Listen to Jazz and Rain

最近のお気に入りです。

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「Listen to Jazz and Rain」は雨の音とともにジャズが聴けるサイトです。サイトにアクセスすると雨の音が小さく聞こえてきます。SoundCloudのプレーヤーが埋め込まれており、再生するとジャズが聴こえてきます。集中したいときに使えそうですね。

ライフハッカーより)

雨音だけでも、イイ感じです。

多少の雑音が適度な集中力を保つ、といいますが、カフェなどで仕事をするとき、隣のお客さんの会話が妙に面白くて聞き耳を立ててしまう。仕事が進まなくなる。面白すぎて文字起こししてしまうことさえある。いかんいかん。

そんなときにこのサイトへ。
雨音がちょうどよく会話をかき消してくれます。

そうまでして外で仕事していたいか?って感じですが、していたいのです。

jazzandrain.com

With My Umbrella

 

顕微鏡から見た夢。

かどうかは知りませんが、そんな気がしたアニメーション。

 

作者の大橋史さん、ほかにも素敵な作品がいっぱい。

 

 

 

「分解」ってクセになる気持ちよさ。

クラウド アトラス

映画『クラウド アトラス』を観た。

 

 

一切の前情報なしに映画館のシートに座ると、19世紀から24世紀までの過去・現在・未来をめまぐるしく行き来する6つの物語が繰り広げられた172分間。ピクニックだと思って出かけたら本格的な登山だった‥‥というくらいに体力を消耗したけど、気づけば眼前にいい眺めが広がっていた、みたいな。面白かったです。今のところ今年No.1。

公式サイトに紹介されていたシノプシスがこの映画をずばり言い当てていたので(そりゃそーだ)、そのまま紹介。

 

国や人種、性別の境界線を超えた人間の本質を表現するために、同じ魂を持つ複数の人物を一人で演じるという、俳優の真の実力が問われる大胆かつ画期的なキャスティングが実行された。

トム・ハンクスに続き、
この挑戦を受けて立ったのは、ハル・ベリー、スーザン・サランドン、
ジム・ブロードベントら、アカデミー賞受賞の演技派スターたち。
さらにヒュー・グラント、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジム・スタージェス、ベン・ウィショー、韓国が誇る若手女優ペ・ドゥナなど、国際色豊かな豪華キャストが心と力を合わせ、壮大な叙事詩を紡ぎ出した。

ヒューマンドラマ、近未来SF、
アクション、ミステリー、ラブストーリー

—— いま『クラウド アトラス』の称号のもと、
全てのジャンルがひとつになり、
かつてないエンターテインメントを生みだした。
そして映画というジャンルさえも軽々と跳び越えて、
観る者の魂にダイレクトにつながるのは、
「私たちは何のために生きているのか?」という、
人類の永遠の疑問への答え。

天才監督と豪華キャストの手で、
いま、人生の謎が、解けようとしている ——

 

はい、というわけで、この映画は手塚治虫の『火の鳥』だな、と思いました。
(人によっては『マグノリア』だと言う人もいるかもしれません)

「同じ魂を持つ複数の人物を一人で演じるという、大胆かつ画期的なキャスティング」も、ヒゲ親父が時代や設定を超えていくつもの役を一人でこなすような、手塚漫画ではよく見る「スター・システム」。配役によってはかなりギャグに走ってるものもあって、それも狙いだと思いますが、いったいどこを狙ってんだ?とつっこみたくなる要素を入れちゃうあたりも、手塚治虫的な遊びだなぁと思ったりするのです。もっと意味のある演出意図があるのかもしれませんが、もしあったら知りたいなぁ。

また、「6つの物語が交錯する壮大な叙事詩」のようで、直接的には交錯していなかったり、6つ全部が壮大じゃなかったり(2012年パートがいちばんしょぼい)とチャーミングなところもある。観終わってみると、むしろこのアンバランスさ、チャーミングさがこの映画の旨味じゃないか?と思えてきます。

歴史に残る壮大なことや、そうでないこと。その両面を同じ役者、共通のセリフ、あと忘れそうになるけど意味深な共通のあざが繋いでゆく。このあたりをチャーミングと捉えるか支離滅裂と捉えるかで賛否が分かれそうな映画ではあります。

この映画のもうひとつの魅力は、なんといってもペ・ドゥナ演じるクローン人間「ソンミ451」の群を抜いた存在感。是枝裕和監督の『空気人形』でもかなしい人形の役を完璧に演じていたけれど、今回はそれを上回る、厚みのある演技!存在が切ない。思い出すだけでも泣けてくる。

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壮大すぎてともすればついていくのが大変な物語(途中で帰っちゃうカップルもいました)を束ねるのは、『マトリックス』3部作のウォシャウスキー姉弟と『ラン・ローラ・ラン』のトム・ティクヴァ監督。数々の映画のオマージュでできた『マトリックス』のさらにオマージュとも取れるシーンも含まれており、あの映画にハマって19にして中2病を再発させた身としてはニヤリとしてしまいます。

くどいですが、手塚治虫先生が生きていたら気に入った映画じゃないかと思います。
小学生の頃に観た『トータル・リコール』(オリジナル版)くらい変な映画。

『クラウド アトラス』公式サイト

好きです。

タグボート岡康道(と僕)の3月14日

3月14日。TUGBOATのクリエイティブディレクター、CMプランナー・岡康道さんのエッセイ集『アイデアの直前 – タグボート岡康道の昨日・今日・明日』の刊行記念トークショーに行ってきました。

