Cannes Lions 2013 閉会

先週土曜(6/22)にカンヌライオンズが閉会しました。
日本からウォッチしていた自分なりに大ざっぱに振り返ってみます。

60周年を迎えたクリエイティビティの祭典が閉幕
60周年を迎えたクリエイティビティの祭典が閉幕

今年は開催60周年でレジェンドの年と言われ、いま新しいか?ユニークか?ということと同時に、いやそれ以上に、「この作品・仕事を後世にも残したいかどうか?」がジャッジの基準に掲げられたのではないか?と言われています(というか、現地に行っていたうちの社長が周囲とそういう話をしてたそうです)。まるでMoMaのパーマネントコレクションにふさわしいか?的な視点ですね。それもあってか、全体的に受賞作品(広告を作品と呼ぶのは個人的にはすごく違和感があるのですが、めんどくさいので作品で通します)は社会貢献モノ、人助けモノ=ソーシャル・グッドな作品が目立った年だったように思います。おそらく来年はその方向性を掘り進めたものと揺り戻しでエンタメに振り切ったものの両方がよりぐちゃぐちゃに混在するんじゃないか?と思ってます。というか、そうあってほしいな。

公式Facebookページより
公式Facebookページより

それから、これは日本での話ですが、Perfumeがゲストパフォーマーとして出演したこともあって、一般の方々にも映画祭以外の「もうひとつのカンヌ」が広く知られるきっかけとなりました。NAVERまとめに連日まとめ記事がアップされたり、BlogやFacebook、Twitterでわかりやすく速報してくれる人がいたりして、現地にいなくても何が受賞し、何がトピックとして語られているのかは瞬時に伝わるようになっていますが、その動向が今までより分かりやすくパッケージングする方々が多く現地に行かれているおかげで、広く注目されているなぁと実感します。ま、これも錯覚なんでしょうが。

直接伝わらないとすれば、あの現場特有の熱気でしょうか。あれは行った人にしか味わえない「カンヌ熱」。良くも悪くも、その熱におかされて帰ってくるのが行った人の常です。「やっぱ時代は社会貢献だよ!」とか言ってる人がいたらものすごく警戒しますが。

で、僕の身近では社長が行ってきたのですが、熱よりも冷静さをまとって帰ってきました。それは僕らの主戦場であるサイバーライオンで成果を上げられなかったことがいちばん大きく作用しています。その要因はいくつかあるでしょうが、そのひとつは先に書いた「レジェンド」=広告界の重鎮たちの審査視点がいつもと異なっていたからではないか?と個人的には思います。ことサイバーライオンに関しては。やはり審査員の構成によって結果は大きく変わりますから。

とはいえ、決まった結果にケチつけても覆りようもないですし、受賞作品にはそれぞれ見習うポイントがあるはずです。カンヌは終わったけど僕のカンヌは、というか「いいものをつくる」という思いはこの仕事をしている以上は終わらないので(あれ?熱くなってきたな‥‥)、これからも地道に気になった作品をピックアップして、自分なりの視点と言葉を添えてBlogにアップしていこうと思います。

そう、大事なのはデコンストラクション!ある成功事例を自分なりに分解してインサイトから掘り起こし、アイデアの根源へと潜り込む作業です。そうすることで事例をただ知ったかぶりで終わらせない。誰かの記事と被ったとしても、誰かの言葉をなぞることになったとしても、自分のアタマで考えて自分の手で残すことがあとあとすごく効いてくるんです。英語を音読するような感じ?「ただ聞き流すだけでいいんです」なんて嘘です。この通称「デコン会」を僕は2年前に博報堂で石井うさぎさんや木村健太郎さんらとやらせてもらって、これをやりきらないとカンヌを体験しきったとは言えないなぁと思ったのです。本当は複数人でやるのが効果的なんですが、Blogはどこまでも個人のものなので、ここではひとりでやっていきます。

あと、会期中にプロモ&アクティベーション部門モバイル部門のグランプリをBlogにまとめて気づきましたが、英語の勉強になります。アワード用のムービーは非常にシンプルに作られているので文法的には難しくないのですが、短時間に多くのことを伝えるので早口気味。そこで分からない単語や聞き取れなかったワードを調べていくと英語のボキャブラリが増えます。特殊な言葉すぎて日常では使わないよ、というものもありますが。

‥‥とまあ、2013年のカンヌは終わり、蓋を開ければメルボルン鉄道の「DUMB WAYS TO DIE」がグランプリ5冠という前代未聞の快挙を成し遂げたエポックな年になりましたが、テキスト(教科書ね)としてのカンヌはまだ終わってないのです。

 

そういえば、2011年のカンヌ勉強会で電通の岸勇希さん(ブランデッドコンテンツ&エンターテインメント部門審査員)がこんなことを仰っていました。

「今年は節目の年です!ってこの6年くらい毎年聞いてる気がするんですが、要は、カンヌは自分の中での発見でしかない。金銀銅の色を見るな、自分がどれをいいと思うかを素直に見ろと。賞を伏せてひとつの事例を徹底的に分析すると、その人の血肉になる。あと、たくさん見る。どれがすごい、ではなくて、とにかくたくさんの事例に触れられるんだから、見まくって学べばいい。今は公式サイトでも見られる」

(拙Blog CREATIVE KITCHENに行ってきました。#03 より)

つづく。

 

参考記事:
カンヌライオンズ2013受賞結果出そろう 日本は33のライオン獲得 | AdverTimes(アドタイ)
NAVERまとめ:タグ「カンヌ国際広告祭」
世界最大級の広告祭「カンヌ・ライオン」で注目された日本人

カンヌ2013受賞:TXTBKS

Cannnes Lions 2013 モバイル部門のグランプリ『TXTBKS』(フィリピン)をご紹介。

まず、有権者に訴えたいのは、フィリピンの教科書はとっても大きくて重たい!ということであります(『有吉マツコの怒り新党』風に)。

教科書を持ち運ぶのは子どもたちの「重荷」。背骨が変形する被害も!先進国ではタブレットによる教科書が普及しつつあるけど、貧しいフィリピンでは無理‥‥。

この差は歴然!

