茜色

高校時代の友達と会った。
彼女はこの夏、入院していた。

退院後、北海道・東北を回って、
そのまま東京まで来たんだと言う。

そんなことして大丈夫なん?と聞いても
平気そうに笑うだけで、少し安心した。

久々のおしゃべりは互いの進路や闘病生活の話で盛り上がった。

彼女は、神戸の大学院を出たら
とにかく家庭を築きたいと言っていた。
仕事はその次だそうだ。
少なからず入院という経験が思考にも影響して、
今の「家庭第一」に落ち着いたんだと話してくれた。

僕も昨年の闘病生活はモノの考え方にすごく影響を及ぼしたが、
とりあえずは死なない程度に好きなことをやっていたいだけだ。

コドモだと思う。
けど、管に巻かれて好きなことも出来ず、寝返りも打てない
生活を一か月も経験すると、あながちコドモとも言い切れない。

あの時の苦しみは、大袈裟だけど今を生きるためにあったんだと思う。
二十日間の意識不明から甦ったんだから、
今はたくさん本を読んで、旅行をして、写真を撮りたい。
就職とか考える時期だし、人生は甘くないけども。

例えば、海外旅行を自由に出来るのは今だけだよ、
と言う彼女の言葉は本当だと思うし、彼女が今回の北海道東北旅行を
からだのことを(ある意味)無視して決行した気持ちがよくわかる。

忙しいって連発する人はかっこわるいよね、とか、
建築という仕事の話、写真のコト、いろいろ。
次に会った時、同じ話題を話すか。どう話すか。
ちょっと楽しみ。


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職