UZA

AKB48の『UZA』を買ってみた。かっこいいねコレ。

でも「愛の意味とか分かっているのか?」って歌詞を恋愛禁止のグループに歌われるのはかなり皮肉が利いているな〜と思ったけど、よく考えてみたら、恋愛禁止だからこそ意味の深淵に近いところで悶々としている彼女たちの飢餓感あってこその問い、もしくは自問自答なのかもしれん、と思い返し、秋元深いなぁと感動を覚えたところです。

まるで強制的に餌を流し込まれ良質のフォアグラにされるカモのような感じか。
違うか。

ワイフのつぶやき

妻の言うことが面白くて、よくTwitterに投稿します。
そのたびに叱られます。

「あなたは私のスポークスマンか」
「私のイメージがこれで付いちゃう」

妻はとても優しく気の利く人であることを
お断り(フォロー?)しておきつつ、
過去にツイートした中から面白かったものをピックアップします。

 

ゲイだらけの小室哲哉ナイトに参加してきた妻。「会場のスモークがすごくて、でもスモークなんて焚いてないんだよ。ぜんぶガチムチたちの蒸発した汗なんだよ。ガチムチミストサウナだよ」
(2012年12月24日)

 

リビングで「眠い…」とつぶやいたら、妻に「寝たいなら帰れよ!」と叱られたが、どこへ…?
(2012年11月27日)

 

ベンザブロックのCMに要潤が出た瞬間、「僕はアゴから」とつぶやく妻。
(2012年11月23日)

 

ティム・バートン監督『フランケンウィニー』のCMを見た妻が「腐乱、犬、か」とつぶやいた。
(2012年11月18日)

 

すごいシーンだったので妻に「テレビ見て見て!」と言ったが一切首を動かさず「むしろ見て私のこの見なさっぷり!」と返された。
(2012年11月10日)

 

先の長い議論に疲弊しているところに、渋谷で遊んでいる妻から電話。「仕事どんな感じ?」「だいぶ煮詰まっているよ…」「ふーん、でも煮詰まるって本当はいい意味のときに使うんだよ」「え」「いい議論や考えが出尽くしたって意味らしいよ本当は!だからがんばれ。私はご飯を食べに行くよ。じゃ」
(2012年10月13日)

 

ジャニーズJr.がたくさん出る某番組を見ながら「ワタシ江戸時代に生まれてたら絶対に歌舞伎と浮世絵にハマってたわ」と自信たっぷりの妻。
(2012年07月9日)

 

外で仕事する妻に手を振ったら「いいか 私とお前は今初めて会ったんだ けして話しかけるんじゃない わかったな!」ってメールが来て震えている。
(2012年4月28日)

 

奥さんの会社に、佐藤健くんが大好きな社員さんがいるという。 「最近その人に何か聞くたびに「左様か」って言われるようになってさ、私は『るろうに剣心』を観たんじゃないかと踏んでるんだけど、「左様か」って言われるたびに「そうでござるよ」って返してる」
(2012年9月02日)

 

僕「あした嵐来るって」
奥さん「どこに?」
僕「東京」
奥さん「全員で?」
僕「え」
(2012年4月03日)

 

ディオールの服を衝動買いしたと奥さんに告白したら、「アホか!ユニクロを着てもアニエスに見える男になりなさい!」と言われた。
(2012年2月13日)

 

Sma STATION!の月イチゴローで吾郎ちゃんがリチャード・ギアのことを「何の作品に出てもリチャード・ギアはリチャード・ギアにしか見えない」と言ってて、それを見た奥さん「キムタク批判かな?」
(2012年2月13日)

 

ユーキャンのCMを見た奥さん「向井理は今年もまだ資格取れてないのか」
(2012年01月2日)

 

初めて『家政婦のミタ』を見た奥さんが忽那汐里(長女)のことを「かわいい朝青龍」と言ってた。
(2011年12月16日)

 

頭痛に苦しんでいる奥さんがいよいよ「あがっ…あがっ…」って言い出したので駆け寄ったら「ドラゴンボールの物まね…」と言い残して目を閉じた。
(2011年12月10日)

 

保存料・合成着色料は一切使用していません、と謳うコカコーラのCMを見た奥さんが「使ってなくてあの味って逆に怖い!」と言っていて妙に納得した。
(2011年4月3日)

 