トークのお相手は、岡さんとは25年来の付き合いであるCMディレクター・中島信也さん。「とにかくこの本を売って売って売りまくる」という使命感(?)のもと、著書の中から信也さんが文章をピックアップしながらトークは進んでいきました。面白いエピソードが次から次へと出てくる中で、僕が記憶に残ったお話をメモしていきます(なので会話のようで会話形式じゃないです)。

 

岡さん:最初に中島信也さんに企画コンテを見せたときは「なんだか意味が分からない」と断られて、じゃあもうひとりの売れっ子で同じ名字の哲也(CMディレクター 中島哲也氏/映画『嫌われ松子の一生』、『告白』等の監督としても有名)の方にお願いしたんだよね。

信也さん:哲也が作ったのを見ても分かんなかった(笑)。けどいま見たら分かる。僕は奥手というか大器晩成型?成長が遅いんですよ。

 

誰からも特に何も言われない選択。
これが僕たちを取り巻く世界をつまらなくしている。
(著書より)

 

岡さん:インターネット上でのクレームとかツッコミとかがすぐ企業に飛び込んでくるようになって、クライアントは突飛な案をまず除外する。それによって僕らの仕事がずいぶん痩せてしまったと思うんです。だからそれに負けない選択をすればいいんです。誰かに何かを言われてもいいやと。…僕らがやってるダイワハウスのCMは、そういう意味でクライアントが偉いですよね。

 

 

広告は発信していないのではない。
発信を自ら聞こえなくしている。誰からも特に何も言われない広告をめざすために。
(著書より)

 

岡さん:発信していないというか、自滅しているんです(今の広告は)。自分で辞めているというか。クライアントがセンスがないからとかバカだからとか、そういうことは全然なくて、作り手が「メッセージはやめよう、強く伝わることは避けよう」としている。だけど広告はしなくちゃいけないから、誰からも何も言われない広告を目指すんです。誰からも何も言われない広告って、みんなが知っている人をTVに流すことなんです。だからタレントが出てきた方がいいんです。そしてヒット曲を流した方がいいんですね、かつての。決裁者が青春期を過ごした80年代90年代のヒット曲です。そうすれば誰からも何も言われない広告が出来ますよ。しかも一見メジャー感がありますよね。こうやって広告は自ら聞こえなくしているんだろうな、と思うんです。

 

 

広告のように不純な表現物がそんなにも健康的であることの不健康さに誰も気づかないのだろうか。(著書より)

 

岡さん:僕らは「明るく楽しいものを作れ」とよく言われるんですね。いけないのはその反対ですよね。でも広告って人に何かを売ろうとしているわけで。つまり目的が不純なんです。それが分かってるから、それをネタとして話せば不健康じゃないじゃないですか。ところが明るく楽しく爽やかに不純なことを企む人って、不健康でしょ?広告自体が健康的であろうとすること自体が病気だな、と僕は思う。逆に言えばすこし不健康な感じのある広告を作りたいんです。

 

 

 

信也さん:岡さん、けっこう不健康めのやつ、多いですよね。岡さんが企画したものってパーソナルな感覚なものが多い。それって一般的じゃない。すごく歪んでて。

 

 

つまり場違いとアイデアは一直線上に並んでいるのだ。(著書より)

 

岡さん:アイデアとはマイナーな、場違いなものなんです。それをメジャーにするのがクリエイティブディレクターやCMディレクターの仕事。だから場違いを恐れてはいけない。場の空気を読めない人っていますけど、それもある種、アイデアを言っている可能性があるんです。そういうのを打ち消していって穏やかに速やかに進行する会議って、結局なにも生み出していないことが多い。

 

‥‥というわけで、予定を1時間オーバーし、合計3時間弱にもわたる充実したトークセッションのごくごく一部を書き起こしました。ずいぶん真面目な箇所だけを抽出しましたが、現場は抱腹絶倒、笑いの絶えない3時間でした。

「広告はもともと不純なものだ」というお話は、岡さんの電通時代の先輩であり僕の大学時代の恩師でもあるクリエイティブディレクター・小田桐昭さんが授業で仰っていた「広告は猥雑なメディアです」という言葉とリンクしました。

これはその当時(2004年頃?)の講義ノート。

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授業では「堀井博次特集」「海外CM特集」などと銘打って数々のCMを見せて頂きました。僕がTUGBOATの作るCMのファンになったのは、その中の「岡康道特集」がきっかけでした。

 

 

大人(50代〜)になることが怖くなくなる、むしろちょっと楽しみになる本です。
自分はこんなにも真摯に生きられるだろうか。

関連リンク:TUGBOAT 10 Years_vol.01

すてきなソース

前の会社の後輩で、現在mountにいるデザイナー、長谷川弘佳ちゃんに声を掛けてもらってコピーをお手伝いした本が完成しました。

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arigato Inc. presents ART & Recipe BOOK
東京 西麻布フレンチレストラン Les Rendez-vous de Tokyoの アートレシピ本。 イラスト、デザイン、編集は 長谷川弘佳さんによる 簡単に作れるし 見て手に取るのもうきっとする素敵な1冊です。(Amazonの紹介文より)

ソースをテーマにした美しいレシピ集です。
まだ見ぬ新たなソースを求めるシェフの冒険、という世界観で書きました。
絵本のように読むことも、画集のように見て楽しむこともできます。

 

