Future Communica ! Vol.03

前回が思いがけず長文になったので、たぶん4回に渡ってレポートする、
Future Communica ! まとめVol.03。

 

カンヌ広告祭の事例と、審査員・岸さんの見たコト

の、

今回はUsing Social Media
High Quality Kraftについて。

 

カンヌも、ゴタブンにもれずTwitterバブルです。
そんな中、テーマは

「tweet(つぶやき)をどうやってAd(広告)に戻すか」

これは、言い換えれば、ただソーシャルメディアを乗りこなすというよりも、どうやってユーザーの声に応えていくか?ということ。より真摯なコミュニケーションが求められていく、と。

 

家電量販店BestBuy社の従業員がどんな質問でも現場からTwitterで直ちに答えてくれる、『TwelpForce』

[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=RbkS8AnqNGU&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]

Twelpとは、TweetとHelpを足した造語。
3ヶ月間に14,000件の質問が寄せられ、2,100人のBestBuy社員がそれらに答えたそうです。結果、コールセンターへの苦情が20%以上も下がったとか。

岸さん:
「審査では、『全社員がTwitterで答えるって、どこがどう「広告」なの!?』という議論になりました。が、『じゃあ今までの広告で苦情を20%も下げられたか?』という話になり、結果、サイバーで銅賞、チタニウム部門でグランプリを獲った」

河尻さん:
「たしかに広告の体裁ではないですよね。Twitterを部分的に使ったキャンペーンではなくて、もはやTwitterそのものなんですよね」

 

闘病中のガン患者へのメッセージがTwitterから投稿されると、チョークで道路にロボットがメッセージを描く『CALKBOT』
(NIKEとガン撲滅基金の共同プロジェクト)

[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=5Jb-KT4r6NY&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]

ツール・ド・フランスのコースというのが、闘う人々に声援を送る場所として素晴らしい。

 

15年前の高校のアメフトの因縁の勝負を、大人になった当時のメンバーたちが再び集まり「ゲータレードを飲みながら」対決への道を進む、『Replay』 (ビデオ ※必見です)

岸さん:
「誰もが気になる「因縁の対決」をフックに、コンテンツを創り出しサイバーを駆使して(温め)、社会現象を起こす。日本ならラグビーの早慶戦とかね。普遍的なテーマだから国を超えても伝わる強さがある」

河尻さん:
「監督やチアリーダーも当時の人たちを連れてきているのも、なにげにすごい」

『Replay』は映画化も検討されているそうです。
さらに、アメフトだけでなくアイスホッケー編も「オンエア」されたとのことで、これまでTVがやってきたようなコンテンツを、Facebookなどで拡げて、またTVにも映画にも返すことをしてるんですね。

 

アンデスビール『TELETRANSPORTER』。
バーでビールを楽しんでいても、電話でアリバイをつくれる装置‥‥。

[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=iKDgYKSEN6M&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]

たしかにHigh Quality Kraft。アウトドア部門で賞を獲ってますが、これこそ「ビデオの魔術」じゃないか?と思ったり。

 

『CHOOSE A DIFFERENT ENDING』

ナイフを所持する若者が社会問題化しているイギリスのキャンペーン。犯罪者の視点になったYouTube動画で、異なるエンディングを選んでいき、ナイフを持つことの恐怖を追体験させる。

[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=PPu83kxbKvc&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]

実際にやりましたが、怖さのあまり途中でやめました。そのくらいリアル。

岸さん:
「今までにもあった、YouTubeの動画にリンクを埋め込む手法をストーリー分岐という機能にうまく取り入れている」

 

さらに‥‥

YouTube内に自社のWebサイトを作っちゃった、広告代理店Boone OakleyのYoutube Home Page

[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=Elo7WeIydh8&fs=1&hl=ja_JP&rel=0]

これこそUsing Social Mediaであり、(Lowを突き詰めた)High Quality Kraft。岸さん曰く、この会社はサイトが評判になって仕事がひっきりなしに舞い込んでいるんだとか。結果を出しているんですね。

 

と、サイバーのみならずさまざまな部門の受賞作品を見ながらカンヌ広告祭を振り返りましたが、審査員として見てきた岸さんの感想をピックアップします。

 

岸さん:
「これまでスウェーデンやアメリカ、日本が台頭してきたサイバー部門の表現クオリティが、iPhone AppやTwitter、Facebookの登場により、世界レベルが均質化してきたことを実感している。技術トレンドの世界同一化は今後も進むだろう」

「コンテンツの成熟も実感している」
(どうソーシャルなどに組み込むかの合わせ技になってきているのかな?と感じました)

「Facebookの使い方、使ったもののビジュアル化。ビジュアルづくりと音づくりのクオリティUPの問題」
(ってメモしているのですが、どんな文脈だったのか失念‥‥)

「日本のコマーシャルは音のクオリティが低い」
(これについては別途ブログにまとめます)

「本質的課題解決への期待がクライアントの中で高まっている」(?)
(社会の声を味方につけるReplayなど)
(そういう手段が増えてきたということかも)

 

次回、Vol.4は、

岸さんの仕事から辿る、
 コミュニケーション・デザインとは
」。

本題ともいえる内容に突っ込んでいきます。

>> Vol.04を読む


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職