奥さん:「今さぁ、例え話で、もし結婚してたら って言いかけたよ。びっくりしたなぁ」
(2010年11月15日)

 

髪を切った。鏡の奥に映る台で、見覚えのある女性がカットしていた。よく見ると妻だった。初めて同じ時間に遭遇したようだ。ザクザク切られる彼女の前髪の向こうの眼が、鋭くこちらを凝視しているのが分かる。互いの口元がニヤリと歪む。美容師さんにばれないように歪みをそっと戻した、互いに。
(2010年7月19日)

マウスカーソルを指さす「Pointer Pointer」がヤバイ。

だいぶ前にGIGAZINEでも紹介されてたみたいですが、マウスカーソルの位置をいちいち指さす写真が出てくるサイト「Pointer Pointer」が面白い。

mouse02

どこへマウスを置いても

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指が

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追いかけてくる

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こういう

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意味不明なサイトが

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僕は好きです。

Pointer Pointer
http://www.pointerpointer.com/

『絵と言葉の一研究』

寄藤文平さんの『絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える』

本書は、アートディレクター、イラストレーターの寄藤文平氏が、「どうすれば、わかりやすく伝えられるのか」について、自分の経験とデザイン例を使って、解き明かしていったものです。

20年以上になるデザイナー歴の中で、寄藤氏が体得してきたイラストやデザインの技を自ら分析した本でもあり、彼の今後のデザインのテーマがつまっているアイデアノートでもあります。(Amazonの内容紹介より)

 

会社の後輩から借りたのですが、面白すぎて一気に読んじゃいました。

metro寄藤文平さんといえば、東京メトロのマナー広告「家でやろう。」シリーズや、『R25』の表紙キャラクター、JT「大人たばこ養成講座」でもお馴染みのアートディレクター。

均質な線と少ない色数、思わずツッコミを入れたくなるとぼけたキャラクター、それらをイヤラシサのない適度な風刺の効いたイラストにしてインフォグラフィックのように表現する人‥‥という、たぶん世間とそう変わらないイメージで「寄藤さんらしさ」を捉えていました。この本を読むまでは。

本の帯に「正直、わからなくなってきました。」と本当に正直にうろたえる著者のメッセージがありますが、ここまで正直すぎる独白を受け取ってよいものか?とこっちがうろたえるほど。絵と言葉を起こす、つまりイメージやアイデアを形に起こすプロセスが超超超克明に記録されています。これほどまでに奥底までダイブしないと表現は研ぎ澄まされないのか。

例えば第6章にある、「わかる」は「わかりやすい」とは違う、という話。

ふつうに考えて、ある物事が「わかる」とき、同時に「わからない」ことも増える。僕はデザインについて母よりもわかっているけれど、母よりも「わからない」と感じている。「わかる」というのは、「わからない」ことが生まれて、それをまた「わかる」という「わかる⇄わからない」の反復運動だと考えた方が自然だ。
 そのように考えると、「わかりやすくする」というのは「その運動をより活発にする」ことだといえる。「わかりやすく伝える」ことは、「その運動がより活発になるような伝え方をする」ということだ。
 だから、いきなり「わかった」状態にしようとしなくてもいい。「わかった」というのは運動をいったん打ち切ることだから、むしろ「わかりやすさ」の逆だ。「わからない」ほうがいいこともある。

さらに、次の一文を読んでどきっとしました。

 大量の「わかりやすさ」の中で、さらなる「わかりやすさ」を追求する。僕自身、そういう流れの中でデビューし、その求めに応えることで仕事を得てきたように思う。でも、いつのまにか、「わかりやすい」ことがそれだけで価値を持つようになった。

「わからなくても、わかりやすければいい」

 そこにあるのは「わかりやすさ」ではなくて、モノクロコピーのように単純化された水平線ではないかと思うけれど、そういう情報のほうが流通しやすい。

 おそらく、僕が引き裂かれた気持ちになったのは、元をたどっていくと、そのように「わかる」ことから「わかりやすさ」が分離しつつあるからではないかと思う。

「デザイナーを辞めようと考えていた」とまで仰るほどご自身の仕事を分析されている。その分析は僕らプランナーにも、コピーライターにも必要な視点であるように思います。

情報は「データ」と「インフォメーション」に分けられる、というお話や、1冊の本のブックデザインを30通り以上つくっていくアイデアの抽出法など、ちょっと謎解きをしているような、推理小説を読んでいるような没入感もあります。

