金木犀


秋の気配。

家を一歩出ると、金木犀の匂い。
秋を感じる時、決まって地元の祭を思い出す。

地元では勇壮なだんじり、神輿の男祭が開かれ、
そのときが街の最も高揚する瞬間である。
ここぞとばかりに男も女も入り乱れ、最後は川で大暴れする。

秋は祭の季節。だがそれは本当に一瞬の出来事で、
あとに残るのは空っぽの酒瓶と金木犀のほの甘い香りだけだ。
日本酒の強烈な臭気と金木犀の香りが混じり、けだるさを誘う。

匂いの記憶というのは凄まじいもので、
視覚の記憶なんぞよりよっぽどリアルに情景を思い出させてくれる。
あぁ祭が近づいて来たな。秋だな、と思える。

驚いたのは、家を出てバイト先の新宿に降り立った時。
あの透明で甘い匂いがそこら中から風に乗って届くので、
思わず駅で深呼吸した。

都心にいながらにして、ぼくは地元の祭の中に立っているような気分。
少し寒い。

帰りたいな、と少し思った。

発掘

カラオケに行って帰って。

午前4時から部屋の大片付けを開始したにも関わらず、
片付くどころかむしろ汚くなっていくばかりで滅入る。
しかもラジカセ(死語?)の配置替えなんぞをし始めたもんだから、
もう手をつけられないようなドツボにハマって更に滅入る。

ラジカセが退いたおかげで本棚はスペースを大きく確保でき、
今までそこいらに散らかっていたマンガの類いを一気に
並べることが出来たんだが、今度は「めぞん一刻」の
五巻から七巻までが無い。どこを漁っても出てこない。

自分の勘違いでどこかに埋もれているだけかもしれない。きっとそう。
にしてもどこをどう掘っても見当たらない。
日はとっくに昇り、なんだか疲れた。

しかしこうして本格的に片づけ始めると、
六畳一間の我が家も何かと収納空間があるもんだ。
押し入れはまだ空きがある。本棚もまだまだ入る。
台所も暗室用品を売り払ったおかげで料理スペースが出来そうだ。
(今まではお湯を沸かすのが精いっぱい)

工夫次第で一人暮らしはこんなに快適、みたいになりたい。
この惨状ではほど遠いが。。

 

「2時間後に女の子が束になって押し掛けてくる」
と想定して始めたんだけど、なかなか片付きません。

茜色

高校時代の友達と会った。
彼女はこの夏、入院していた。

退院後、北海道・東北を回って、
そのまま東京まで来たんだと言う。

そんなことして大丈夫なん?と聞いても
平気そうに笑うだけで、少し安心した。

久々のおしゃべりは互いの進路や闘病生活の話で盛り上がった。

彼女は、神戸の大学院を出たら
とにかく家庭を築きたいと言っていた。
仕事はその次だそうだ。
少なからず入院という経験が思考にも影響して、
今の「家庭第一」に落ち着いたんだと話してくれた。

僕も昨年の闘病生活はモノの考え方にすごく影響を及ぼしたが、
とりあえずは死なない程度に好きなことをやっていたいだけだ。

コドモだと思う。
けど、管に巻かれて好きなことも出来ず、寝返りも打てない
生活を一か月も経験すると、あながちコドモとも言い切れない。

あの時の苦しみは、大袈裟だけど今を生きるためにあったんだと思う。
二十日間の意識不明から甦ったんだから、
今はたくさん本を読んで、旅行をして、写真を撮りたい。
就職とか考える時期だし、人生は甘くないけども。

例えば、海外旅行を自由に出来るのは今だけだよ、
と言う彼女の言葉は本当だと思うし、彼女が今回の北海道東北旅行を
からだのことを(ある意味)無視して決行した気持ちがよくわかる。

忙しいって連発する人はかっこわるいよね、とか、
建築という仕事の話、写真のコト、いろいろ。
次に会った時、同じ話題を話すか。どう話すか。
ちょっと楽しみ。

銀ブラ

授業が午前中で終わったので、銀座を徘徊することにした。

進級制作展の準備で京橋の堀内カラーに用があったのと、
たまには息抜きも必要という大義とで、
特に予定も予算も決めず電車に乗り込んだ。

堀内カラーでは営業担当の有田さんとデジタルプリントの話をし、
彼女曰く「お安くさせて頂きます」との事。うわーなんていい人。

用件を終えて、さて。
ちょっと銀座のギャラリーでも見るか。
ん?
藤幡正樹展。この人は確か友人の大学の先生だ。
入ってみる。と、がらんとした白いスペースに、
筒のような映像が投射してあるだけだった。

なんだこりゃ。

よく見ると、なんと自分が映っている!
しかもこれは、この部屋のパノラマ!

ぐるぐる。ぐるぐる。…面白い!

