2015年ブレイク必至という括りの記事には必ず出るようになってきた「水曜日のカンパネラ」主宰のイベント「オトトイの地下室 vol.2」に行ってきました。
「1曲目はいきなりカバーです」
ポンキッキを思い出す。
昨年秋からツアーで全国を回っているからか、もともと圧巻だったLIVEパフォーマンスは磨きがかかっていて、世界観を楽しむPVとはまた違った「生コムアイ」を存分に堪能できました。
小室愛です#本名
— コムアイ KOM_I (@KOM_I) February 8, 2015
出演:
【音楽】Vampillia、Omodaka、水曜日のカンパネラ
【解体】鹿
【居住】ぼく脳
【活弁】山田広野
【非存在】乞食ガールズ
【DJ】D.J.Kuroki Kouichi(Booty Tune / 肉マスター)
ゲーム機でパフォーマンスするOmodakaさん、初めて観たけどかっこよかった。
注目はやはり【解体】鹿。
コムアイちゃんが習得中という鹿の解体を、“師匠”のサノさんと一緒に舞台上で披露します。
「血とか苦手な方は奥の方で休んでてください」というアナウンスの後に出てきたのは、1歳とも3歳とも紹介されていた「若い鹿さん」のご遺体。これを、“師匠”というから森繁久弥みたいなおじいちゃんかと思ったらトークスキル高めのイケメン・サノさんとコムアイちゃんが実に手際よく、文字通り解体していきます。
ここからは、グロ注意。
血とか苦手な方は奥の方で休んでてください。
「鹿って、僕のいる山梨や長野あたりだと、増えすぎて『害獣』なんです」
「罠にかかった鹿と猟銃で撃ち殺された鹿とだったら、猟銃の方がおいしいです。罠って、かかってから24時間後とか、けっこう時間が経ってから回収されるから、その間に鹿が暴れてストレスがかかっちゃうんだよね。だからレバーにまだら模様が出て、おいしくない。ストレスが肝臓にたまるんだよね。銃だと即死だからストレスもかかってないし、新鮮なんだ」
「猟銃の弾は肉を突き破る間に広がっていくから、体に入ったときの穴よりも貫通して出て行ったときの穴の方が大きくなります」
「これがロース」
「鹿の革って毛が簡単に抜けちゃうから、なめして使うんだよ」
「肉自体ににおいはないんだけど、調理するとラム肉みたいなにおいが出る」
「みすじ ってこんなに少量しか取れないんです」
「猟に出ると鹿も命がけだけど、猟師さんも命がけ」
「若い鹿の角って枝分かれしてなくて鬼の角みたくまっすぐだから、そいつが突進してくると致命傷になる。僕の知り合いの猟師さんとこの猟犬が角にやられて、そのときはまだ生きてたんだけど、何日かして死んじゃった」
「猪の肉は脂の融点が低いから、解体してたら手の熱でドロドロに溶けていくんだけど、鹿はぜんぜんだね」
へー。
へー!
へー!!
新宿歌舞伎町の地下室で披露されるサノさんのよどみない大自然トークに気を取られていたら、いつの間にか「動物」から「肉」へと変貌していた鹿さん。
見世物小屋的な雰囲気も漂う新宿LOFTではありましたが、僕は食育を受けている気分で、すごく楽しかった。
別の命をつむぐために命が亡きものにされ肉の塊となり加工されて食材となり料理として人々の口に入っていく。
目の前の鹿さんだけでなくマクドナルドのハンバーガーひとつ、吉野家の牛丼一杯にもこのやりとりがどこかで24時間延々と行われているんだなーと思いを巡らせたり、
中学時代に友達と鶏の首を斬って友達のおばあちゃんに庭先で解体してもらったときに鶏の胃からトウモロコシが散らばった20年前の光景を思い出したり、
なかなか得がたい体験をなんで水曜日のカンパネラのLIVEでしてるんだ?と我に返ったり。
僕の受け止め方でしかないけれど、水曜日のカンパネラ=コムアイちゃんの破天荒かつ計算されたパフォーマンスの魅力は「生」。横たわる鹿さんも究極の「生」。そこを隔てるものはなくて、これが「オトトイの地下室」。変に命の尊さみたいなお説教くさい話にもならず、獣くささもさほどなく、ただただ目の前にある生ものが、美しくもあり、愛おしくもあり、見ていて楽しい。そう感じさせてくれるのは日頃からガチで自然と接している師匠のトークスキルと人柄によるものだなぁ、そんな人(と鹿さん)をLIVEに引っ張ってきたコムアイちゃんはどこまでもすげーなぁ、と感服しました。
閉鎖された空間の中で通じ合える人同士で生まれるグルーヴ感を、Blogという誰にも開かれた場で紹介するために取って付けた文章ではありますが、素直にそう思いました。
鹿さんに思いを馳せつつ、夜は「ねぎし」で牛タン食べました。
次回は3月29日(日)、初のワンマンLIVE「鬼ヶ島の逆襲」!
そういえば『桃太郎』のPVでも鹿さん出てくる。
個人的には『ジャンヌダルク』も聴きたかった。
3月を楽しみにしています。
お礼が言いたくなるLIVEだったよ。
水曜日のカンパネラさん、師匠、鹿さん、ありがとうございました。