 

数年前に『大人たばこ養成講座』のサイトリニューアルのご相談を受け、一度だけ事務所にお邪魔したことがあります。

そのとき、いかにしてあの長年続いてきたグラフィック広告をWeb上で面白くするか?の案をいくつか持参しましたが、ぜんぶ没。

理由は「文字を読んでから絵で笑わす順序になっていないからなんです」。確かに見返すとそうなってました。僕が持って行ったのは「あの寄藤さんの絵で」「なんか賑やかなことをして」「文字で補足しよう」としてた。マナー広告という目的からもちょっと逸脱してました。いま思えば。「正直、わからなく」なるほど考えを詰めきれてもいませんでした。当時の自分に読ませたい。

お正月休みの課題図書におすすめです。

新しい技術による新しい物語のつくりかた by PARTY

「THE PUBLIC」という団体によるセミナー&ワークショップ、

新しい技術による新しい物語のつくりかた by PARTY

の第3回目、川村真司さんの回に参加してきました。
というか、第1回の清水幹太さん、第2回の伊藤直樹さんの回にも出席しているのですが、Blogにアップするのは初めてです。なんとなく。思い立って。

広告、映像、インタラクティブ、エンターテイメント、サイネージなど、あらゆる表現を対象とし、クリエイティブシーンの最先端で活躍するPARTYを講師として、各回、PARTYのメンバーの一名が講師となり、実際に携わっている事例を紹介しながら、実践的なクリエイティブの現場に触れます。(サイトより引用)

川村さんと川村さんのお仕事について、詳しくはこちら

例によって現場でタイプしたメモを元に再構成します。読みやすいように口語調にリライトしていますが正確ではありません。

 

本日のテーマ「作り方から作る」

川村さん:最初、博報堂で3年間CMプランナーをやってました。CM制作も会社もとても楽しかったんですが、当時はCMプランナー=CMというジャンルに活動の幅が制限されてました。今はもっと幅広いと思いますけどね。

で、次第にもっとインテグレーテッドキャンペーン、360度的なアプローチがしたくなって、その思いが強くなり、BBH(イギリスのクリエイティブエージェンシー)へ移りました。日本オフィスの立ち上げを手伝い、シンガポールやロンドンを渡り歩きました。そしてロンドンにいるときに180(オランダのエージェンシー)へ。100人くらいの規模でグローバルなインテグレーテッドキャンペーンをやっている会社でした。しかも、ロンドンでもNYでもなくアムステルダムから。とても刺激的でしたが、ここも3年で辞めました。

思い返せば各社を3年周期で転職してきました。分かったことが1つあって、どこの会社も違うカルチャーを持ってはいますが、仕事の進め方は一緒。要は、大事なのは人とフットワークの軽さなんだなと。そして2011年にクリエイティブラボ・PARTYを設立しました。

 

PARTYだと、非広告、ブランドコミュニケーションも仕事にできます(領域に制限がない)。メインの哲学、行動指針は「クリエイティブ・ラボ」。もっと自由に、実験しながら進められる場にしたいという思いからそう名乗っています。

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コピーの今とこれから_3/3

TCC(東京コピーライターズクラブ)50周年特別企画のトークショー、『コピーの今とこれから』レポート、最終回です。

 

udon谷山さん:今年、「うどん県」っていう言葉が流行語大賞にノミネートされたんですね。でもTCCの新人賞には入らなかった。1票差で落ちちゃったんですよ。おそらく、「うどん県」って上手っぽくないんですね。テクニカルじゃないというか。でも世の中に広がったんですよね。

秋山さん:あれだけ見るとピンとこない。現象として見ないと。レディー・カガの方がまだピンとくるね。

谷山さん:レディー・カガも新人賞に落ちたんです。

秋山さん:あれも入ってないの?