そこで目を付けたのが、中古のガラケー。通信会社SMARTは、たくさんの使われなくなったガラケーを教科書にすることを企画。

目の付け所がシャープな、リユース。

教科書のデータを入れたSIMカードを各教科ごとにつくり、生徒たちに配布しました。

準備に6ヶ月を費やしたとか。このデザインもいいですね。
それがコレ。
それがコレ。
通学かばんの重さは半分に減り‥‥
通学かばんの重さは半分に減り‥‥
テストの成績は90%向上、出席率も95%にUP!
テストの成績は90%(?)向上、出席率も95%にUP!

次々と成果を生み出すのであります(『怒り新党』の塙風に)。

「あの重さはもう勘弁」
Yeah!
でも今はこれがある!Yeah!

これが今回のモバイル部門のグランプリというのは、一見、わかりにくい気もしました。だって、ツールとしてはたしかにモバイルというハードを用いているけれど、やってることは社会貢献であり、モバイル「部門」なのかなー?と。でも、SIMカードに教科書データを入れるというアクションはやっぱりモバイルを媒介にコミュニケーションしているわけで、穿った見方をしすぎなのかしらん?と思った上で、やはり施策としては超素敵。文句なしに素晴らしい。

ビデオを見るとその素晴らしさがより伝わります。

フィリピン以外の発展途上国でも今すぐやるべき!と思いました。それは先日紹介した「immortal fans」にも言えることで。企業がただ自社のプロモーションをしていればいい時代はとっくに終わって、どれだけ世の中に役立てるかが期待されているのはアタマでは理解していましたが、カンヌは確実にそこへ向かっているんですね。クリエイティビティという翼で。

で、いいものはオリジナリティに溢れていると同時に、「みんなもやりなよ!」とアイデアのシェアを促されているような気になってきます。新しい言語を作っているようなものですね。「朝は『おはよう』と言い合おう」みたいな。というわけで、おやすみなさい。

カンヌ2013受賞:immortal fans

現在開催中のカンヌライオンズ2013のプロモ&アクティベーション部門のグランプリに、ブラジルの臓器ドナー登録を促すキャンペーンが選ばれました。AgencyはOgilvy BrasilとSao Paulo。

審査員の野添剛士さんによるレポ。

死後に臓器提供することへの家族の精神的ハードルというとてつもなく大きな課題に対して、「自分の愛するサッカーチームのファンを増やすためならオレはドナーになるぜ!」という宣言をチームのファンカードにつける。という、とてつもなくシンプルで、世界中で展開可能なアイデアで実現した仕事です。(中略)これがこの記念すべき年のカンヌで世界に知られることで、本当に少し世界を変えられるんじゃないか。そんなことを信じて選んだグランプリです。

SIXメンバーが見たCANNES LIONS 2013レポート(第1回)より

『immortal fans』不死のファン、永遠のファン。
『immortal fans』不死のファン、永遠のファン。

同じチームを応援するファンの間でドナーカードを作る。それは臓器だけでなく魂をバトンするためのドナーカードになる。日本にも「臓器提供意思表示カード」がありますが、そこにこんな熱い意味を込めるなんて、熱狂的なサッカー大国ブラジルらしい施策かもしれません。

51,000人以上がオリジナルのドナーカードを求めた。
51,000人以上がオリジナルのドナーカードを求めた。
それがコレ。
それがコレ。
臓器移植の年間件数も増加。
臓器移植の年間件数も増加(ドナー登録数は54%UP)。
初めて、角膜移植の待機リストが1,047人からゼロに!
初めて、角膜移植の待機リストが1,047人からゼロに!

スポーツの力を、選手やチームではなくサポーターが軸になって別の価値に転用する。「俺が死んでも俺の心臓でお前はチームを応援してくれよな!」と誇らしげに語るファンの姿が目に浮かびます。まさに不死のファン。さながらハッピーなレッドカード。

ファンの結束力をドナー登録に結びつけたこの施策、素晴らしいと思いました。

糸井重里と鈴木敏夫の「生きろ。」を巡る往復書簡

1997年公開時のポスター。映画館で4回観た。
映画館で4回観た。
1997年公開の映画『もののけ姫』のキャッチフレーズ「生きろ。」

とても力強いこのコピーをはじめ、「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」(魔女の宅急便)、「4歳と14歳で、生きようと思った」(火垂るの墓)など数々の宮崎駿アニメのコピーを手がけてきた糸井重里さん。

そんなコピーライター・糸井重里と、スタジオジブリのプロデューサー・鈴木敏夫さんとの「生きろ」を巡るやりとりが面白かったので書き起こしました。

ドキュメンタリー『もののけ姫はこうして生まれた。』より

 

ナレーション(以下 Na):鈴木プロデューサーは、絵コンテの重要箇所を書き取り、宣伝に応用しようとする。映画の結末がまだどうなるか分からないまま、映画のイメージを決定するコピーづくりに着手する。

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鈴木敏夫プロデューサー(以下 鈴木):彼(宮崎駿)自身、そりゃ確かにラストシーンまだ分かってないですけどね、ラストまで話は(※脚本は制作と同時に進行していた)。とはいえ、まあなにしろ20年、僕は一緒にやってきましたんでね。そういうことで言えば、やろうとしていることに関しては、なんとなくは分かってたんですよね。

で、それを言葉にする作業ってのが必要なわけですよね。それで僕はそういうときに「糸井さんの力を借りたいんだ」と。ということで毎回ね、僕としては「こういう話なんだ」と。「さあ、コピーつくってください」と。「そのひとつのコピーが関係各自、みんなを支配するから」って。それでまあ、糸井さんにお願いしに行って、例の「生きろ」っていう言葉が出てくるんですけどね。ま、今回だけは糸井さんもそうとう苦労して(笑)。僕はいつも糸井さんからはねえ、「鈴木さんの仕事はありがたい」って言われてたんですよ。なんでかつったら、糸井さんが一回ポンっと出してくれるとね、僕だいたい一回で決めてきたんですよね。ところが今回は、なんと50本くらい書いていただくというね(笑)。

