田舎に帰っている時、ふらっと母校へ立ち寄ってみた。
うちの高校は全国的にも珍しい城跡に建てられた学校で、
お堀が校舎を囲む、一風変わった建物をしている。
…で、正門の前まで来たのはいいものの、
今となってはいかにも部外者なので、どうにも困ってしまった。
困ったどうしよう?というメールを、
たまたま同じく田舎に帰っていた友人・花ちゃんに送ってみた。
ほどなくして返信メールが到着。
「じゃあ今からそっち行こうか?」 やったね。
というわけで、二人なら恐くないとばかりに約5年ぶりの高校を訪ねてみる。
日が沈んだあとの学校は廃墟のように暗い。(写真は夕方に撮影)
懐かしの美術部に辿り着くと、女の子が一人で絵を描いていた。
聞けば受験生だという。
顧問の先生も異動で変わり、昔の煩雑な美術部とは違っていた。
が、それでもここの空気は変わらない。
テレピンオイルのツンとするにおい。油絵のにおい。
ここで僕たちは絵を描き、写真を撮り、閉門時間までおしゃべりをした。
高校時代の思い出はどれもろくなものは無いし、
正直つまらない日々でしかなかったけど、この部屋だけは別だった。
ここに来れば誰かがいた。
美術部が世界だった。