日曜日、出版記念パーティーが開かれました。
写真は、アートディレクター・長谷川弘佳と、Les Rendez-vous de Tokyoのオーナーでこの本の発起人の綾乃さん、そしてそのお二人を繋いだ、スープストックトーキョーやPASS THE BATONを展開する遠山正道さん。

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あれは2011年の春。大きな仕事で一週間会社に泊まり、ぎりぎりの精神状態でクライアントから没をくらって二人で大泣きした2年前からしてみれば、こんな素敵な本を誕生させた弘佳さんの成長には別の涙を誘うものがありました。

正直、すこしは「はじめての紙の仕事」らしい若葉マークっぷりが出ちゃうのかなと思っていたら、ぜんぜん。プロの仕事でした。そして、なにより作り手の愛情が感じられる本です。そういう体温のあるものに関わらせてもらったことに感謝です。

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SAUCE

ちょっと高いですが、いい本です。

Everything is remix

1999年に公開され一大ブームを巻き起こした映画『マトリックス』が、どんな映画作品を“Remix”してきたかをまとめた映像。

 

 

編集うまいなー。

監督のウォシャウスキー姉弟(兄は性転換手術をしたとか)は公開時にも「AKIRAや攻殻機動隊の影響は計り知れない」という旨をインタビューで答えていましたが、注目すべきはその再現性。中には「これはちょっと言いがかりだろ」と突っ込みたくなるものもありましたが、こうして並べてみるとやはり映画オタクが作った映画だったことを改めて思い知らされます。きっと頭の中に膨大かつ詳細なライブラリーがあって、そこで文献を漁りながら自分のジャンルの論文を書いている感覚なんだろうな。

 

以前、ももいろクローバーZのプロデュースでおなじみのヒャダインこと前山田健一さんが何かのインタビューで

「僕らはサンプリング世代だと思ってるんです」

的なことを話されていました。「僕ら」とか「世代」とかじゃなくて、自分自身についてだったかな?ちょっとうろ覚えです。

「大量の音楽データ、メロディやアレンジ、ビートが頭の中にストックされていて、そこから組み合わせを考えるだけ」と。『猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」』などを聴けば、めまぐるしい変調の中にこの人のストックの多さアレンジの妙を垣間見ます。

http://youtu.be/yFMDsBM57SU

そういえば『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督も同じような趣旨のことを話されていたのですが、出典がないものを書くのは危険ですね。でもどこかで読んですごく納得したんです。

「自分にはウルトラマンが原体験としてあった」ということや、ウルトラマンの実相寺監督の「実相寺アングル」が多用されているのは言うに及ばず、最新作の『ヱヴァンゲリオン Q』では自分の過去作品ですらトレースしちゃってますからね(ネタバレになるので分かる人だけ察してください)。トレースという言葉はあえて使いましたが、表現者の魂としてそこにあるのはオマージュだと思います。自分を超えた作品そのものへの。

 

優れたクリエイターほど脳内ライブラリーが豊富で、オタクで、勉強熱心。
もっとインプットしなきゃ、という思いで今日もももクロのPVを見ています(嘘)。

桜流し

去年いちばん聴いた曲は宇多田ヒカルの「桜流し」でした。

http://youtu.be/MU9Srs04sFU

2006年に代々木体育館でLIVEを観ました。当時も「Passion」、「This is Love」、「Traveling」、「Keep Tryin’」、「光」と数々の名曲を披露してくれましたが、「桜流し」の絞り込まれた言葉で綴られた歌詞と切ないメロディは、表現者・宇多田ヒカルの新しい扉を開いたと言っても過言ではないと思います。

自分の大切なものが愛おしくなる、なくしたくないと思う、でも花が散るように有限なんだと気づかされる、そんな歌。

 

紅白では美輪明宏さんの「ヨイトマケの唄」と、ももいろクローバーZのメドレーに喝采を送りました。2012年の年間では木村カエラ、Mr.Children、井上陽水、中島みゆきのLIVEとサマソニに行ってきました。今年はどんな新しい歌に出会えるか。これまで通り、できるだけ生で体験していきたい。

 

このRemixも好き。もちろんオリジナルがいちばんですけど。

[soundcloud url=”http://api.soundcloud.com/tracks/68552044″ iframe=”true” /]

UZA

AKB48の『UZA』を買ってみた。かっこいいねコレ。

でも「愛の意味とか分かっているのか?」って歌詞を恋愛禁止のグループに歌われるのはかなり皮肉が利いているな〜と思ったけど、よく考えてみたら、恋愛禁止だからこそ意味の深淵に近いところで悶々としている彼女たちの飢餓感あってこその問い、もしくは自問自答なのかもしれん、と思い返し、秋元深いなぁと感動を覚えたところです。

まるで強制的に餌を流し込まれ良質のフォアグラにされるカモのような感じか。
違うか。

『絵と言葉の一研究』

寄藤文平さんの『絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える』

本書は、アートディレクター、イラストレーターの寄藤文平氏が、「どうすれば、わかりやすく伝えられるのか」について、自分の経験とデザイン例を使って、解き明かしていったものです。

20年以上になるデザイナー歴の中で、寄藤氏が体得してきたイラストやデザインの技を自ら分析した本でもあり、彼の今後のデザインのテーマがつまっているアイデアノートでもあります。(Amazonの内容紹介より)

 

会社の後輩から借りたのですが、面白すぎて一気に読んじゃいました。

metro寄藤文平さんといえば、東京メトロのマナー広告「家でやろう。」シリーズや、『R25』の表紙キャラクター、JT「大人たばこ養成講座」でもお馴染みのアートディレクター。