Na:その、苦闘の跡が浮かび上がる、ふたりのFAXでのやりとり。

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鈴木敏夫のFAX:糸井重里様。コピーの一日も早い完成を 首を長くして待っています。3月21日。

 

糸井重里のFAX:6月4日。鈴木さま。いくら映画の進行が父として進まぬ状態だからといって、私までのんびりとしては池ませんでしたよね。やっぱり難しかったんです。(誤字は原文ママ)

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おそろしいか。
愛しいか。

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本当は「おとろしい」の方がいいと思ったんですが、辞書に出てこないのであきら目ました。

おまえには
オレがいる。

惚れたぞ。

ひたむきと
けなげの
スペクタクル。

アカンかったら またやりなおします。日本語フリーハンドワープロの調子が悪くて誤字が多くてすみません。

 

鈴木FAX:前略 糸井重里様

mononoke051再考を!

宮崎も「ちがう」というし、小生もちがうと思いました。小生が気になっていた台詞はこれです。「そなたは、美しい‥‥」これ、宮崎駿が言っているという気もするのですが、如何でせう。この前糸井さんが「カッコイイとは、こういうことさ」も「タヌキだってがんばってるんだよォ」も、宮さんが言っているというのを思い出した次第。

 

6月18日。

糸井FAX:鈴木敏夫様
ちがうボタンを押しまくってしまいました。もののけ姫の観客の顔が、いつもより見えなかったので、柄にも無く悩んでしまったわけのように思えます。AとBが、私の考えた結論です。

A
だいじなものは、有りますか。

B
昔々は、今の今。

その他に、

おまえは、まぶしい。

死ぬのと、生きるの、どっちが好きだ。mononoke06

死ぬなっ。

それでもいい。私と共に生きてくれ。

ハッピー?

迷走する巨人(ファン)糸井重里

 

6月25日。

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糸井FAX:もののけノイローゼです。
どうも他の仕事は進んでも、『もののけ姫』になると、く、く、苦しくなるのです。『もののけ』というキャッチーな言葉が良すぎるのかしら?「もーののけー!」というようなコピーでも本当は成立するようにも思いつつ、三度目の答案用紙を提出します。

悪からでも善からでも、おまえを守る。

弓を誰にひく?!

あなたは、何を守る?!

なぜ、俺は生まれてきた。

 

7月10日。

糸井FAX:すいません、鈴木さんの原稿を読んで、また、もっと混乱してしまいました。今回はなんだかきついのです。1、作品の思想を表現し、2、集客を促す‥‥というふたつの目的が必須なのはわかるのですが、1の目的をズバリ表現しきることは難しい気がします。

生きろ。

LIFE IS LIFE !

化けものだらけ。

神々は、なつかない。

森には、おそろしい神々がいる。

暴と愛の嵐。

人間がいなきゃよかったのか。

わからなくっても、生きろ!

 

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鈴木FAX:前略 糸井重里さま

生きろ。ぼくは凄くよいと思いました。
たった3つの文字なのに、そこに込められた時代性。イケルと思いました。宮さんも「近い!」とひと言。

 

鈴木FAX「生きろ。」
この力強いコピーだと。宮さんもついに納得しました。迷い道に誘ったりしてスミマセンでした。これで前に進めます。

 

Na:もうひとつの悩める闘いが終わったのは、7月7日のことであった。

 

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「生きろ。」と書かれたポスターが初めて出たとき、そのたった3文字に世間は驚きました。そして「たった3文字でコピー書いてお金もらえるなんて」と言う人も中にはいました。

でもちょうどこの『もののけ姫はこうして生まれた。』の中で、山犬モロに声を当てた美輪明宏さんがモロの生も死もあわせ持つ奥深さを表現する際にこんなことを言っています。

「構造が三重四重になってるから、突き詰めるとシンプルになるのよ。スポーン!と。七色の太陽光線が重なると白になるようにね」

たった3文字の「生きろ。」もそういうこと。で、その突き詰める過程にこんな茨の道があったのか、と。あの糸井さんもスルッと出ないことがあるんだと知って、ちょっと安心、したら、ダメなんでしょうね。

PUSH for Ultrabook™

最近のお仕事です。

PUSH for Ultrabook™ – Play now to win an Ultrabook.
http://www.intel.com/push

PARTY川村真司さん清水幹太さんとの案件。
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この超Coolな装置、千駄ヶ谷の弊社にあるんです。
連日連夜、裏でブロックを詰めてます。

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24時間、ひとが支えるゲーム。
終わる頃には、強くなっている気がします。

またもや仕事の話を

いま、いくつかの案件で、著名クリエイターとお仕事をさせてもらっていて。
「著名クリエイター」って響きがとても安っぽくて申し訳ないくらい、凄い方々。

そのうちのあるお方より、企画の全貌が可視化された構成がひと晩でチームにシェアされ、感動のあまりいろいろ思いを巡らせた朝のTweetです。

 

→ 凄い人との仕事って、改めて基本的なことに立ち返らせてくれます。

→ 僕が用意しなきゃいけないものを思いつくことはあっても、
  実際に用意してくれるのはデザイナーやディベロッパーです。
  今日もありがとうございます。

→ ホント、ねぇ。
  届けたいメッセージを磨くだけじゃなく、送信フォームとか、
  エラー画面とか、スパム対策とかも同時に考えなきゃいけないとか、
  まさに芋づる式に問題が出てくる。

→ 体力で片付けるよりは、責任感かもしれません。
  あるいは「好き」が呼び起こすパワーかも。
  「なんでこんなめんどくさい仕事続けてんだろ」
  と笑いながら話す某CDがいました。

 

ここから、急にPerfumeやももクロのドームLIVEと関連づけるところが早朝。

→ ジャニーズの宙づり演出が分かりやすい例だと思います。
  遠くの観客も彼らの汗を浴びるかもしれない期待感。3階席に近づく多幸感。

→ 滝沢秀明クンの宙づりからしたたり落ちる汗を「滝汁」と言うそうです。

→ これが言いたいがゆえのLIVE話だったんだな。

 

