CANNES LIONS 2011 REVIEW #01のつづきです。
ダイレクト部門でGoldを受賞した「BURMA」。
2100 in 2010—Burma Political Prisoners Art and Photo Installation
2010年、ビルマ、つまりミャンマーで20年ぶりに選挙が行われました。
ただし、2,100人以上の無実の政治囚が投獄されているまま施行されれば、選挙の意味がない。そこで、彼らの釈放を求める署名キャンペーンがニューヨークのグランド・セントラル駅で実施されました。
留置所を模したインスタレーションの鉄格子は、その1本1本が署名のためのペンになっており、駅を行き交う人々の注目を集めました。
このキャンペーンはTwitterやFacebookでも話題になり、もともと低かったミャンマーの選挙への意識が、ニューヨークのひと駅でのインスタレーションを起点に向上。12時間以内に数万人の署名が集まったそうです。結果、150人の政治囚が解放され、その中にはアウンサンスーチー氏も含まれていたとか。
ここで注目すべきは、ソーシャルメディアやアプリなどのサイバーメディアを活用したキャンペーンではないにも関わらず、ソーシャルで積極的な拡散・共有が行われていること。「Facebookで何万のいいね!が押されました」や「○万人にRetweetされました」といった仕組みもアピールもありませんが、ニューヨークの駅から確実に世界へとコミュニケーションするコンテンツがあって、拡がった。
ソーシャルはもはや前提、ってこういうことだな、と実感しました。
会期中に開かれる世界各国の代理店、クライアント企業などのセミナーは、必ず行列ができます。写真は、今年のMedia Person of the Yearに選ばれたGoogleのエリック・シュミットCEOのセミナーに並んだ人、人、人。
Googleセミナー 「Internet, Innovation and Immigration」
いま世界でプラットフォームを持った企業といえるのは4社。Facebook、Amazon、Apple、そしてGoogle。Twitterは候補のひとつ。プラットフォームとは、他の人やものやサービスが乗れるもの。このサイズのプラットフォームをもつ企業が4つも存在したことはかつてなかった。
これまで言われた一番のことは、Power of Yesを信じること。ネガティブになってしまいがちな世の中だからこそ、Yesと言わなきゃダメだ。Yesということで人生が、毎日が花開いていく。チャンスがまた戻ってくるとは限らないからこそ。
(石井うさぎさんの翻訳ツイートより)
エリック・シュミットCEOはこうも言ってました。
「これからはPhoneがホームベースになる」。
あらゆるデバイス、決済、コミュニケーションが手元のスマートフォンで繋がり、アクティブになる。ま、いまもすでにそうなりつつありますが、テレビも冷蔵庫も家も電気自動車も繋がる。そこに上記の4大プラットフォームがどんな未来を設計してくるのか。インタラクティブ領域で仕事する人間としては、彼らの敷く道の上でどんなストリート・パフォーマンスをするかを考える量が圧倒的に増えています(企業サイトを作って終わる時代じゃない)ので、どんどん繋がっていくことは歓迎です。
余談ですが、面白いのは、FacebookもGoogleもTwitterも、儲けるために生まれた企業じゃないところ。きっと最初に道を作った人は「AからBへ移動しやすくする」「Aとその他大勢が繋がりやすくする」ために作ったわけで。そういうマインドは「Power of Yes」などの発言からも感じられました。
6月23日は、世界3大広告代理店・オグルヴィ・アンド・メイザーの創設者であり「現代広告の父」デイヴィッド・オグルヴィの生誕100周年。この日は会場もご覧の通り。
連日、好天に恵まれました。気温も高めでしたが、日本のような湿気がないので楽。ここで世界最大のクリエイティブの祭典(と採点)が行われるのも分かるなぁ。
つづく。