均質な線と少ない色数、思わずツッコミを入れたくなるとぼけたキャラクター、それらをイヤラシサのない適度な風刺の効いたイラストにしてインフォグラフィックのように表現する人‥‥という、たぶん世間とそう変わらないイメージで「寄藤さんらしさ」を捉えていました。この本を読むまでは。

本の帯に「正直、わからなくなってきました。」と本当に正直にうろたえる著者のメッセージがありますが、ここまで正直すぎる独白を受け取ってよいものか?とこっちがうろたえるほど。絵と言葉を起こす、つまりイメージやアイデアを形に起こすプロセスが超超超克明に記録されています。これほどまでに奥底までダイブしないと表現は研ぎ澄まされないのか。

例えば第6章にある、「わかる」は「わかりやすい」とは違う、という話。

ふつうに考えて、ある物事が「わかる」とき、同時に「わからない」ことも増える。僕はデザインについて母よりもわかっているけれど、母よりも「わからない」と感じている。「わかる」というのは、「わからない」ことが生まれて、それをまた「わかる」という「わかる⇄わからない」の反復運動だと考えた方が自然だ。
 そのように考えると、「わかりやすくする」というのは「その運動をより活発にする」ことだといえる。「わかりやすく伝える」ことは、「その運動がより活発になるような伝え方をする」ということだ。
 だから、いきなり「わかった」状態にしようとしなくてもいい。「わかった」というのは運動をいったん打ち切ることだから、むしろ「わかりやすさ」の逆だ。「わからない」ほうがいいこともある。

さらに、次の一文を読んでどきっとしました。

 大量の「わかりやすさ」の中で、さらなる「わかりやすさ」を追求する。僕自身、そういう流れの中でデビューし、その求めに応えることで仕事を得てきたように思う。でも、いつのまにか、「わかりやすい」ことがそれだけで価値を持つようになった。

「わからなくても、わかりやすければいい」

 そこにあるのは「わかりやすさ」ではなくて、モノクロコピーのように単純化された水平線ではないかと思うけれど、そういう情報のほうが流通しやすい。

 おそらく、僕が引き裂かれた気持ちになったのは、元をたどっていくと、そのように「わかる」ことから「わかりやすさ」が分離しつつあるからではないかと思う。

「デザイナーを辞めようと考えていた」とまで仰るほどご自身の仕事を分析されている。その分析は僕らプランナーにも、コピーライターにも必要な視点であるように思います。

情報は「データ」と「インフォメーション」に分けられる、というお話や、1冊の本のブックデザインを30通り以上つくっていくアイデアの抽出法など、ちょっと謎解きをしているような、推理小説を読んでいるような没入感もあります。

 

数年前に『大人たばこ養成講座』のサイトリニューアルのご相談を受け、一度だけ事務所にお邪魔したことがあります。

そのとき、いかにしてあの長年続いてきたグラフィック広告をWeb上で面白くするか?の案をいくつか持参しましたが、ぜんぶ没。

理由は「文字を読んでから絵で笑わす順序になっていないからなんです」。確かに見返すとそうなってました。僕が持って行ったのは「あの寄藤さんの絵で」「なんか賑やかなことをして」「文字で補足しよう」としてた。マナー広告という目的からもちょっと逸脱してました。いま思えば。「正直、わからなく」なるほど考えを詰めきれてもいませんでした。当時の自分に読ませたい。

お正月休みの課題図書におすすめです。

コピーの今とこれから_3/3

TCC(東京コピーライターズクラブ)50周年特別企画のトークショー、『コピーの今とこれから』レポート、最終回です。

 

udon谷山さん:今年、「うどん県」っていう言葉が流行語大賞にノミネートされたんですね。でもTCCの新人賞には入らなかった。1票差で落ちちゃったんですよ。おそらく、「うどん県」って上手っぽくないんですね。テクニカルじゃないというか。でも世の中に広がったんですよね。

秋山さん:あれだけ見るとピンとこない。現象として見ないと。レディー・カガの方がまだピンとくるね。

谷山さん:レディー・カガも新人賞に落ちたんです。

秋山さん:あれも入ってないの?

谷山さん:入ってないです。

佐々木さん:うどん県とレディー・カガを落としたのは今年のTCCの汚点‥‥。

谷山さん:そこまで言いますか(笑)

佐々木さん:まちがいなくヒットしたし、話題になりましたからね。今後はいろんな県が「うちもうどん県みたいなのやろうよ」とか言うのが容易に想像できますし。だから来年に敗者復活賞をあげるとか。

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コピーの今とこれから_2/3

TCC(東京コピーライターズクラブ)50周年特別企画のトークショー、
『コピーの今とこれから』。レポート、2/3です(初回はこちら)。

クリエイティブディレクター・佐々木宏さんの

「1992年のJR東日本「その先の日本へ。」はCMのど真ん中にある言葉が企画にもなっていると思えた。CMをキャッチフレーズで思い出す」

というお話のつづきから。

 

佐々木さん:「祝!九州」も「MY FIRST AOMORI」も、CMの題名にはなっているけどキャッチフレーズにはなっていないな、っていう。その差は大きいと思います。そこはCMプランナーとコピーライターの確執っていうかね(笑)。これはあんまり言いたくないけど言う流れになったんで言いますけど‥‥。

秋山さん:(笑)