谷山さん:入ってないです。

佐々木さん:うどん県とレディー・カガを落としたのは今年のTCCの汚点‥‥。

谷山さん:そこまで言いますか(笑)

佐々木さん:まちがいなくヒットしたし、話題になりましたからね。今後はいろんな県が「うちもうどん県みたいなのやろうよ」とか言うのが容易に想像できますし。だから来年に敗者復活賞をあげるとか。

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コピーの今とこれから_2/3

TCC(東京コピーライターズクラブ)50周年特別企画のトークショー、
『コピーの今とこれから』。レポート、2/3です(初回はこちら)。

クリエイティブディレクター・佐々木宏さんの

「1992年のJR東日本「その先の日本へ。」はCMのど真ん中にある言葉が企画にもなっていると思えた。CMをキャッチフレーズで思い出す」

というお話のつづきから。

 

佐々木さん:「祝!九州」も「MY FIRST AOMORI」も、CMの題名にはなっているけどキャッチフレーズにはなっていないな、っていう。その差は大きいと思います。そこはCMプランナーとコピーライターの確執っていうかね(笑)。これはあんまり言いたくないけど言う流れになったんで言いますけど‥‥。

秋山さん:(笑)

佐々木さん:きっと亡くなられた眞木準さんも同感だと言ってくれると思うんですが‥‥「その先の日本へ。」は、コピーライターの秋山さんが受賞されて、もちろんプランナーも受賞したんですが、眞木準さんがコピーを書いた「東北大陸から」というキャンペーンは、眞木準さんは受賞されなかったんですよね。

佐々木さん:で、その年に岡(康道)くんが獲った2つのCMの2つともコピーは僕が書いたんですけど、僕も受賞しなかったんですよ。

谷山さん:眞木さんのことを言いつつ自分の恨み節じゃないですか(笑)

佐々木さん:いやいや眞木さんも同感だと思ってるはずなんで一応。ま、ほんとに大変なのはCMプランナーで、一行書いたくらいでもらうのは申し訳ないよな、っていう風に納得もしているんですけど、ただ、そんな感じで(スポットを当てる対象が)曖昧になってきたのが一時期のTCCだったんですね。こういうことを露骨に言うのは僕くらいなんですけど。

谷山さん:(笑)

boss佐々木さん:僕、サントリーBOSSの「宇宙人ジョーンズ」のCDもやってるんですけど、今から7年半くらい前に福里(真一)くんにCMプランナーになってもらって、グラフィックの方は(コピーライターの)照井(晶博)くんに入ってもらって。そのときに福里くんがCMのコンテに書いたのが「このすばらしき、ろくでもない世界」というコピーで、すごくいい!と思ったんですね。で、「照井、わるい!こっちで行かせてくれ」と連絡したんです。そしたら照井くんから「それでいいですけど逆さまにした方がいいです」って返事が来て。「ろくでもない世界」だと後味がよくないってことで「このろくでもない、すばらしき世界」になっていたんです。もちろんこの方が全然いいなと。なのでクレジットが出るときは2人の連名になっているんです。それはすごくいいことなんですけど、「宇宙人ジョーンズ」が賞を獲ったときには照井くんは受賞しなかったんですね。逆さまにしたってのはすごく大きなことなんですけど。そういう、ま、ちょっと世知辛い話ですけど、個人的には(賞が)もらえるかもらえないかってのは大事なことで。

谷山さん:(笑)

佐々木さん:毎年TCC賞は欲しいんですね。でもそろそろこの歳になってきたらアナタはもういいでしょう、と言われる。じゃあ何十年も先輩の秋山さんはどうなんだっていう(笑)

谷山さん:それで言うと、僕も澤本(嘉光)さんとやった「ガス・パッ・チョ!」は、僕、受賞してないですよ。

佐々木さん:あるよね。TSUBAKIも「あれは大貫(卓也)さんの仕事なんじゃないの?」とかさ(笑)。大物に持ってかれるというか。新潮文庫の「Yonda?」も獲ってないよね?

谷山さん:獲ってないです。

秋山さん:頭よすぎんじゃないの?

谷山さん:そんなことないです!僕は大貫さんの参謀みたいな役回りが好きなんです。

佐々木さん:その「ガス・パッ・チョ!」のCMプランナーだった澤本は、あるときから「CMの中にタグラインがきちっとあって、その言葉を元にCMが組み上げられているとすごく気持ちがいい」ってことを言い出したんですね。キャッチフレーズを大事にし出したんです。

彼がソフトバンク(の犬のお父さんシリーズ)をやる前にKDDIを僕と一緒にやってて、そのときに彼がマンガみたいなコンテの中に小さく「伝わってる?」って書いてたんです。

佐々木さん:それは通信業界の言葉が氾濫する中で「Just Do It」くらいに実に見事な言葉だと思って、この言葉がすごくいい!って僕は騒いでたんですね。この言葉自体を「すごく機能した言葉だよね」ってTCCは褒めてもいいんじゃないか?と思ったんですけど。

