トウキョウソナタ

先週、『レッドクリフ』を観たと
電話で弟に話したら、

「なんでトウキョウソナタを観ない?」

と言われたのを思い出して、新宿の映画館へ。

隣の席に座ったお客さんが、なんと
大学時代のゼミ仲間だった。3〜4年ぶり?
長井くんの落ち着いたトーン、懐かしすぎます。
昨日からの偶然力、引き続き。

 

香川照之演じる父と、次男坊との
口論のシーンに、自分の父と弟を重ねてみた。

うちの父はあそこまでダメじゃないけど、
おかしな時期があったのは確かで、弟は
凝りもせずに反論(反抗ではない)して
よく叩かれていた。

家族なんて不協和音そのものだろう。
よく続いてると不思議に思う。奇跡に近い。

映画の中の家族も、壊れそうで、でもまた
「ただいま」と扉を開ける。そこに修復の
努力や葛藤、絆のようなほとばしるものはない。

それぞれが勝手に家を出て、勝手に生きて、
勝手に戻ってくる。

だけれども無関心というわけでもなく、
互いの存在や「痛み」は認識している。

うまく言えないけれど、愛おしい映画だと思った。
ときどき垣間見える黒沢作品のユーモアが、今回は
いつになく「救い」として機能している気がした。
 
 
弟に感謝。


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職