CDショップ大賞

全国の本屋さんがオススメしたい本を
選んで投票し、賞をあげる「本屋大賞」。

芥川や直木の権威はないけれど、いま
面白い本や掘り出し物をプッシュでき、
ハズレを引きたくないお客さんにも
一定の信用を得ている感があります。

 

その本屋大賞に対抗して生まれたのが
「CDショップ大賞」だそうです。

 

全国のCDショップの店員が、おすすめの邦楽アルバムを選ぶ「CDショップ大賞」の発表が今年から始まった。CD不況と言われる中、現場から音楽を盛り上げたい——。そんな思いを持つ店員たちが企画した。

(中略)

意識したのは、先行する「本屋大賞」だ。

「CDショップの方が時代の先を行っていたはず。負けてたまるかという思いでした」。

(朝日新聞記事より)

 

今年で第6回を迎える本屋大賞も、
もともとは出版不況が生み出した
PR手法のひとつだと思いますが、

本屋大賞の上手いところは、受賞すると
ほぼ必ず「映画化・漫画化」という水平展開ができること。
むしろそのための賞ビジネスであると言った方が正しいのかも。
「本屋大賞受賞作品が映画化」というキャッチは効果的です。

 

それに引き換え、CDショップ大賞はちょいと苦しい。

 

CDショップ大賞受賞作品がエンディング曲に採用!
というのはPRとして「遠い」ですし、

CDつまり音楽は、本のように買って聴かなくても
タモステやラジオ、お店の有線などで触れられるわけで、
全編「つまみ食い」ができちゃう
(小説も全ページ立ち読みしようと思えばできますが)。

さらに言えば(これも仮説ですが)、

いくら出版不況とはいえ、本屋は雑誌の立ち読みなどで
気軽に立ち寄ることがあると思いますが、CDショップは
音楽にアンテナを張ってる人じゃないとふらっと
立ち寄ることが少ないのでは。
そういう「通(つう)の場」になってる気がします。

ということは、ショップ店員のレコメンドで受賞した作品も、
すでにお客さんに知られている可能性が高い。

 

大賞は、4人組ポップバンド、相対性理論の「シフォン主義」。80年代風のポップなサウンドとシュールな歌詞、淡々とした女性ボーカルが持ち味のこのバンド、ライブ以外に姿を見せない。ネットや口コミで評判が広がっていた。準大賞には、映画音楽などで活躍する大橋好規のソロプロジェクト、大橋トリオの「THIS IS MUSIC」と、Perfumeの「GAME」が選ばれた。

 

この後、宇多田や秦基博、ミスチルなどが続きます。

インディーズの相対性理論や大橋トリオが受賞しているのは
「狙い通り」かもしれません。ステキだと思います。かたや
ミスチルとかが入っていると普通な感じがしちゃいますね。

気になるのは、来年も相対性理論みたいに
「メジャーに躍り出そうなインディーズ」を掘り起こせるか?
相対性理論は半年前にiTunesストアでアルバム1位になるほどの
人気がすでにあり、「蔓延できるインディーズ」だったわけです。
逸材ってやつですが、言わずもがなCDショップ大賞発ではない。

 

ネガティブなことばかり書いてますが、あと、名前がよくない。
「レコード屋大賞」の方がレコード大賞のパクリっぽくていいんじゃないかなぁ。
本屋大賞に対抗するというのは裏テーマで、表だってはレコ大に対抗すべきかと。
「レコ屋大賞」なんつって。‥‥レコード屋って呼ばれたくないのかもなぁ。

 

権威のない「自分と同じ目線」の、でも「ちょっと詳しいあの人」から
掘り出し物や面白作品をオススメしてもらいたい、というニーズはある。
だとしたら、個人的にフィットしそうなのは、本もCDも一緒くたにした

「ヴィレヴァン大賞」

がいいかも。

ヴィレッジヴァンガードの、あの黄色いPOPはまさに店員の偏った推薦。
けっこう見ちゃいます。人間味がありすぎてスキです。

 

 

CDショップ大賞をどう盛り上げていくかは、
サポートしている箭内さんに考えてもらおう。

CDショップをいかに盛り上げるか、これも
そうとう難しいですが、考えるだけならタダ。
考えてみよう。と言ってる自分がすでに滅多に
行かなくなっています。行っても試聴するだけ。

カエラもくるりもTSUTAYAでレンタルしたし。
う〜ん。

CDショップ大賞


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職