逃避行

この夏は逃げた。

世間の疎ましい生活から逃げるべく、
北海道をぐるり。実家でゆるり。岡山をするり。

おかげでいい休息になったと
満足して新幹線に乗り込んだが、
無理なスケジュールがたたって、
岡山駅から新宿のバイト先まで直行するハメになった。
このままバイトとは!

先のことを考えるのも憂鬱なので、車内で小説でも読もうと試みた。
が。

最近のというか最新の新幹線と違って、
ひかりの車体は不規則に揺れ、とうとう電車酔いしてしまった。

岡山で浸かった温泉の安らぎも霞むようなせわしい駅に降り立ち、
そのまま中央線へ。
田舎と都会の差異を目の当たりにし、
早くもげんなりしてしまった。

とは言えやはり東京は便利だ。
あっというまに新宿に着く。交通網は呆れるほど正確だ。


秋が足踏みしつつこちらの顔色を窺っている。
まだ来なくていいよ、と言いたいが、
夏からも人ごみからも逃げきったばかりで、
次の季節が楽しみでもあったりする。

というわけで、今日は秋らしくしっとり書いてみた。


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職