すっかり楽しんで、その後有楽町無印へ。
てきとーに見て、ソフマップで日記更新。
立川に、こないだ大学を辞めた友人が来ているという。
一緒にお茶でもどう?とのことだが、どうにも間に合いそうに無い。
悪いけどゴメンと返信してそのまま新宿東急ハンズに向かう。

紀伊國屋書店へ。
芥川賞受賞の本に目が止まる。山田詠美推薦。ほぉ。
柳美里の『交換日記』に目がゆく。面白そう。買おう。
浦沢直樹の『20世紀少年』。面白そう!買おう。

三冊購入。
村山由佳の『星々の舟』を読み始めてまだ日が浅いが、まぁいい。
読書の秋ですから。

帰宅ラッシュに挟まれて、午後九時帰還。了。

再会 始業

母が、安藤忠雄のことを安藤広重と言っていた。
江戸か!

三週間ぶりに会った。

相変わらず、何と言うかしかめっ面だった。フキゲンなのではない。
と知っているので何も言わない。

「実家で南国少年パプワ君を読んで泣いたわー」
と言っていた。

 

今日からまた学校が始まる。

始まる事自体は何でもないのだけど、
最初の授業が…例のゼミなので、ちょい憂鬱。

勝手気ままに。てきとー騙し討ち。

ハイスクール

田舎に帰っている時、ふらっと母校へ立ち寄ってみた。

うちの高校は全国的にも珍しい城跡に建てられた学校で、
お堀が校舎を囲む、一風変わった建物をしている。
…で、正門の前まで来たのはいいものの、
今となってはいかにも部外者なので、どうにも困ってしまった。

困ったどうしよう?というメールを、
たまたま同じく田舎に帰っていた友人・花ちゃんに送ってみた。
ほどなくして返信メールが到着。
「じゃあ今からそっち行こうか?」 やったね。
というわけで、二人なら恐くないとばかりに約5年ぶりの高校を訪ねてみる。

highschool

日が沈んだあとの学校は廃墟のように暗い。(写真は夕方に撮影)

懐かしの美術部に辿り着くと、女の子が一人で絵を描いていた。
聞けば受験生だという。
顧問の先生も異動で変わり、昔の煩雑な美術部とは違っていた。

が、それでもここの空気は変わらない。
テレピンオイルのツンとするにおい。油絵のにおい。
ここで僕たちは絵を描き、写真を撮り、閉門時間までおしゃべりをした。
高校時代の思い出はどれもろくなものは無いし、
正直つまらない日々でしかなかったけど、この部屋だけは別だった。
ここに来れば誰かがいた。

美術部が世界だった。

逃避行

この夏は逃げた。

世間の疎ましい生活から逃げるべく、
北海道をぐるり。実家でゆるり。岡山をするり。

おかげでいい休息になったと
満足して新幹線に乗り込んだが、
無理なスケジュールがたたって、
岡山駅から新宿のバイト先まで直行するハメになった。
このままバイトとは!

先のことを考えるのも憂鬱なので、車内で小説でも読もうと試みた。
が。

最近のというか最新の新幹線と違って、
ひかりの車体は不規則に揺れ、とうとう電車酔いしてしまった。

岡山で浸かった温泉の安らぎも霞むようなせわしい駅に降り立ち、
そのまま中央線へ。
田舎と都会の差異を目の当たりにし、
早くもげんなりしてしまった。

とは言えやはり東京は便利だ。
あっというまに新宿に着く。交通網は呆れるほど正確だ。


秋が足踏みしつつこちらの顔色を窺っている。
まだ来なくていいよ、と言いたいが、
夏からも人ごみからも逃げきったばかりで、
次の季節が楽しみでもあったりする。

というわけで、今日は秋らしくしっとり書いてみた。

長月

九月です。

夏休みもあと一週間。

うちの大学は試験の関係で、春休みが三ヶ月ほどあります。
一月の初めに少し出席したら、あとは四月の始業までずっとお休み。
なので、そのぶん夏休みはそれほど長くありません。

今日も、実家の愛媛県某市から更新中。

jikka

 

唯一の兄弟、たか君は大学受験を控え、今も下宿先で生活しています。
というわけで会っていません。元気にしているのだろーか。

弟は大阪か京都辺りの大学に行きたいとか言っているらしい。
兄としては東京に来てくれると面白いかなあと思うのだけど、
京都か大阪に住んでくれると遊びに行けるということも
考えられるので、それはそれでいいかも。
この夏の北海道旅行で、旅の味を占めました。