まだまだ精進せねば。

時には仕事の話を

妻から「あなたって、仕事何してんの?」とか、「旦那さんは何をされているの?って聞かれても、よく知らないんです、って答えてる」とよく言われます。

「インタラクティブ プランナー」を7年以上やってきて僕の奥さんは僕の仕事に触れたことがない。届いていない(ちなみにTwitterもFacebookもやってない、とはいえネットはいつもiPadで見てる)。「このバナーのコピー、俺が書いたんだよ」と言っても「へー、邪魔だね」としか言われない。ま、実際、バナーって邪魔ですよね。

悲しいことではありますが、届かないところもあるんだ、その生き証人が目の前にこうして居ると自覚できることが自分にとってはいいことだ、と言い聞かせています(それと職種を理解されないことは別問題だとも思いますが)。

ただ、もうちょっと知ってほしい。
ちょうど会社のショーリールが公開されたのでご紹介します for my wife。

 

 

昨年8月に入社した僕の仕事も2つばかし入ってます。

そういえば先日、このムービーの中でも紹介されているユニコーンの『Feel So Moon』が、カンヌの前哨戦とも言われるアジア最大の広告祭 Adfest2013のインタラクティブ部門でGold、プロモ部門でBronzeを受賞。ホンダ『Face Boom!』はアウトドア部門でBronzeとファイナリストを受賞しました(関係者のみなさん、おめでとうございます)。

こういうものを作ってるんです、日々。

「よく分かんないけど、あなたが楽しいんなら、いいんじゃない?」

お、おう。

いつか、この人から「これ見て!」と差し出されるものが自分の手掛けた仕事になったら、と夢想します。

コピーライターの走る範囲

コピーの師匠・中村禎さんのBlog「コピーライターの未来は・・・」より抜粋。

 

レイ・イナモトさんの話にいろいろ刺激を受けました。「広告の未来は、広告ではない」「クリエーティブの階級制、職業名を取っ払ったほうがいい」「アートディレクターとコピーライターが一緒になって広告を作り出す手法は通用しないんじゃないか」「ART×CopyからART×Codeへ」と、これらの言葉だけ見ると、なんだ、もうコピーライター養成講座なんて意味ないじゃないかと思う人がいるかもしれませんね。でもレイさんは、コピーライターが不要だと言っているのではなく、コピーライターの役割が変わって来ていると言っているのだと思います。「コピーライターの未来は、コピーライターではない」と言えるのかもしれません。

(中略)

「コピーライターなんてカンタンになれる。名刺にコピーライターと刷ればいいんだから」これは、ボクの師匠の仲畑さんの言葉です。コピーライターやコミュニケーション・デザイナーなどカンタンになれる。名刺に刷ればいいんだから。そういう意味で肩書きには意味がないのだと思います。大事なのは、その人が優秀かどうか。いい人かどうか。柔軟かどうか。伝えるということをわかっているかどうか。

(中略)

コピーライターの走る範囲はどんどん広がっているのだと思います。インテルの長友のように走らなくてはいけないのです。

 

いやぁ、その通りだと思います。

タグボート岡康道(と僕)の3月14日

3月14日。TUGBOATのクリエイティブディレクター、CMプランナー・岡康道さんのエッセイ集『アイデアの直前 – タグボート岡康道の昨日・今日・明日』の刊行記念トークショーに行ってきました。

トークのお相手は、岡さんとは25年来の付き合いであるCMディレクター・中島信也さん。「とにかくこの本を売って売って売りまくる」という使命感(?)のもと、著書の中から信也さんが文章をピックアップしながらトークは進んでいきました。面白いエピソードが次から次へと出てくる中で、僕が記憶に残ったお話をメモしていきます(なので会話のようで会話形式じゃないです)。

 

岡さん:最初に中島信也さんに企画コンテを見せたときは「なんだか意味が分からない」と断られて、じゃあもうひとりの売れっ子で同じ名字の哲也(CMディレクター 中島哲也氏/映画『嫌われ松子の一生』、『告白』等の監督としても有名)の方にお願いしたんだよね。

信也さん:哲也が作ったのを見ても分かんなかった(笑)。けどいま見たら分かる。僕は奥手というか大器晩成型?成長が遅いんですよ。

 

誰からも特に何も言われない選択。
これが僕たちを取り巻く世界をつまらなくしている。
(著書より)

 

岡さん:インターネット上でのクレームとかツッコミとかがすぐ企業に飛び込んでくるようになって、クライアントは突飛な案をまず除外する。それによって僕らの仕事がずいぶん痩せてしまったと思うんです。だからそれに負けない選択をすればいいんです。誰かに何かを言われてもいいやと。…僕らがやってるダイワハウスのCMは、そういう意味でクライアントが偉いですよね。

 

 

広告は発信していないのではない。
発信を自ら聞こえなくしている。誰からも特に何も言われない広告をめざすために。
(著書より)

 

岡さん:発信していないというか、自滅しているんです(今の広告は)。自分で辞めているというか。クライアントがセンスがないからとかバカだからとか、そういうことは全然なくて、作り手が「メッセージはやめよう、強く伝わることは避けよう」としている。だけど広告はしなくちゃいけないから、誰からも何も言われない広告を目指すんです。誰からも何も言われない広告って、みんなが知っている人をTVに流すことなんです。だからタレントが出てきた方がいいんです。そしてヒット曲を流した方がいいんですね、かつての。決裁者が青春期を過ごした80年代90年代のヒット曲です。そうすれば誰からも何も言われない広告が出来ますよ。しかも一見メジャー感がありますよね。こうやって広告は自ら聞こえなくしているんだろうな、と思うんです。

 

 

広告のように不純な表現物がそんなにも健康的であることの不健康さに誰も気づかないのだろうか。(著書より)

 

岡さん:僕らは「明るく楽しいものを作れ」とよく言われるんですね。いけないのはその反対ですよね。でも広告って人に何かを売ろうとしているわけで。つまり目的が不純なんです。それが分かってるから、それをネタとして話せば不健康じゃないじゃないですか。ところが明るく楽しく爽やかに不純なことを企む人って、不健康でしょ?広告自体が健康的であろうとすること自体が病気だな、と僕は思う。逆に言えばすこし不健康な感じのある広告を作りたいんです。

