エレファント・バニッシュ

「いちばん大事なポイントは統一性なんです」

 

原作/村上春樹
出演/吹越満 ほか
演出/サイモン・マクバーニー

 

舞台『エレファント・バニッシュ』を見た。

ひとつの空間上で、映像と照明、役者が
折り重なり生まれる、不可思議な時間軸。
これほどまでに映像とリンクした舞台は
文字通り、初体験だった。

そして、村上春樹の描く、あのやるせなさ。
「ぼく」はどこか他人事のような希薄さで、
ただ事件だけが目の前を素通りする。

作家の文体をなぞるような演技、演出に鳥肌が立った。

スタイリッシュに進行することが、どれだけ
計算の中で動かなければならないか。そして、
計算され尽くした舞台装置の中で、役者が埋没しない。
それはもう、演出の力だと思う。

エレファント=象は、何のメタファーだったのか。
素晴らしい舞台だった。原作を読もうっと。


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職