過去・現在・未来~
に参加してきました。
目玉は、日本のCM草創期からの数々の名作CMを見ながらその歴史を紐解く特別講演。講師は僕の大学の恩師でありCMプランナーという職種を築いてきたといっても過言ではないクリエイティブディレクター・小田桐昭さん。
まず、小田桐さんのカンヌ広告祭でグランプリを獲られたCMをご紹介。
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=kZhrkocKTGM&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
30年前に放送されていたものですが、今でも通じる高いクオリティ。未だに、奥さんと「どうやって撮ったんだろうね?」なんて話し合います(奥さんも受講生でした)。
他には
https://youtu.be/9-ZOrTRKokc
第二のハネムーン、「フルムーン」。
当時のインパクトは相当だったと推察されます。あの巨乳は(巨乳という言葉もない時代でしたが)、先生曰く「狙い」だったそうです。
小田桐先生の講義を聴くのは5年ぶり。いくつか、会場でメモした内容(小田桐さんのお話)をカギカッコで、それに対して思ったことをその下に書いていきます。
小田桐さん:
「小田桐といいます。50年に近いクリエイター人生は、CMの50年と共に歩んできました」
「日本のTVCMはCMソングから始まりました。三木鶏郎の時代‥‥」
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=Xuan2_L5G8c&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
「大人のユーモアと洒落。寿屋宣伝部を彩った人たち。それは、商品を売るというよりも、ウイスキー文化を売るクリエイティブでした」
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=BbSk1s7hH50&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]
「ウイスキー文化を売る」という言葉に、先日読み終えたばかりの佐藤達郎さん(博報堂DYメディアパートナーズ クリエイティブディレクター)の著書『教えて!カンヌ国際広告祭』に書かれていた「BRAND WILLという考え方」を思い出しました。
こういった「カテゴリーの価値に対するブランドの意志=WILLの表明」を中心とした広告コミュニケーションを、「BRAND WILL(ブランド・ウィル)中心型広告コミュニケーション」と名づけたいと思う。ブランドは商品と言い換えてもいい。また、WILLとは意志であり志であり志向性だともいえる。
(『教えて!カンヌ国際広告祭』P178より)
商品自体が新しいカテゴリーを開拓し、受け手に新しい生活を与えていた高度成長期の日本のTVCMと、商品メリットが細分化され受け手の目が肥えた現代でもなお評価されるカンヌの受賞CMたち。このふたつのコマーシャルが持つ表現、アプローチに「文化=意志=WILL」を売るという共通項があるんじゃないか?と思ったのです。図らずも。
「トリスは人気のキャラクター。柳原良平さんデザイン。アニメーションといえばディズニーのフルアニメーション全盛でしたが、リミテッドアニメーションと音楽が大人の洒落をうまく表現していた。音楽は、いずみたくさんなど、三木鶏郎門下生たち」
アンクルトリスは2010年の現在も生き生きと動いています。
http://youtu.be/kqN23ycyme4
トリスもだいぶかわいくなりましたね。
‥‥と、ここまで書いてきて、またしても長文になったので3回に分けることに。続きはこちら!