佐々木さん:きっと亡くなられた眞木準さんも同感だと言ってくれると思うんですが‥‥「その先の日本へ。」は、コピーライターの秋山さんが受賞されて、もちろんプランナーも受賞したんですが、眞木準さんがコピーを書いた「東北大陸から」というキャンペーンは、眞木準さんは受賞されなかったんですよね。

佐々木さん:で、その年に岡(康道)くんが獲った2つのCMの2つともコピーは僕が書いたんですけど、僕も受賞しなかったんですよ。

谷山さん:眞木さんのことを言いつつ自分の恨み節じゃないですか(笑)

佐々木さん:いやいや眞木さんも同感だと思ってるはずなんで一応。ま、ほんとに大変なのはCMプランナーで、一行書いたくらいでもらうのは申し訳ないよな、っていう風に納得もしているんですけど、ただ、そんな感じで(スポットを当てる対象が)曖昧になってきたのが一時期のTCCだったんですね。こういうことを露骨に言うのは僕くらいなんですけど。

谷山さん:(笑)

boss佐々木さん:僕、サントリーBOSSの「宇宙人ジョーンズ」のCDもやってるんですけど、今から7年半くらい前に福里(真一)くんにCMプランナーになってもらって、グラフィックの方は(コピーライターの)照井(晶博)くんに入ってもらって。そのときに福里くんがCMのコンテに書いたのが「このすばらしき、ろくでもない世界」というコピーで、すごくいい!と思ったんですね。で、「照井、わるい!こっちで行かせてくれ」と連絡したんです。そしたら照井くんから「それでいいですけど逆さまにした方がいいです」って返事が来て。「ろくでもない世界」だと後味がよくないってことで「このろくでもない、すばらしき世界」になっていたんです。もちろんこの方が全然いいなと。なのでクレジットが出るときは2人の連名になっているんです。それはすごくいいことなんですけど、「宇宙人ジョーンズ」が賞を獲ったときには照井くんは受賞しなかったんですね。逆さまにしたってのはすごく大きなことなんですけど。そういう、ま、ちょっと世知辛い話ですけど、個人的には(賞が)もらえるかもらえないかってのは大事なことで。

谷山さん:(笑)

佐々木さん:毎年TCC賞は欲しいんですね。でもそろそろこの歳になってきたらアナタはもういいでしょう、と言われる。じゃあ何十年も先輩の秋山さんはどうなんだっていう(笑)

谷山さん:それで言うと、僕も澤本(嘉光)さんとやった「ガス・パッ・チョ!」は、僕、受賞してないですよ。

佐々木さん:あるよね。TSUBAKIも「あれは大貫(卓也)さんの仕事なんじゃないの?」とかさ(笑)。大物に持ってかれるというか。新潮文庫の「Yonda?」も獲ってないよね?

谷山さん:獲ってないです。

秋山さん:頭よすぎんじゃないの?

谷山さん:そんなことないです!僕は大貫さんの参謀みたいな役回りが好きなんです。

佐々木さん:その「ガス・パッ・チョ!」のCMプランナーだった澤本は、あるときから「CMの中にタグラインがきちっとあって、その言葉を元にCMが組み上げられているとすごく気持ちがいい」ってことを言い出したんですね。キャッチフレーズを大事にし出したんです。

彼がソフトバンク(の犬のお父さんシリーズ)をやる前にKDDIを僕と一緒にやってて、そのときに彼がマンガみたいなコンテの中に小さく「伝わってる?」って書いてたんです。

佐々木さん:それは通信業界の言葉が氾濫する中で「Just Do It」くらいに実に見事な言葉だと思って、この言葉がすごくいい!って僕は騒いでたんですね。この言葉自体を「すごく機能した言葉だよね」ってTCCは褒めてもいいんじゃないか?と思ったんですけど。

谷山さん:ちなみに、「ガス・パッ・チョ!」を書いたときは澤本さんに「くうねるあそぶ」みたいなコピーを書いてくださいって言われたんですけど、「くうねるあそぶ」みたいなコピーってよくわからないし僕には書けないので「ガス・パッ・チョ!」になったんです。

佐々木さん:日産セフィーロの「くうねるあそぶ」は糸井さんの名作コピーですけど、でも実はあのCMは井上陽水さんが窓を開けて「お元気ですかぁ?失礼しまーす」って言って、それがすごく話題になったんですよ。つまり「くうねるあそぶ」と「お元気ですかぁ?」の合わせ技ですけど、TCC的には「お元気ですかぁ?」に賞を与えるということにはならなかった。だからこれからは、CMのタグラインとCMの中にある言葉の両方を褒めるようになっていったらいいなと。

秋山さん:「くうねるあそぶ」は、何でいいと思った?食う、寝る、遊ぶ。じゃなくて。

谷山さん:句読点がないんですよね。

秋山さん:味もないんですよ。一行でぱっと書かれていて。最初に見たとき、これはすごいなと思った。やっぱり糸井さんはすごいんだよね。きめ細かい。

谷山さん:糸井さんが言ってたのが、「くうねるあそぶ?あ、食う、寝る、遊ぶか!」と、受け手の頭に汗をかかせることで記憶に残させる、と。

 

佐々木さん:僕は「ガス・パッ・チョ!」について話したいんだけど(笑)、最近思うのが、やっぱりライバルが大事って思うんですよ。いまは状況が違うけど、当時は東京電力のオール電化にするか、ガスにするか、っていうね。東電の「SWITCH!」と「ガス・パッ・チョ!」の両方があるというね。そこで面白い表現が生まれてくる。(※ナイキとアディダスもそうだなと思いました)