谷山さん:ちなみに、「ガス・パッ・チョ!」を書いたときは澤本さんに「くうねるあそぶ」みたいなコピーを書いてくださいって言われたんですけど、「くうねるあそぶ」みたいなコピーってよくわからないし僕には書けないので「ガス・パッ・チョ!」になったんです。

佐々木さん:日産セフィーロの「くうねるあそぶ」は糸井さんの名作コピーですけど、でも実はあのCMは井上陽水さんが窓を開けて「お元気ですかぁ?失礼しまーす」って言って、それがすごく話題になったんですよ。つまり「くうねるあそぶ」と「お元気ですかぁ?」の合わせ技ですけど、TCC的には「お元気ですかぁ?」に賞を与えるということにはならなかった。だからこれからは、CMのタグラインとCMの中にある言葉の両方を褒めるようになっていったらいいなと。

秋山さん:「くうねるあそぶ」は、何でいいと思った?食う、寝る、遊ぶ。じゃなくて。

谷山さん:句読点がないんですよね。

秋山さん:味もないんですよ。一行でぱっと書かれていて。最初に見たとき、これはすごいなと思った。やっぱり糸井さんはすごいんだよね。きめ細かい。

谷山さん:糸井さんが言ってたのが、「くうねるあそぶ?あ、食う、寝る、遊ぶか!」と、受け手の頭に汗をかかせることで記憶に残させる、と。

 

佐々木さん:僕は「ガス・パッ・チョ!」について話したいんだけど(笑)、最近思うのが、やっぱりライバルが大事って思うんですよ。いまは状況が違うけど、当時は東京電力のオール電化にするか、ガスにするか、っていうね。東電の「SWITCH!」と「ガス・パッ・チョ!」の両方があるというね。そこで面白い表現が生まれてくる。(※ナイキとアディダスもそうだなと思いました)

佐々木さん:それでいうと昔の資生堂とカネボウの夏の対決とかね。小野田隆雄さんが書かれた資生堂の「夏ダカラ、コウナッタ。」とか。

谷山さん:はい。

佐々木さん:その年のカネボウが何だったかは覚えていないんですが、夏の一大バトルだったわけですよ。そういう、ライバルがいる中で、この言葉を流行らせてやろう!とか、売りだそう!とか、わざとらしいくらいやってもいいんじゃないか?と思ってるんですね。そうじゃなくて九州新幹線みたいな感動的なものばかりが獲ると、それはもうクライアントが偉いんじゃないか?とか、九州が偉いんじゃないか?とか思えてくるんです。

 

つづきます!次回、ラスト

コピーの今とこれから_1/3

TCC(東京コピーライターズクラブ)50周年特別企画のトークショー、
『コピーの今とこれから』に行ってきました。

12月15日(土) 開場14:00 開演14:30-16:00
テーマ:『TCC50周年特別企画 コピーの今とこれから』
秋山晶氏(TCC賞/ライトパブリシティ)
佐々木宏氏(TCC賞/シンガタ)
司会:谷山雅計氏(谷山広告)

今年50周年をむかえるTCCの歴史をふり返りながら、
コピーの今とこれからをざっくばらんに語り合っていただきます。
ここでしか揃わない超豪華パネラーの競演をぜひ。

TCC公式サイトより)

いまさらこのお三方についてここでご紹介するまでもないですが、一応うちの親のために書いておくと、司会の谷山さんは新潮文庫の『Yonda?』や東京ガス『ガス・パッ・チョ!』、資生堂TSUBAKI、佐々木さんは『TOYOTA ReBORN』やソフトバンクの犬のお父さんシリーズ、『そうだ 京都、行こう。』、秋山さんはキリン ラガービールの『人は、人を思う。』やキユーピーの広告など(もっとあるけど乱暴に割愛!)を手がける、そうそうたる面々。

壇上に古めかしいモノクロテレビが鎮座しており、そこに50年分の日本の広告(CM)が流れるという趣向だったらしいですが、砂嵐しか映らなくなったらしく‥‥そんな機材トラブルに見舞われつつスタート。審査員ならではの本音が飛び交うトークショーでした。

※会場で速記しましたが、きっとここだけの話も多分にあるだろうなと思い、一部、僕の判断で割愛しています。

 

谷山さん:今日はよろしくお願いします。秋山さんは50周年の1期目の新人賞でしたっけ?ですよね?佐々木さんが1986年の新人賞、僕が87年の新人賞ですよね。

佐々木さん:いや〜、谷山くんの司会がキッチリしすぎてるから、どうも僕はそういうのを壊したいタチで(会場 笑)。ちょっとこのテレビどけてもいい?(笑)

秋山さんそこに美人が居るのに見えないよね
(昭和のテレビいきなり退場)

 

Q:おふたりがもっとも「いま」を感じたコピー・広告は何か?