今年、この夏の締めくくりは岡山旅行にしようかと考えています。

まだ返事はないけど、岡山の友達の家に押しかけようかと。
まあ本人はいなくても、彼の家は喫茶店とのことなので、
客として行こうと思います。

一泊旅行ですが、それでも立派な一人旅。
そのあと新幹線でバイト先に直行ですが。

天気が良いことを祈ります。

病院の天井ばかり眺めていた去年の夏が嘘のよう。

残暑

もう夏が終わって。

誰に会うわけでもなく。

田舎の時間はのんびりと。

畑で採れた西瓜を食べて。

朝は寝過ごして。

昼はそうめんを食べ。

夕は読書をし。

夜はwowowを見て。

深夜はBSマンガ夜話。

風呂は湯を張って。

スズムシが鳴いている。

蝉の死骸をよけながら。

歩いて入る、古本屋。

浦沢直樹を探しつつ。

最近出来た、映画館。

踊る大捜査線を見るか否か。

迷って結局何も見ず。

田舎の娯楽は映画とカラオケ。

あとはボーリング&ダイソー。

することなくて、メール打ち。

返事がないからふて寝する。

 

もう夏が終わって。

あなたと会えるのは、秋ですか。

ツアー

実家で、今月半ばに上京していた従兄弟のさー君と会った。

 

今日は小学校のサッカーの試合だったらしいけど、雨で順延。
暇だったので地元の西条を案内してくれるという。

「西条の観光スポットを案内したげるよ」

一応、僕もこの町で18年間生きてきたので今さら観光もないだろうと思うが、
それでも面白そうだったのでついて行く事にした。

「はい、ここが真鍋かをりの家でーす」

「はい、ここが古本屋でーす」

「はい、ここが立川よりでかいツタヤでーす」

「はい、以上でーす」

 

・・・はやっ。

wave

今年の夏は、過去最速で過ぎていきました。

北海道に行き、従兄弟が遊びに来て、駆け足で実家に帰って。
イベントの多さと、それと逆行するように仕事を貰い、
バタバタ。
毎日のweb更新と、僕等.webの存在も大きいです。

でも。
ここにきて久々の休息気分で、田舎を楽しんでいます。

 

田舎。田舎。

戻ってくるか否かこの田舎。
そんでもっていつかは彼女といい仲。
(出:小林賢太郎)

スズムシが鳴いています。

homebase

実家に帰ってきた。

東京を住処にして五年。
実家の、相変わらずの田舎っぷりが、今となっては新鮮だったりする。

 

夜行バスの出発ギリギリまで友人宅でPC作業を進めていたので、
結局アパートに戻って荷造りする時間もなく、そのまま手ぶらで帰ってしまった。
電池が切れそうなiPodと、コンパクトデジカメとケータイ。
装備はそれだけ。
着替えもひげ剃りも置いてきてしまった。普段の、バイトに行く姿のまんま。

さすがに軽装備が過ぎるので心許ないが、のんびりやろうと思う。

部屋の本棚で埃を被っている「みゆき」と「電影少女」を読んでみよう。

 

此処で僕のコアが生成されたんだと
思えるものが、そこいらに落ちている。

疲労 夢

最近、変な夢ばかり見る。

夢ならまだいいが、幻聴まで聞こえる始末で、
少し体に変調をきたしているんじゃないかと思う。

深夜、寝ようとする時の幻聴は辛い。
人の声がひっきりなしに聞こえ、寝かせてくれないのだ。
複数の人間の話す声が止まない。
どう考えても頭の異常だということは自覚出来るので、
なんとかその「声」を無視して寝ようと試みるのだが、
どうにも「声」の勢いは衰えない。どーゆー訳か。

理由や原因は専門医の診断でなければ判らないが、
単純に疲れているというのは間違いない。
ここ何日か、友人のお手伝いという名目の仕事が立て込んでいた。
写真撮影の仕事をふたつ。映像編集をひとつ。
web制作をひとつ。Macセットアップをひとつ。
今夜も徹夜の公算がでかい。
仕事と言うと大げさだけど、好きなことの延長なので、どれも面白くやっている。
とはいえ、からだに鞭打ってやっていることも事実。

からだは嘘をつかないんだと思う。

今日のアルバイトも過労を理由に休みたかったのだが、
明日から一週間ほど実家に帰って休息しようと思うので
その間の欠席ぶんを考えると今日は休むわけにはいかなかった。
バイトは非常に順調に進んでおり、
普通40コマから60コマかかる研修時間を、30コマという、
少し驚異的(らしい)なスピードでこなしてきていた。
(ちなみに、ひとコマは4時間。)
なもんで、今日はその疲れも出てしまい、
考えられないようなミスもしてしまった。

と言いつつも頑張ればそれだけの
ものが形になって出てくるので、面白い。
今日は友人のポートフォリオ制作を手伝った。
陶芸作品の撮影が主で、たまにはこういうモノ撮りもいいもんだと思った。

面白いくせにからだは疲れている、っていうのはかっこわるい。
デキル人っていうのは、一体いつどこでどんな風に休むのだろうか。
ラウンジ?ファーストクラス?

・・・分からない。