佐々木さん:それでいうと昔の資生堂とカネボウの夏の対決とかね。小野田隆雄さんが書かれた資生堂の「夏ダカラ、コウナッタ。」とか。

谷山さん:はい。

佐々木さん:その年のカネボウが何だったかは覚えていないんですが、夏の一大バトルだったわけですよ。そういう、ライバルがいる中で、この言葉を流行らせてやろう!とか、売りだそう!とか、わざとらしいくらいやってもいいんじゃないか?と思ってるんですね。そうじゃなくて九州新幹線みたいな感動的なものばかりが獲ると、それはもうクライアントが偉いんじゃないか?とか、九州が偉いんじゃないか?とか思えてくるんです。

 

つづきます!次回、ラスト

コピーの今とこれから_1/3

TCC(東京コピーライターズクラブ)50周年特別企画のトークショー、
『コピーの今とこれから』に行ってきました。

12月15日(土) 開場14:00 開演14:30-16:00
テーマ:『TCC50周年特別企画 コピーの今とこれから』
秋山晶氏(TCC賞/ライトパブリシティ)
佐々木宏氏(TCC賞/シンガタ)
司会:谷山雅計氏(谷山広告)

今年50周年をむかえるTCCの歴史をふり返りながら、
コピーの今とこれからをざっくばらんに語り合っていただきます。
ここでしか揃わない超豪華パネラーの競演をぜひ。

TCC公式サイトより)

いまさらこのお三方についてここでご紹介するまでもないですが、一応うちの親のために書いておくと、司会の谷山さんは新潮文庫の『Yonda?』や東京ガス『ガス・パッ・チョ!』、資生堂TSUBAKI、佐々木さんは『TOYOTA ReBORN』やソフトバンクの犬のお父さんシリーズ、『そうだ 京都、行こう。』、秋山さんはキリン ラガービールの『人は、人を思う。』やキユーピーの広告など(もっとあるけど乱暴に割愛!)を手がける、そうそうたる面々。

壇上に古めかしいモノクロテレビが鎮座しており、そこに50年分の日本の広告(CM)が流れるという趣向だったらしいですが、砂嵐しか映らなくなったらしく‥‥そんな機材トラブルに見舞われつつスタート。審査員ならではの本音が飛び交うトークショーでした。

※会場で速記しましたが、きっとここだけの話も多分にあるだろうなと思い、一部、僕の判断で割愛しています。

 

谷山さん:今日はよろしくお願いします。秋山さんは50周年の1期目の新人賞でしたっけ?ですよね?佐々木さんが1986年の新人賞、僕が87年の新人賞ですよね。

佐々木さん:いや〜、谷山くんの司会がキッチリしすぎてるから、どうも僕はそういうのを壊したいタチで(会場 笑)。ちょっとこのテレビどけてもいい?(笑)

秋山さんそこに美人が居るのに見えないよね
(昭和のテレビいきなり退場)

 

Q:おふたりがもっとも「いま」を感じたコピー・広告は何か?

佐々木さん:僕の(コピーの)代表作といえばすぐ『ダメ、ゼッタイ。』っていう麻薬撲滅運動のコピーが取り上げられて。なんと20年以上使われているんですけど、これといった賞も獲れず、TCCからも無視され(笑)、しかものりピーも出てたっていうね(会場 笑)。

僕はTCCが好きでずっと関わってきたんですけど、ある時期からわかんなくなってきたんですね。僕もCMプランナーで受賞してきた仕事もあるんですけど、2000年代からTCCもCM作品が獲るようになって、「どの言葉がいいか?」っていうことじゃなくて、いつしか大キャンペーンが受賞するようになった。それだとACCとかADCとかと変わらないね、という思いがTCCの中にあった時期もあったんですよ。言葉よりもコマーシャル、キャンペーンにスポットの当たりがちな時代がつづいた。コピーにスポットを当てようという動きもこれまであったけど、かといって、わざわざキャンペーン系を外して「ひっそりしたコピーを探そう」というのも極端でおかしな話で、そんな感じでTCCがちょっと迷った時期があったんですね。でも審査委員長の仲畑さんが「今年、コピー イケるんじゃないか!」と元気に言い出してね。それで、僕も「コピーって、コピーライターって、いいんじゃないか?」とまた思いだして。スギちゃんの「ワイルドだぜぇ?」よりも世の中に広まる言葉をコピーライターが送り出さなきゃ、って。

で、今年?よかったコピーって、そんなになかった(笑)。まずはじめに言いますと、磯島(拓矢)くんと東畑(幸多)くん、グランプリおめでとうございます。九州キャンペーンはぶっちぎりでグランプリを獲って、よかったけど、どれがコピー?っていう思いもあって。まさか「祝!九州」ってのがコピーとして獲ったんじゃないよなぁ?とか思う。キャンペーンでグランプリを獲るのは今年の九州新幹線までで、来年からは「このコピーで獲ったな」ってのがわかるようにしたい。このキャンペーンがもたらした素晴らしい偉業というのはあって、逆にこれがグランプリじゃなかったらおかしかったんですけど、ただ、言葉はどこにあるの?っていう。来年は「このコピーで獲ったんだな!」と思えるものが出るように、言葉を探す先頭に立ちたいなと思います。


2012年度TCC賞 グランプリ「九州新幹線全線開業」シリーズ

 

谷山さん:ちなみに来年のTCC審査員長は佐々木さんがされるんですよ。なので今のは佐々木さんの所信表明といいますか(笑)。秋山さんはいかがでした?

