2013年版 宣伝会議賞さらけだし


与沢翼 秒速でホームレスへ 涙の告白

『秒速で1億円稼ぐ男』の破綻に関する記事の見出しです。秒速で鷲づかみにされちゃいました。これが『与沢翼 転落人生 涙の告白』とかだったら「ふーん」でスルーしてたかもしれない。

クリックさせる強力な見出し。
感銘とか感動とかはないけれど、僕は動かされました。

 

By the way…

第51回宣伝会議賞の1次審査以上の全7047作品が収録された
SKAT〈13〉―SENDENKAIGI AWARD TEXT』が発売されました。

僕も2年ぶりに出して
少ないながらも1次・2次に残ることができたので、
記録もかねてここにさらします。

その前に、『宣伝会議賞』について
よく知らないうちの両親のために、おさらい。

エステー、キヤノン、サントリー、パナソニックほか有名企業40社が出した広告テーマに、一般から48万8916点の広告コピーやCMのアイデアが集結。

過去には糸井重里さんもグランプリを獲った、
「コピーライターの登竜門」と呼ばれる公募大会です。

で、『SKAT』という本は

そのなかから、日本の広告を導く名クリエイターが厳選した7047点を収録しています。この世で最もアツく、最もスマートな「言葉」の勝負が今年も繰り広げられました。51年目を迎えた日本最大の公募広告賞の、節目となる一冊です。

宣伝会議社の紹介文より)

僕は2006年(8年前!)の第44回で「奨励賞」をいただきました。
賞金は5万円だったので、今でいうシルバーに相当するのだと思われます。

当時のBlogエントリーを読み返すと

応募総数20万624点の中から
ファイナリストの14人に残ることができ

とあります。
でも今年は

 

過去最高の応募数だって。
過去最高の応募数だって。

 

ぐへぇ。

で、

 

cac02

 

さらに、

 

cac03

 

しかも、

 

cac04

 

そして、

 

cac05

 

ここから、

グランプリ(賞金100万円)
コピーゴールド(同30万円)
CMゴールド(同30万円)
眞木準賞(同30万円)
シルバー(同5万円)

が1名ずつ選出されるという‥‥。

 

言葉が書ければ誰でも応募できそうですが、
プロのコピーライター、CMプランナーの審査を経て
『SKAT』に載る、さらに受賞するということは、
まぐれで選ばれる領域ではないと思います。

応募する人たちも1課題50本まで応募可能という制限の中で
MAXの2000本を提出する人がざらにいます。
それだけの、言葉のぶつかり合い。

 

そんな中で僕は今まで3回トライして、いずれも
30本くらいしか応募したことがありませんでした。

ナメてました。
反省しました。

今回は会社の後輩が「1000本は出す!」と奮起している中、
自分もいっちょやるか!と気合いを入れて

60本

出しました。

あいかわらず少ない。

書いたときも出したときも、
厳選して凝縮した60本だと自信満々でした。
ここから何十本残るだろう?くらいの気持ち。
なんですけどね。

見返すと、ひどい。

はい、うだうだ言ってないで、
残ったのはこれらです。

 

■ECC
〈ECCで外国語を習う動機づけとなるような広告〉

困っている人に声をかけられて、逃げた。

 

■牛乳石鹸共進社
〈「赤箱」を20代〜30代の女性の方に自分用だと感じてもらえるコピー〉

バスルームの日本代表です。

 

■BookLive
〈BookLive! の電子書籍サービスを使ってみたくなるコピー〉

読書家に見えないのが残念だ。

 

ずいぶんと引っ張っておいて、紹介は一瞬で終わり。

自分がコマを進められたのは上記の3本。
結果は1次審査が2本と2次審査が1本でした。

skat

と、さらしてみたものの、大事なのはむしろ
SKATに載っている全国から集いし7044作品の方で。
「こんな視点があったのか!」と身悶えているところです。
自分、さぼってたなぁ‥‥。

(受賞コピーはこちらで見られます)

 

正直、コピーを考えているときは

「これはコピーで解決するよりも
こういうキャンペーンを張った方がいいのでは?」

とか、

「こういう運動を仕掛けた方が効果ありそう」

などと思うことの方が多かったりします。

「それ、コピーだけでどうにかなる問題ちゃうやろ」

と言いたくなる課題も多い。

ファイナリストに残った作品たちを見ても、

「なるほど、そんな視点が!」

と感嘆するものや、

「あー、わかるわかる」

と共感するもありますが、

「いやそれは言葉遊びなだけでしょ」
「それで人が動くとは思えないなぁ」

と反発したくなることもあります。

なんというか、「宣伝会議賞っぽいコピー」というものや
「コピー風味」、「雰囲気コピー」と呼ばれるようなものが
この公募には集まりがちだなぁと感じることが多い。

コピーライターになりたがる=コピーになりたがるコピーを書く
という罠(?)にはまりがちというか。

課題解決をニュートラルに考える仕事と違って、
みんなに開かれた公募なので、仕方ないかなと思います。

自分が書いたものでさえ、読み返すと意味がわからない。
牛乳石鹸で「バスルームの日本代表です。」って何がいいのか。
一次審査を通してくださった審査員の方には感謝!ですが、
石鹸のシズルもないし、女性向けでもないし、うーん。

30代女性の自分の奥さんに聞いても
「はぁ‥‥。で?」
と首をかしげられるだけなのでした。

出したときは自信があったのに。

それでも上位に残るために参加するのは
意味があると考えてて。

それはやっぱり、
厳しい審査をかいくぐって残ったものたちが
自分では発見できなかった視点を教えてくれるから。

「コピーじゃなくて新しい仕組みを作った方が効くのでは?」と考えるにしても、
その仕組みを先導するコンセプトワードを考えることにつながるし。
視点を広げるためのブレストとしてはぜんぜん無駄じゃないし。

そして宣伝会議賞はコピーもしくはCMのコンテを
書いて出すことがルールの試合なわけだから、
そのルールの中でもがくのが正しい姿‥‥って当たり前か。

てな感じで、
30本とか60本とかしか出さないでいると
正しく楽しめないし、正しく悔しがれないんだなぁと気づけました。
レベルの低い気づきですね、今さら。

 

今週末は「秒速でホームレスへ」に感心しながら
『SKAT』の7000本(のうちのいくつか)に感嘆しています。

人を動かす、鋭敏な言葉が書けるようになりたい。


tacrow
伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年:武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業。 同年:博報堂アイ・スタジオにてプランナー/コピーライター職。 2012年〜:株式会社BIRDMANにてインタラクティブプランナー/ディレクター職。 2017年〜:株式会社某広告代理店にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職。 広告と映画と写真とあーりんをこよなく愛する37歳