佐々木さん:僕の(コピーの)代表作といえばすぐ『ダメ、ゼッタイ。』っていう麻薬撲滅運動のコピーが取り上げられて。なんと20年以上使われているんですけど、これといった賞も獲れず、TCCからも無視され(笑)、しかものりピーも出てたっていうね(会場 笑)。

僕はTCCが好きでずっと関わってきたんですけど、ある時期からわかんなくなってきたんですね。僕もCMプランナーで受賞してきた仕事もあるんですけど、2000年代からTCCもCM作品が獲るようになって、「どの言葉がいいか?」っていうことじゃなくて、いつしか大キャンペーンが受賞するようになった。それだとACCとかADCとかと変わらないね、という思いがTCCの中にあった時期もあったんですよ。言葉よりもコマーシャル、キャンペーンにスポットの当たりがちな時代がつづいた。コピーにスポットを当てようという動きもこれまであったけど、かといって、わざわざキャンペーン系を外して「ひっそりしたコピーを探そう」というのも極端でおかしな話で、そんな感じでTCCがちょっと迷った時期があったんですね。でも審査委員長の仲畑さんが「今年、コピー イケるんじゃないか!」と元気に言い出してね。それで、僕も「コピーって、コピーライターって、いいんじゃないか?」とまた思いだして。スギちゃんの「ワイルドだぜぇ?」よりも世の中に広まる言葉をコピーライターが送り出さなきゃ、って。

で、今年?よかったコピーって、そんなになかった(笑)。まずはじめに言いますと、磯島(拓矢)くんと東畑(幸多)くん、グランプリおめでとうございます。九州キャンペーンはぶっちぎりでグランプリを獲って、よかったけど、どれがコピー?っていう思いもあって。まさか「祝!九州」ってのがコピーとして獲ったんじゃないよなぁ?とか思う。キャンペーンでグランプリを獲るのは今年の九州新幹線までで、来年からは「このコピーで獲ったな」ってのがわかるようにしたい。このキャンペーンがもたらした素晴らしい偉業というのはあって、逆にこれがグランプリじゃなかったらおかしかったんですけど、ただ、言葉はどこにあるの?っていう。来年は「このコピーで獲ったんだな!」と思えるものが出るように、言葉を探す先頭に立ちたいなと思います。


2012年度TCC賞 グランプリ「九州新幹線全線開業」シリーズ

 

谷山さん:ちなみに来年のTCC審査員長は佐々木さんがされるんですよ。なので今のは佐々木さんの所信表明といいますか(笑)。秋山さんはいかがでした?

秋山さん:今年のTCCは楽しかったですよ。来年の審査員長に逆らうようだけど、九州新幹線のあの中にも、立派なコピー沢山ありましたよ。それは、「カメラは進行方向の左側にあります」というコピーは、いいコピーです(※九州の人々にCM撮影当日にエキストラとして参加してもらうための予告CM。「カメラは進行方向、向かって左側。左側から手を振ろう」と呼びかけていた)。あとは、磯島さんの、旭化成のヘーベルハウスで「緑はなくても、風は吹く」もよかったですね。両方ともすごく心が動きましたね。プラスの方に

http://youtu.be/yPj88zyf1JY
秋山さん:最高新人賞を獲った、ラジオのやつもよかった。

(クルマ用ファブリーズ-「でも、クサいヨ」)

秋山さん:通勤途中にJ-waveで聞いたんだけど、新しいと思った。まっすぐに届かせるよりも斜めから弾が来たっていうのは今風ですね。シニカルで、文化を感じました。この2つですね。

佐々木さん:秋山さんの話を聞いて、僕もいいと思いました(笑)