秋山さん:今年のTCCは楽しかったですよ。来年の審査員長に逆らうようだけど、九州新幹線のあの中にも、立派なコピー沢山ありましたよ。それは、「カメラは進行方向の左側にあります」というコピーは、いいコピーです(※九州の人々にCM撮影当日にエキストラとして参加してもらうための予告CM。「カメラは進行方向、向かって左側。左側から手を振ろう」と呼びかけていた)。あとは、磯島さんの、旭化成のヘーベルハウスで「緑はなくても、風は吹く」もよかったですね。両方ともすごく心が動きましたね。プラスの方に

http://youtu.be/yPj88zyf1JY
秋山さん:最高新人賞を獲った、ラジオのやつもよかった。

(クルマ用ファブリーズ-「でも、クサいヨ」)

秋山さん:通勤途中にJ-waveで聞いたんだけど、新しいと思った。まっすぐに届かせるよりも斜めから弾が来たっていうのは今風ですね。シニカルで、文化を感じました。この2つですね。

佐々木さん:秋山さんの話を聞いて、僕もいいと思いました(笑)

谷山さん:僕は、「緑はなくても、風は吹く」はすごくいいコピーだと思ったんですが、「カメラは進行方向の左側にあります」ってのはすっかり忘れてました。

秋山さん:あれは、ぶんなぐられましたよ。

佐々木さん:蛇足かもしれませんけど、じつはこの前年のTCCグランプリは青森の東北新幹線で高崎(卓馬)さんと一倉(宏)さんが獲りましたね。これもぶっちぎりで一等賞でしたね。これは一倉さんの「MY FIRST AOMORI」でしたよね。これも「祝!九州」といっしょで、キャッチフレーズはどれだ?って探すと「MY FIRST AOMORI」なんだけど、でも一倉さんってすばらしい名コピーを沢山書かれていて、そのお仕事の中で「MY FIRST AOMORI」がいちばんよかったか?というと、どうかな?と。一倉さんも照れてたんですけど。でも、秋山さんが『ブレーン』で書かれていたことが興味深くて。CMの中で吉幾三さん扮する地元の駅員さんが、三浦春馬さん演じる東京もんの新人駅員のことを「東京!」って呼ぶんですよね。あれがよかったって書かれていて、同感!って思ったんですね。あれは審査員の中にもずっと引っかかっていたんですよね。だからコピーって必ずしもキャッチフレーズだけってことじゃなくて。

 

谷山さん:おふたりが印象に残っているコピーって、CM全体の中の一部分を取り上げられていて。キャッチじゃなくて。かつてなら「男は黙ってサッポロビール」(※秋山さんの名コピー)とか、そういうのが真ん中にあったんですけど、いまはコピーが見えづらくなっているんでしょうか?

佐々木さん:コピーってグラフィックの中心にあったり、商品のことを言い当てていたり、世の中の提言だったりした時代があったけど、それが当たり前になって。そのなかでTCCは「タグラインが上手いか下手か」だけにこだわっていた時期もあったと思うんですよ。でも、同じ新幹線でも秋山さんがやられた「その先の日本へ」(1992年)は「その先の日本へ」というキャッチで思い出すんです。(※これは僕も同感!当時12歳でしたがあの“読後感”はCMが流れていた金曜ロードーショーとともに覚えています)

http://youtu.be/FgPQhg2I8rI

佐々木さんCMのど真ん中にある言葉が企画にもなっていると思えたんです。読むか読まないか?ってのも大きくて、椎名誠さんのナレーションで「その先の日本へ。JR東日本がお連れします」って言っているかどうか、っていうことかもしれないですけど。あの声がゾクッとくるし、あの言葉がかなり真ん中にあったなっていう気がするんですよね。

つづきはこちら

Telescope

西オーストラリアにある電波望遠鏡たち。

[vimeo http://www.vimeo.com/50121809 w=580&h=326]

 

ヤバイ、かっこいい。

子どもの頃に夢中になった『ウルトラセブン』や『サンダーバード』の基地を思い出させたり、映画『ガタカ』のなんとも言えない寂寥感を感じさせてくれたり。

あと、クッと首を振るさまがPerfumeっぽいと思うのは僕だけでしょうか。

全画面・ヘッドフォン推奨。

ニューヨーク旅行記 Vol.8

またまた休憩中だったニューヨーク旅行記を再開!
前回は滞在4日目、7月18日のSOHOでの出来事から書き始めたのでした。
そうでした(読み返して思い出す)。

 

気がつけばもう10月。いくらなんでも、この調子では夏の旅行記を半年かけて年内に書き終えるかどうかの瀬戸際です。あぁ筆無精。

 

・・・・・・・

 

Apple Store SOHOを出てひたすら歩き、ワシントンスクエアへ。
ここも大好きなドラマ『glee』のシーズン2で出てきた場所です。

[vimeo http://www.vimeo.com/46464345 w=570&h=342]

(この動画を貼るのも2回目)

 

それにしても、今回の旅は初日の夜にスコールが降るだけで、あとは晴天に恵まれてラッキーだな〜

と、公園のベンチに腰掛けたそのとき、

ゴロゴロ‥‥

 ピカッ

  どんがらがっしゃーん!!!

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あれ?たった数分で

 

なにこのインディペンデンス・デイ。

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青空は一気に厚い雲に覆われ、大粒の雨と雷が容赦なく降ってきます。

とりあえずワシントン・アーチの下へ避難ッ!