 

 

 

信也さん:岡さん、けっこう不健康めのやつ、多いですよね。岡さんが企画したものってパーソナルな感覚なものが多い。それって一般的じゃない。すごく歪んでて。

 

 

つまり場違いとアイデアは一直線上に並んでいるのだ。(著書より)

 

岡さん:アイデアとはマイナーな、場違いなものなんです。それをメジャーにするのがクリエイティブディレクターやCMディレクターの仕事。だから場違いを恐れてはいけない。場の空気を読めない人っていますけど、それもある種、アイデアを言っている可能性があるんです。そういうのを打ち消していって穏やかに速やかに進行する会議って、結局なにも生み出していないことが多い。

 

‥‥というわけで、予定を1時間オーバーし、合計3時間弱にもわたる充実したトークセッションのごくごく一部を書き起こしました。ずいぶん真面目な箇所だけを抽出しましたが、現場は抱腹絶倒、笑いの絶えない3時間でした。

「広告はもともと不純なものだ」というお話は、岡さんの電通時代の先輩であり僕の大学時代の恩師でもあるクリエイティブディレクター・小田桐昭さんが授業で仰っていた「広告は猥雑なメディアです」という言葉とリンクしました。

これはその当時(2004年頃?)の講義ノート。

note

授業では「堀井博次特集」「海外CM特集」などと銘打って数々のCMを見せて頂きました。僕がTUGBOATの作るCMのファンになったのは、その中の「岡康道特集」がきっかけでした。

 

 

大人(50代〜)になることが怖くなくなる、むしろちょっと楽しみになる本です。
自分はこんなにも真摯に生きられるだろうか。

関連リンク:TUGBOAT 10 Years_vol.01

すてきなソース

前の会社の後輩で、現在mountにいるデザイナー、長谷川弘佳ちゃんに声を掛けてもらってコピーをお手伝いした本が完成しました。

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arigato Inc. presents ART & Recipe BOOK
東京 西麻布フレンチレストラン Les Rendez-vous de Tokyoの アートレシピ本。 イラスト、デザイン、編集は 長谷川弘佳さんによる 簡単に作れるし 見て手に取るのもうきっとする素敵な1冊です。(Amazonの紹介文より)

ソースをテーマにした美しいレシピ集です。
まだ見ぬ新たなソースを求めるシェフの冒険、という世界観で書きました。
絵本のように読むことも、画集のように見て楽しむこともできます。

 

日曜日、出版記念パーティーが開かれました。
写真は、アートディレクター・長谷川弘佳と、Les Rendez-vous de Tokyoのオーナーでこの本の発起人の綾乃さん、そしてそのお二人を繋いだ、スープストックトーキョーやPASS THE BATONを展開する遠山正道さん。

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あれは2011年の春。大きな仕事で一週間会社に泊まり、ぎりぎりの精神状態でクライアントから没をくらって二人で大泣きした2年前からしてみれば、こんな素敵な本を誕生させた弘佳さんの成長には別の涙を誘うものがありました。

正直、すこしは「はじめての紙の仕事」らしい若葉マークっぷりが出ちゃうのかなと思っていたら、ぜんぜん。プロの仕事でした。そして、なにより作り手の愛情が感じられる本です。そういう体温のあるものに関わらせてもらったことに感謝です。

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SAUCE

ちょっと高いですが、いい本です。

新しい技術による新しい物語のつくりかた by PARTY

「THE PUBLIC」という団体によるセミナー&ワークショップ、

新しい技術による新しい物語のつくりかた by PARTY

の第3回目、川村真司さんの回に参加してきました。
というか、第1回の清水幹太さん、第2回の伊藤直樹さんの回にも出席しているのですが、Blogにアップするのは初めてです。なんとなく。思い立って。

広告、映像、インタラクティブ、エンターテイメント、サイネージなど、あらゆる表現を対象とし、クリエイティブシーンの最先端で活躍するPARTYを講師として、各回、PARTYのメンバーの一名が講師となり、実際に携わっている事例を紹介しながら、実践的なクリエイティブの現場に触れます。(サイトより引用)

川村さんと川村さんのお仕事について、詳しくはこちら

例によって現場でタイプしたメモを元に再構成します。読みやすいように口語調にリライトしていますが正確ではありません。

 

本日のテーマ「作り方から作る」

川村さん:最初、博報堂で3年間CMプランナーをやってました。CM制作も会社もとても楽しかったんですが、当時はCMプランナー=CMというジャンルに活動の幅が制限されてました。今はもっと幅広いと思いますけどね。

で、次第にもっとインテグレーテッドキャンペーン、360度的なアプローチがしたくなって、その思いが強くなり、BBH(イギリスのクリエイティブエージェンシー)へ移りました。日本オフィスの立ち上げを手伝い、シンガポールやロンドンを渡り歩きました。そしてロンドンにいるときに180(オランダのエージェンシー)へ。100人くらいの規模でグローバルなインテグレーテッドキャンペーンをやっている会社でした。しかも、ロンドンでもNYでもなくアムステルダムから。とても刺激的でしたが、ここも3年で辞めました。

思い返せば各社を3年周期で転職してきました。分かったことが1つあって、どこの会社も違うカルチャーを持ってはいますが、仕事の進め方は一緒。要は、大事なのは人とフットワークの軽さなんだなと。そして2011年にクリエイティブラボ・PARTYを設立しました。

 

PARTYだと、非広告、ブランドコミュニケーションも仕事にできます(領域に制限がない)。メインの哲学、行動指針は「クリエイティブ・ラボ」。もっと自由に、実験しながら進められる場にしたいという思いからそう名乗っています。

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コピーの今とこれから_3/3

TCC(東京コピーライターズクラブ)50周年特別企画のトークショー、『コピーの今とこれから』レポート、最終回です。

 

udon谷山さん:今年、「うどん県」っていう言葉が流行語大賞にノミネートされたんですね。でもTCCの新人賞には入らなかった。1票差で落ちちゃったんですよ。おそらく、「うどん県」って上手っぽくないんですね。テクニカルじゃないというか。でも世の中に広がったんですよね。

秋山さん:あれだけ見るとピンとこない。現象として見ないと。レディー・カガの方がまだピンとくるね。

谷山さん:レディー・カガも新人賞に落ちたんです。

秋山さん:あれも入ってないの?