谷山さん:僕は、「緑はなくても、風は吹く」はすごくいいコピーだと思ったんですが、「カメラは進行方向の左側にあります」ってのはすっかり忘れてました。

秋山さん:あれは、ぶんなぐられましたよ。

佐々木さん:蛇足かもしれませんけど、じつはこの前年のTCCグランプリは青森の東北新幹線で高崎(卓馬)さんと一倉(宏)さんが獲りましたね。これもぶっちぎりで一等賞でしたね。これは一倉さんの「MY FIRST AOMORI」でしたよね。これも「祝!九州」といっしょで、キャッチフレーズはどれだ?って探すと「MY FIRST AOMORI」なんだけど、でも一倉さんってすばらしい名コピーを沢山書かれていて、そのお仕事の中で「MY FIRST AOMORI」がいちばんよかったか?というと、どうかな?と。一倉さんも照れてたんですけど。でも、秋山さんが『ブレーン』で書かれていたことが興味深くて。CMの中で吉幾三さん扮する地元の駅員さんが、三浦春馬さん演じる東京もんの新人駅員のことを「東京!」って呼ぶんですよね。あれがよかったって書かれていて、同感!って思ったんですね。あれは審査員の中にもずっと引っかかっていたんですよね。だからコピーって必ずしもキャッチフレーズだけってことじゃなくて。

 

谷山さん:おふたりが印象に残っているコピーって、CM全体の中の一部分を取り上げられていて。キャッチじゃなくて。かつてなら「男は黙ってサッポロビール」(※秋山さんの名コピー)とか、そういうのが真ん中にあったんですけど、いまはコピーが見えづらくなっているんでしょうか?

佐々木さん:コピーってグラフィックの中心にあったり、商品のことを言い当てていたり、世の中の提言だったりした時代があったけど、それが当たり前になって。そのなかでTCCは「タグラインが上手いか下手か」だけにこだわっていた時期もあったと思うんですよ。でも、同じ新幹線でも秋山さんがやられた「その先の日本へ」(1992年)は「その先の日本へ」というキャッチで思い出すんです。(※これは僕も同感!当時12歳でしたがあの“読後感”はCMが流れていた金曜ロードーショーとともに覚えています)

http://youtu.be/FgPQhg2I8rI

佐々木さんCMのど真ん中にある言葉が企画にもなっていると思えたんです。読むか読まないか?ってのも大きくて、椎名誠さんのナレーションで「その先の日本へ。JR東日本がお連れします」って言っているかどうか、っていうことかもしれないですけど。あの声がゾクッとくるし、あの言葉がかなり真ん中にあったなっていう気がするんですよね。

つづきはこちら

学ぶとは、自分が感動すること。

8月に転職して、後輩ができました。
後輩?入社の年次からいえば先輩か。でも先輩は新卒なので、後輩です。

で、その後輩が部下につくというのが僕にとっては初めてで、企画のこと、インタラクティブのこと、コピーのこと、映像のこと、プレゼンのことなんかを、仕事を通じて自分なりに伝授する日々です。

相手は歳(とし)が9つもちがう平成生まれの女性なので、逆にネットでの流行りもののことや、彼女の好きなももクロのこと、モノノフのこと、しおりんのことなんかを教わっています。数年間くわず嫌いで通していたももクロにここまでハマるとは・・・・という話はまた今度。

 

以前の会社では、5年間、愛あるスパルタ上司にみっちり鍛えられました。スパルタ過ぎてひーひー言ってたけど、そこで教わったことにはこんな意味があったのか!と、教える(というか伝える)側に立って今さら気づかされます。とあるコピーライターの方が、宣伝会議の講義前に「講義って講師がいちばん元を取ってるんだよね」とツイートされてましたが、まさにそんな心境。

「学ぶとは、自分が感動すること。
 教えるとは、自分の姿勢を見せること。」

かつて通っていた、中村禎さんのコピーライター養成講座(通称 中村組)で受け取ったこの言葉をまた実感しています。「教えるとは、自分の姿勢を見せること。」ができてるのか?と自問自答したり、変な姿勢でいてもそれを「教えて」しまうんだなぁと恐怖したり。

なんと、後輩も今月から10代目中村組に通い始めました。

外でいっぱい感動してほしい。
そのために何かにどっぷり没入してくれたら、もう僕は小手先のテクニックだけを教えてお役御免です。大事なことは師匠が教えてくれるから。その代わり、もっとももクロの動画をシェアしてください、モノノフの先輩。