フランス人の家族連れ、イタリア系の団体さん、地元のミュージシャン、そして日本人の僕が狭いアーチの下で身を寄せ合うようにしてただ荒ぶる自然の猛威を見守ります。上半身裸でサッカーに明け暮れていた黒人の青年だけが、激しい雷鳴の下でもお構いなしにリフティングに興じています。なんかかっけーな。

 

その時の模様をデジカメで撮影しました。

[vimeo http://www.vimeo.com/50481953 w=580&h=327]

みんな呑気だな。むしろゲリラ豪雨を楽しんでる。

 

そうこうしているうちに雨はなんとヒョウになり、地面を叩きつける!さすがにカメラを構える余裕もなく寒さで震えていると、斜めから猛スピードで降ってきたゴルフボール大のヒョウが僕の頭を直撃しました。うん、痛い。こういうとき、一人旅の寂しさを実感します。「いったーい!」と言ってもリアクションしてくれる相手がいないから。

結局、日本で待つ(待ってはないか)奥さんに買ったサンダルの紙袋も箱も雨に溶かされむき出しになるほど、全身ずぶ濡れになってホテルへ退散。その日はMoMAへ行く予定をあきらめてシャワーを浴びて寝ました。

 

そうそう、そういえば、cafe Habanaで焼きトウモロコシを堪能したりSOHOの歴史的建造物を見て回ったりしていたときにApple Storeで発見した「明日、Gleeのクリス・コルファーが来店するよ」の立て看板。その後日談を。

翌日、ちゃっかり行って見てきました、生カート(Gleeでの役名)を!!

 

[vimeo http://www.vimeo.com/50462486 w=580&h=326]

 

何を言ってるのかわかりませんでしたがウケてたからよかった(誰目線だよ)。

ドラマでもリアルでもゲイのクリスですが、女性ファンからの羨望のまなざしがまぶしかった。そりゃこれだけ気さくでかわいかったら惚れるよね。

 

というわけで、NY旅行記、唐突に終了。
長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。

映像の中のプロジェクションマッピング

先日、東京駅で行われたイベントで初めてプロジェクションマッピングを見た話を書きましたが、その直後にTwitterで話題になっていた動画がこちら。

 

[vimeo http://www.vimeo.com/45569479 w=580&h=326]

 

実はもう2ヶ月も前に公開された作品で、「なんでまた今になって取り上げられてるんだろう?」と思いましたが、きっと東京駅の件でプロジェクションマッピングという手法自体に注目が集まり、再度話題になったのかと思います。

 

巨大建築など、投影するスクリーンのフォルムと質感を借りて新たな世界を描き出すタイプのプロジェクションマッピングがオーソドックスなもの(3Dプロジェクションマッピング)だとすれば、何もない立方体の中に世界を映して自由な角度で箱庭を映し出すこれは応用編の2Dプロジェクションマッピングと言えるのではないでしょうか。

そこで思い出されるのが、ミシェル・ゴンドリー監督のこの作品。

 

 

かつてのアバンギャルド過ぎた日々を引きずる男の心象風景。それが、雑然とした家そのものをスクリーンにして、文字通り「現実とだぶって」いるところを見せてくれます。

手法は3Dタイプですが、部屋という立方体の中で展開するさまはWillowの箱庭PV(1個目の映像)にも影響を与えているんじゃないか?と思ったりもします。

 

[vimeo http://www.vimeo.com/46309947 w=580&h=326]

 

こちらはそのWillowの箱庭PV(って称することにしますw)のメイキングムービー。

“物理的には何もないセット”の中でいかに自然の物理法則に沿った動きをしているかのように見せる演技の試行錯誤が微笑ましいです。いや、演じるボーカルの人は超大変だな!と畏敬の念すら覚えます。

 

ここで(というか本編映像でも)ひとつ、このミュージックビデオの発明だと気づくのが、ベルトコンベアの存在。この床に埋め込まれた装置があることで、真っ白な箱の中にいながらにして外へ出て、歩き、階段を駆け下り、さまざまなシーンと遭遇することが自然な動作で行えています。

そこで思い出されるのが、ジョナサン・グレイザー監督の名作。

 

 

1997年、当時僕は高校2年生でしたが、その年のMTVビデオミュージックアワードで4部門受賞するほどのインパクトがあったこの作品の見どころは、なんといってもスライドする床とそれに翻弄されることなく動き回るJey Keyの身のこなし(実際には床ではなく壁が動いているそうですが)。

部屋という限られた空間が、動く舞台装置によって無限の広がりを見せる‥‥という意味では、Willowの箱庭PVと非常に似たものを感じます。どちらも茶室のような限られた空間に宇宙的な広がりを見いだす「茶の湯」の世界観を想起させると言ったら言い過ぎかな。

 

最後に、「何もない立方体に世界を映して自由な角度で箱庭を映し出す」タイプのプロジェクションマッピングの素晴らしいCMとそのメイキングを貼っておきます。

このCMは商品である靴とそれを履く人以外のモチーフをすべて映写しています。2009年のキャンペーン。なので手法としてはべつに新しくはないんですよね。あとはプロットと描き方がどれだけ秀逸か。

まあ、手法の新旧で評価を決めることほど愚かなこともないと思いますし。ただこの2009年のクリエイティブは2012年の日本のテレビで流してもじゅうぶん話題になる強さがあります。

 

[vimeo http://www.vimeo.com/22142342 w=580&h=326]

 

気が狂いそうなほど緻密な作業だけど楽しそうだなぁ。