谷山さん:入ってないです。

佐々木さん:うどん県とレディー・カガを落としたのは今年のTCCの汚点‥‥。

谷山さん:そこまで言いますか(笑)

佐々木さん:まちがいなくヒットしたし、話題になりましたからね。今後はいろんな県が「うちもうどん県みたいなのやろうよ」とか言うのが容易に想像できますし。だから来年に敗者復活賞をあげるとか。

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コピーの今とこれから_2/3

TCC(東京コピーライターズクラブ)50周年特別企画のトークショー、
『コピーの今とこれから』。レポート、2/3です(初回はこちら)。

クリエイティブディレクター・佐々木宏さんの

「1992年のJR東日本「その先の日本へ。」はCMのど真ん中にある言葉が企画にもなっていると思えた。CMをキャッチフレーズで思い出す」

というお話のつづきから。

 

佐々木さん:「祝!九州」も「MY FIRST AOMORI」も、CMの題名にはなっているけどキャッチフレーズにはなっていないな、っていう。その差は大きいと思います。そこはCMプランナーとコピーライターの確執っていうかね(笑)。これはあんまり言いたくないけど言う流れになったんで言いますけど‥‥。

秋山さん:(笑)

佐々木さん:きっと亡くなられた眞木準さんも同感だと言ってくれると思うんですが‥‥「その先の日本へ。」は、コピーライターの秋山さんが受賞されて、もちろんプランナーも受賞したんですが、眞木準さんがコピーを書いた「東北大陸から」というキャンペーンは、眞木準さんは受賞されなかったんですよね。

佐々木さん:で、その年に岡(康道)くんが獲った2つのCMの2つともコピーは僕が書いたんですけど、僕も受賞しなかったんですよ。

谷山さん:眞木さんのことを言いつつ自分の恨み節じゃないですか(笑)

佐々木さん:いやいや眞木さんも同感だと思ってるはずなんで一応。ま、ほんとに大変なのはCMプランナーで、一行書いたくらいでもらうのは申し訳ないよな、っていう風に納得もしているんですけど、ただ、そんな感じで(スポットを当てる対象が)曖昧になってきたのが一時期のTCCだったんですね。こういうことを露骨に言うのは僕くらいなんですけど。

谷山さん:(笑)

boss佐々木さん:僕、サントリーBOSSの「宇宙人ジョーンズ」のCDもやってるんですけど、今から7年半くらい前に福里(真一)くんにCMプランナーになってもらって、グラフィックの方は(コピーライターの)照井(晶博)くんに入ってもらって。そのときに福里くんがCMのコンテに書いたのが「このすばらしき、ろくでもない世界」というコピーで、すごくいい!と思ったんですね。で、「照井、わるい!こっちで行かせてくれ」と連絡したんです。そしたら照井くんから「それでいいですけど逆さまにした方がいいです」って返事が来て。「ろくでもない世界」だと後味がよくないってことで「このろくでもない、すばらしき世界」になっていたんです。もちろんこの方が全然いいなと。なのでクレジットが出るときは2人の連名になっているんです。それはすごくいいことなんですけど、「宇宙人ジョーンズ」が賞を獲ったときには照井くんは受賞しなかったんですね。逆さまにしたってのはすごく大きなことなんですけど。そういう、ま、ちょっと世知辛い話ですけど、個人的には(賞が)もらえるかもらえないかってのは大事なことで。

谷山さん:(笑)

佐々木さん:毎年TCC賞は欲しいんですね。でもそろそろこの歳になってきたらアナタはもういいでしょう、と言われる。じゃあ何十年も先輩の秋山さんはどうなんだっていう(笑)

谷山さん:それで言うと、僕も澤本(嘉光)さんとやった「ガス・パッ・チョ!」は、僕、受賞してないですよ。

佐々木さん:あるよね。TSUBAKIも「あれは大貫(卓也)さんの仕事なんじゃないの?」とかさ(笑)。大物に持ってかれるというか。新潮文庫の「Yonda?」も獲ってないよね?

谷山さん:獲ってないです。

秋山さん:頭よすぎんじゃないの?

谷山さん:そんなことないです!僕は大貫さんの参謀みたいな役回りが好きなんです。

佐々木さん:その「ガス・パッ・チョ!」のCMプランナーだった澤本は、あるときから「CMの中にタグラインがきちっとあって、その言葉を元にCMが組み上げられているとすごく気持ちがいい」ってことを言い出したんですね。キャッチフレーズを大事にし出したんです。

彼がソフトバンク(の犬のお父さんシリーズ)をやる前にKDDIを僕と一緒にやってて、そのときに彼がマンガみたいなコンテの中に小さく「伝わってる?」って書いてたんです。

佐々木さん:それは通信業界の言葉が氾濫する中で「Just Do It」くらいに実に見事な言葉だと思って、この言葉がすごくいい!って僕は騒いでたんですね。この言葉自体を「すごく機能した言葉だよね」ってTCCは褒めてもいいんじゃないか?と思ったんですけど。

谷山さん:ちなみに、「ガス・パッ・チョ!」を書いたときは澤本さんに「くうねるあそぶ」みたいなコピーを書いてくださいって言われたんですけど、「くうねるあそぶ」みたいなコピーってよくわからないし僕には書けないので「ガス・パッ・チョ!」になったんです。

佐々木さん:日産セフィーロの「くうねるあそぶ」は糸井さんの名作コピーですけど、でも実はあのCMは井上陽水さんが窓を開けて「お元気ですかぁ?失礼しまーす」って言って、それがすごく話題になったんですよ。つまり「くうねるあそぶ」と「お元気ですかぁ?」の合わせ技ですけど、TCC的には「お元気ですかぁ?」に賞を与えるということにはならなかった。だからこれからは、CMのタグラインとCMの中にある言葉の両方を褒めるようになっていったらいいなと。

