Future Communica ! Vol.02

前回のPostにつづいて、
Future Communica ! まとめVol.02。

カンヌ広告祭の事例と、審査員・岸さんの見たコト

についてです。

会場には学生さんも多かったので、そもそもの「カンヌ広告祭とはなんぞや」さらっと紹介しつつ、話はどんどん具体的かつディープに。

 

岸さん:
「カンヌ広告祭にインターネット広告を評価するサイバー部門が登場したのが1998年。今では2,597エントリーがあり、昨年より18%アップした人気カテゴリ。

通常、カンヌでサイバーの膨大な作品を審査するには、プレゼンビデオを見ていく。内容そのものより、ビデオが上手ければ評価されることも。いわゆる“ビデオの魔術師”が存在する。だが、今年の審査委員長、ジェフ・ボカウスキー氏は違った。

 “僕らが見るのはビデオではない。サイトだ!

素晴らしい提案に拍手が起こった。ただ、そのぶん時間がかかる!非常に疲れる!サイトには尺がない。どれだけ見るかはその人次第だから。過酷すぎて、ブースが“少林寺”とあだ名されるほど(笑)」

岸さん:
「審査時はちょうどワールドカップ南アフリカ大会の真っ最中で、よく他の部門の審査員が試合結果を聞きに来たり、サイバーの審査をしてるはずのアルゼンチンの審査員がなぜか急にガッツポーズをしていたが、審査はみんなまじめにやってます」

 

ここで、岸さんが審査員を務めて感じた、世界的な3つの潮流をご紹介。

  • Real and Realtime Interactive (リアルな感覚を即時反映する)
  • Using Social Media (ソーシャルメディアの活用)
  • High Quality Kraft (ハイレベルな作り込み)

 

Real and Realtime Interactiveについて。

岸さん:
「サイバーメディアだからこそリアルな感覚を、リアルタイムに反映する。そういうアプローチで秀逸だったものから紹介します」

 

■WebサイトでのReal and Realtime Interactive

1969年の7月に行われた、アポロ11号の打ち上げの様子を“リアルタイム配信”するWebサイト「We Choose The Moon

(参考記事:ITmedia)

岸さん:
「Webの大きな価値は、アーカイヴできること。We Choose The Moonは、40年前のアポロ11号の発射と同じ日の同じ時刻で発射されるまでを克明に再現している。つまり、時間ごとアーカイヴしているところがすごくイイ。クラフト(作り込み)も非常にレベルが高い」

 

TVの討論番組で、候補者にビンタをかまして“参加”するSlapometer

 

防水性の携帯電話に電話をかけて、水の中に落としたらプレゼントしちゃうWebサイト(SAMSUNG)

[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=xH-ciUL12XQ&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]

(こういうの好きです)

 

映画を見る前に登録した携帯電話の番号に、スクリーンの主人公から電話がかかってくる(!)『Last call』

[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=BRMNfwndtok&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]

たしかに、どれも発想がユニークなうえに、クオリティが高い!

 

■AR(拡張現実)やWebCameraを使った
 Real and Realtime Interactive

カメラで特定のマーカーを撮影し、擬似的に3D表現を合成するAR技術の流行年だったようです。インターフェイスの特性を捉えたものが評価されました(逆に、意味もなくAR使っちゃった系は軒並み敗退)。

 

好きなIKEAの商品を自分の部屋やオフィスの写真に重ね合わせて、実際のイメージを見ることができる
『IKEA Interactive Catalogue』

[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=tqeLNxoBtjM&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]

岸さん:
「IKEAのARは高い注目と評価を得て受賞となったけど、実は学生が作った作品のパクリなんです。そのことを審査員は知らなかった。元ネタを知っておくのも審査員に求められることだと思いますね」

 

グラビア誌『プレイボーイ』のモデル募集サイト。
Casting Playboy

[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=xTe9YVyRvhU&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]

残念ながら女性審査員の「待った」が入ってショートリストから外されたそうですが、通常では考えられないほどの応募にふくれあがったとか。

 

手書き文字をフォントとして読み込んでメールを送れる、ペンの広告サイト『Pilot handwriting

[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=pHl8UEewbN8&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]

 

チャット風の画面から、突然暴力がはじまり‥‥「女性への暴力を見たら通報してください」と訴えるサイト。
Do You Chat ?

 

究極的には、こういうことですね。↓

荷物を入れる箱のサイズがバーチャル(AR)で測れちゃう!
『virtual box simulator』

[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=tp0EyeXayNM&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]

 

あ、Real and Realtime Interactive の事例紹介だけで長文になってしまったので、Using Social Media以降はまたつづきます。Ciao !


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職

「Future Communica ! Vol.02」への1件のフィードバック

コメントは受け付けていません。