プレゼン

「プレゼンテーションの時代が、終わるんだよ」
と、ある打ち合わせ中に、ぼくは言いました。

「プレゼンテーション」の技術だとか、
「プレゼンテーション」が大事なんだとか、
とにかく、この20年くらいは、
この言葉を中心にさまざまな会社の仕事が
あったような気さえします。

ぼくは、じぶんが、これ、苦手だったので、
「ほぼ日」という組織をつくっていくときに、
徹底的にこの「プレゼンテーション」という概念を
無視してやってきました。
「うまく言えてなくても、
受け手側が前のめりになれば伝わるもんだ」
ということもあるわけです。

上役やら、同僚やらに「プレゼンテーション」するために
その下ごしらえの仕事に必死になっているのが、
多くの組織で働く人たちの日常だった
‥‥ように見えたのです。
ひとつのA案を練り上げるよりも、
それとちがったB案やC案を横にくっつけたり。
A案がよく見えるような説明を考える。
そんなことに努力するよりも、
「いいと思うA案」について、徹底的に考えを深めたり、
上司は上司で、そのA案をもっとよくする手伝いをすれば
落とすために考えるB案なんかに関わっている時間も、
もっといい仕事に役立てると思っているわけです。

「ダメ」は、簡単にわかります。
うまく「プレゼンテーション」できればダメにならない、
なんてことは、あっちゃいけないんです。

そういうことを、ぼくが思っているから、
「ほぼ日」のみんなは「プレゼンテーション」下手です。

しかし、そのほうが見えるものが多いんだと、
多くの人たちが、理解してくれるようになる‥‥んです。
そういう人たちの仕事の仕方が、当たり前になるんです。
ぼくはそう思っているので、つい、そう言いました。

今日も「ほぼ日」に来てくれて、ありがとうございます。

今日付、ほぼ日刊イトイ新聞「今日のダーリン」より。

至言です。


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職