秋山さん:「くうねるあそぶ」は、何でいいと思った?食う、寝る、遊ぶ。じゃなくて。

谷山さん:句読点がないんですよね。

秋山さん:味もないんですよ。一行でぱっと書かれていて。最初に見たとき、これはすごいなと思った。やっぱり糸井さんはすごいんだよね。きめ細かい。

谷山さん:糸井さんが言ってたのが、「くうねるあそぶ?あ、食う、寝る、遊ぶか!」と、受け手の頭に汗をかかせることで記憶に残させる、と。

 

佐々木さん:僕は「ガス・パッ・チョ!」について話したいんだけど(笑)、最近思うのが、やっぱりライバルが大事って思うんですよ。いまは状況が違うけど、当時は東京電力のオール電化にするか、ガスにするか、っていうね。東電の「SWITCH!」と「ガス・パッ・チョ!」の両方があるというね。そこで面白い表現が生まれてくる。(※ナイキとアディダスもそうだなと思いました)

佐々木さん:それでいうと昔の資生堂とカネボウの夏の対決とかね。小野田隆雄さんが書かれた資生堂の「夏ダカラ、コウナッタ。」とか。

谷山さん:はい。

佐々木さん:その年のカネボウが何だったかは覚えていないんですが、夏の一大バトルだったわけですよ。そういう、ライバルがいる中で、この言葉を流行らせてやろう!とか、売りだそう!とか、わざとらしいくらいやってもいいんじゃないか?と思ってるんですね。そうじゃなくて九州新幹線みたいな感動的なものばかりが獲ると、それはもうクライアントが偉いんじゃないか?とか、九州が偉いんじゃないか?とか思えてくるんです。

 

つづきます!次回、ラスト

コピーの今とこれから_1/3

TCC(東京コピーライターズクラブ)50周年特別企画のトークショー、
『コピーの今とこれから』に行ってきました。

12月15日(土) 開場14:00 開演14:30-16:00
テーマ:『TCC50周年特別企画 コピーの今とこれから』
秋山晶氏(TCC賞/ライトパブリシティ)
佐々木宏氏(TCC賞/シンガタ)
司会:谷山雅計氏(谷山広告)

今年50周年をむかえるTCCの歴史をふり返りながら、
コピーの今とこれからをざっくばらんに語り合っていただきます。
ここでしか揃わない超豪華パネラーの競演をぜひ。

TCC公式サイトより)

いまさらこのお三方についてここでご紹介するまでもないですが、一応うちの親のために書いておくと、司会の谷山さんは新潮文庫の『Yonda?』や東京ガス『ガス・パッ・チョ!』、資生堂TSUBAKI、佐々木さんは『TOYOTA ReBORN』やソフトバンクの犬のお父さんシリーズ、『そうだ 京都、行こう。』、秋山さんはキリン ラガービールの『人は、人を思う。』やキユーピーの広告など(もっとあるけど乱暴に割愛!)を手がける、そうそうたる面々。

壇上に古めかしいモノクロテレビが鎮座しており、そこに50年分の日本の広告(CM)が流れるという趣向だったらしいですが、砂嵐しか映らなくなったらしく‥‥そんな機材トラブルに見舞われつつスタート。審査員ならではの本音が飛び交うトークショーでした。

※会場で速記しましたが、きっとここだけの話も多分にあるだろうなと思い、一部、僕の判断で割愛しています。

 

谷山さん:今日はよろしくお願いします。秋山さんは50周年の1期目の新人賞でしたっけ?ですよね?佐々木さんが1986年の新人賞、僕が87年の新人賞ですよね。

佐々木さん:いや〜、谷山くんの司会がキッチリしすぎてるから、どうも僕はそういうのを壊したいタチで(会場 笑)。ちょっとこのテレビどけてもいい?(笑)

秋山さんそこに美人が居るのに見えないよね
(昭和のテレビいきなり退場)

 

Q:おふたりがもっとも「いま」を感じたコピー・広告は何か?

佐々木さん:僕の(コピーの)代表作といえばすぐ『ダメ、ゼッタイ。』っていう麻薬撲滅運動のコピーが取り上げられて。なんと20年以上使われているんですけど、これといった賞も獲れず、TCCからも無視され(笑)、しかものりピーも出てたっていうね(会場 笑)。

僕はTCCが好きでずっと関わってきたんですけど、ある時期からわかんなくなってきたんですね。僕もCMプランナーで受賞してきた仕事もあるんですけど、2000年代からTCCもCM作品が獲るようになって、「どの言葉がいいか?」っていうことじゃなくて、いつしか大キャンペーンが受賞するようになった。それだとACCとかADCとかと変わらないね、という思いがTCCの中にあった時期もあったんですよ。言葉よりもコマーシャル、キャンペーンにスポットの当たりがちな時代がつづいた。コピーにスポットを当てようという動きもこれまであったけど、かといって、わざわざキャンペーン系を外して「ひっそりしたコピーを探そう」というのも極端でおかしな話で、そんな感じでTCCがちょっと迷った時期があったんですね。でも審査委員長の仲畑さんが「今年、コピー イケるんじゃないか!」と元気に言い出してね。それで、僕も「コピーって、コピーライターって、いいんじゃないか?」とまた思いだして。スギちゃんの「ワイルドだぜぇ?」よりも世の中に広まる言葉をコピーライターが送り出さなきゃ、って。

で、今年?よかったコピーって、そんなになかった(笑)。まずはじめに言いますと、磯島(拓矢)くんと東畑(幸多)くん、グランプリおめでとうございます。九州キャンペーンはぶっちぎりでグランプリを獲って、よかったけど、どれがコピー?っていう思いもあって。まさか「祝!九州」ってのがコピーとして獲ったんじゃないよなぁ?とか思う。キャンペーンでグランプリを獲るのは今年の九州新幹線までで、来年からは「このコピーで獲ったな」ってのがわかるようにしたい。このキャンペーンがもたらした素晴らしい偉業というのはあって、逆にこれがグランプリじゃなかったらおかしかったんですけど、ただ、言葉はどこにあるの?っていう。来年は「このコピーで獲ったんだな!」と思えるものが出るように、言葉を探す先頭に立ちたいなと思います。

2012年度TCC賞 グランプリ「九州新幹線全線開業」シリーズ

 

谷山さん:ちなみに来年のTCC審査員長は佐々木さんがされるんですよ。なので今のは佐々木さんの所信表明といいますか(笑)。秋山さんはいかがでした?

