休日出勤で赤坂のオフィスへ。
他の人もプレゼン前とかで5人くらいいる。
誰もいない残業はほぼサボってしまうので、
個人的にはありがたい。
夜、粛々と企画書をPCに打ち込んでいたら、外から
歓声のような音が聞こえるので気になって窓を覗きこむ。
赤坂サカスの周りを、大勢の観衆が取り囲んでいた。
今まで一度として最初から最後まで見たことのない、何が
面白いのかサッパリなTBS番組『オールスター感謝祭』の
芸能人マラソン大会が今まさに階下で行われようとしていた。
テレビをつけて、走者の中に安田美沙子を確認すると、
一緒に企画書を考えていたYさんががぜんやる気を出す。
2人でビルを飛び出し、ギャラリーに紛れ込んだ。
東国原宮崎県知事と髭男爵とイケメン狩野英孝と
ムーディーとザ・たっちと安田美沙子その他大勢の
タレント的な人々が汗だくで走る姿を次々と目撃。
ジャージ姿でうつむき加減に走るグラビアアイドルの
顔は見たことのない苦悶の表情で、むしろ普通に
どこにでもいる女の子のそれだった。
「何や、ふつーやったな」
安田美沙子と同じ京都出身のYさん、すこし残念そう。
どんなに美しくフィーチャーされる芸能人も、走るとただの人。
ということが間近で見られただけで僕は満足だった。
「ただの人と化した状態を茶の間にさらしてる私って、
何でこんな仕事引き受けちゃったんだろう・・・?」
と、美沙子が走りながら自問自答していないか、気になった。
普通の人は息も切れ切れの状態になると不細工になる。
そう考えると美沙子はじゅうぶんアイドルだった。