2.20 さぬきで『幕が上がる』

2月28日、いよいよ映画『幕が上がる』が公開されました。

その約一週間前、本広克行監督の地元・香川県で開かれた「さぬき映画祭」のライヴ&トークつき特別先行上映に参加。四国八十八カ所だけあって、高松駅に降り立つと、お遍路さんとモノノフさんが入り乱れる不思議な光景が広がっていました。どっちも巡礼という意味では同じか。

すこし時間が経ってしまったので、そのときの興奮を書き殴ったFacebookの投稿をここにも残しておきます。

今日ほど心があっちこっちにバウンドした日はありません。生きてるって楽しいね。自分の目指す夢がクッキリと見えた日でもありました。この人たちみたいなでっかいことがしたい、走りたい。有言実行と行きたいところだけど、具体的な言葉にするのは自分の中だけにとどめておきます。

ふたつほど、具体的なことを。

映画『幕が上がる』のエンドロールでももクロの新曲「青春賦」が流れたとき、スクリーン前の奈落からメンバーがゆっくりと出てきて、エンドロールに合わせて歌ってくれました。作品の衣装姿で。

makugasanuki

これって最近話題になってたディズニーの影絵のやつみたい!
まるで映画の中からキャラクターたちが飛び出てきたみたいで、とっても素敵なサプライズ演出でした。これが佐々木敦規さんの真骨頂。こういうまっすぐな企画を実行に移せる人間になりたいって、目を潤ませながら思いました。劇中で「吉岡先生」の演技を見て引き込まれた「さおり」も同じような衝撃を受けてたのかな。

もうひとつは、初めて

出待ち

というものをしました。

ファンが詰めかけた歩道から先に出ないようにと用意されたロープは、最初、道路に置かれたままになってて。地元の若い警備スタッフさんが「このロープから出ないでください」と説明してくれたんだけど、その後にやってきた黒スーツで強面の警備員(言葉のトーンからして、おそらくももクロの随行スタッフ)がバリトンボイスで一喝。

「やるならちゃんとやりましょう。ロープを張るなら張る!張らないなら張らない!モノノフさんたち、みんないい人ですから。自分たちでロープ持ってくれますから。ね?」

顔もガタイもロン・パールマンにソックリ
顔もガタイもロン・パールマンにソックリ

なんという人心掌握術。ずるい。
みんな大慌てで足下のロープを持ちました。

自分たちが一線を越えないためのロープを、自分たちで持つ。
ずいぶん滑稽な姿に笑っちゃう。でもこの待ち時間、幸せ。

完全に飼い慣らされた犬状態で待つこと20分、反対側の歩道に出てきたももクロちゃんは本当にかわいかった・・・・というよりも芸能人のオーラを纏った(ように見えた)夏菜子、しおりん、あーりんに戸惑い、荷物を道路に置いて手を振ってくれる杏果、ニヤニヤが止まらない猫背のれにちゃんに安堵。こんなにも近いのに何万光年も遠くに感じられる道幅はまるで天の川のようで。カンパネルラはこの川に飛び込みそうになる衝動を抑えるのに必死でした。

いや、夏菜子もしおりんもあーりんもすっごく丁寧に挨拶してくれて、ゼットもやってくれて感無量だんだけど、びっくりするほど大人に見えたんだよなぁ。さっきまで映画で観てたあの無邪気さとはまるで違うオーラがあった。夜遅くに近隣マンションの迷惑にならないようにささやき声だったから余計にそう見えたのかも。

さぬき映画祭、いろんな意味で最高でした。ありがとうございました。凄いものを観ると落ち込みますが、明日からもがんばれそうです。

 

* * *

 

3月1日、新宿バルト9で三度目の鑑賞をしました。

銀座の東映さんでの試写会、さぬき映画祭での上映、どちらも大スクリーン・大音響での映画体験とは言えません。

一度目はモノノフフィルターがあらゆる小ネタに反応してニヤニヤしっぱなし。そして五人の演技力に心底感動&安心し、公開の1ヶ月以上前だったこともあり、いち早くこの安堵感を世に送り届けねば!と思ってBlogにレビューをしたためました。二度目のさぬきはエンドロールの登場→上映後のライヴ&トーク→出待ち→おいしいうどんと地魚で超贅沢なイベント。だから三度目の映画館がいちばん素直に映画として楽しめた。

「人は、宇宙でたったひとりだよ」
「でも、ここにいるのはふたりだよ」

もはや小ネタはもうちょい抑えてもよかったんじゃない?と思えるほど、冷静に観られた。
やっと映画として成仏(?)してくれた三度目のスクリーン体験でした。
初めて観る人にはこれがデフォで、あんまり身構えたり先入観を持ったりせずに観てほしいと思います。そういう意味で、僕(モノノフ)の感想は書けば書くほどプロモーションの邪魔をしているというジレンマ。

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幕が上がる』、公開中です。

(c) 平田オリザ・講談社 / フジテレビジョン 東映 ROBOT 電通 講談社 パルコ

 

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投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職