秋山さん:今年のTCCは楽しかったですよ。来年の審査員長に逆らうようだけど、九州新幹線のあの中にも、立派なコピー沢山ありましたよ。それは、「カメラは進行方向の左側にあります」というコピーは、いいコピーです(※九州の人々にCM撮影当日にエキストラとして参加してもらうための予告CM。「カメラは進行方向、向かって左側。左側から手を振ろう」と呼びかけていた)。あとは、磯島さんの、旭化成のヘーベルハウスで「緑はなくても、風は吹く」もよかったですね。両方ともすごく心が動きましたね。プラスの方に

秋山さん:最高新人賞を獲った、ラジオのやつもよかった。

(クルマ用ファブリーズ-「でも、クサいヨ」)

秋山さん:通勤途中にJ-waveで聞いたんだけど、新しいと思った。まっすぐに届かせるよりも斜めから弾が来たっていうのは今風ですね。シニカルで、文化を感じました。この2つですね。

佐々木さん:秋山さんの話を聞いて、僕もいいと思いました(笑)

谷山さん:僕は、「緑はなくても、風は吹く」はすごくいいコピーだと思ったんですが、「カメラは進行方向の左側にあります」ってのはすっかり忘れてました。

秋山さん:あれは、ぶんなぐられましたよ。

佐々木さん:蛇足かもしれませんけど、じつはこの前年のTCCグランプリは青森の東北新幹線で高崎(卓馬)さんと一倉(宏)さんが獲りましたね。これもぶっちぎりで一等賞でしたね。これは一倉さんの「MY FIRST AOMORI」でしたよね。これも「祝!九州」といっしょで、キャッチフレーズはどれだ?って探すと「MY FIRST AOMORI」なんだけど、でも一倉さんってすばらしい名コピーを沢山書かれていて、そのお仕事の中で「MY FIRST AOMORI」がいちばんよかったか?というと、どうかな?と。一倉さんも照れてたんですけど。でも、秋山さんが『ブレーン』で書かれていたことが興味深くて。CMの中で吉幾三さん扮する地元の駅員さんが、三浦春馬さん演じる東京もんの新人駅員のことを「東京!」って呼ぶんですよね。あれがよかったって書かれていて、同感!って思ったんですね。あれは審査員の中にもずっと引っかかっていたんですよね。だからコピーって必ずしもキャッチフレーズだけってことじゃなくて。

 

谷山さん:おふたりが印象に残っているコピーって、CM全体の中の一部分を取り上げられていて。キャッチじゃなくて。かつてなら「男は黙ってサッポロビール」(※秋山さんの名コピー)とか、そういうのが真ん中にあったんですけど、いまはコピーが見えづらくなっているんでしょうか?

佐々木さん:コピーってグラフィックの中心にあったり、商品のことを言い当てていたり、世の中の提言だったりした時代があったけど、それが当たり前になって。そのなかでTCCは「タグラインが上手いか下手か」だけにこだわっていた時期もあったと思うんですよ。でも、同じ新幹線でも秋山さんがやられた「その先の日本へ」(1992年)は「その先の日本へ」というキャッチで思い出すんです。(※これは僕も同感!当時12歳でしたがあの“読後感”はCMが流れていた金曜ロードーショーとともに覚えています)

佐々木さんCMのど真ん中にある言葉が企画にもなっていると思えたんです。読むか読まないか?ってのも大きくて、椎名誠さんのナレーションで「その先の日本へ。JR東日本がお連れします」って言っているかどうか、っていうことかもしれないですけど。あの声がゾクッとくるし、あの言葉がかなり真ん中にあったなっていう気がするんですよね。

つづきはこちら

学ぶとは、自分が感動すること。

8月に転職して、後輩ができました。
後輩?入社の年次からいえば先輩か。でも先輩は新卒なので、後輩です。

で、その後輩が部下につくというのが僕にとっては初めてで、企画のこと、インタラクティブのこと、コピーのこと、映像のこと、プレゼンのことなんかを、仕事を通じて自分なりに伝授する日々です。

相手は歳(とし)が9つもちがう平成生まれの女性なので、逆にネットでの流行りもののことや、彼女の好きなももクロのこと、モノノフのこと、しおりんのことなんかを教わっています。数年間くわず嫌いで通していたももクロにここまでハマるとは・・・・という話はまた今度。

 

以前の会社では、5年間、愛あるスパルタ上司にみっちり鍛えられました。スパルタ過ぎてひーひー言ってたけど、そこで教わったことにはこんな意味があったのか!と、教える(というか伝える)側に立って今さら気づかされます。とあるコピーライターの方が、宣伝会議の講義前に「講義って講師がいちばん元を取ってるんだよね」とツイートされてましたが、まさにそんな心境。

「学ぶとは、自分が感動すること。
 教えるとは、自分の姿勢を見せること。」

かつて通っていた、中村禎さんのコピーライター養成講座(通称 中村組)で受け取ったこの言葉をまた実感しています。「教えるとは、自分の姿勢を見せること。」ができてるのか?と自問自答したり、変な姿勢でいてもそれを「教えて」しまうんだなぁと恐怖したり。

なんと、後輩も今月から10代目中村組に通い始めました。

外でいっぱい感動してほしい。
そのために何かにどっぷり没入してくれたら、もう僕は小手先のテクニックだけを教えてお役御免です。大事なことは師匠が教えてくれるから。その代わり、もっとももクロの動画をシェアしてください、モノノフの先輩。