2012年12月の『ほぼ日刊イトイ新聞』に載っていた「今日のダーリン」がとても印象的で、メモっていました。蔵出し。
昔、広告代理店の、「すっごく優秀」だと、
よく人に言われている営業マンに聞いたことがあります。
「いい営業って‥‥営業の極意ってあるんですか?」
そうしたら、その人は、迷わずに答えましたよ。
「とにかく、いることだと思います」
はぁ‥‥とにかくいる?
「誰でも、用事って、大事であろうがなかろうが、
そこにいる人に頼むものなんです。
いつでもそこにいるやつになれば、
やっぱり仕事を頼んでもらえるんですよね」
じぶんの能力のおかげじゃないというわけです。
誰でもできることをしているんだと、言ってます。
でも、これはうそや冗談じゃないと、つくづく思います。
「とにかく、そこにいる」
おもしろい相談が持ち上がっている場所に、いる。
困ったなぁとうんうん苦しんでいる場所にも、いる。
誰かと誰かが出会って、なにか起こりそうな場にいる。
孤独でさみしいような場面にも、そっといる。
いい考えが浮かんだ場所にも、聞いている立場でいる。
手が足りない場所には、もちろんいる。
いたら、なんでも頼みます。
頼んだことをやってくれたら、信頼が生まれます。
困った場面にいてくれたら、ありがたいと思われます。
そういうことを無数にくり返していると、
「いい仕事だから、あいつにやらせよう」となります。
それが、「営業の極意」なのだと、
言った営業マンのことを、ぼくは
すごいもんだなぁと思ったものでした。
「そんなに相手の都合に寄り添っていて、いいのか?」
と、思われるのかもしれませんが、
スポーツの選手が必死の練習をしているのと比べたら、
「とにかく、そこにいる」ということを、
本気で実行している人がいても、おかしくはありません。
これ、実際にやり続けるのは、簡単じゃないものです。
そして、やり続けては少しずつ期待に応えていたら、
いつのまにか、いろいろできるようになってますよね。今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
毎日届けていれば、いつか、あなたにも会えているものね。
逆のことがすぐ問題化されることくらいは、わかります。
「困ったときに、いない」
最悪ですね。
でも、その最悪を僕らは・・・・って一般化しちゃいけませんね。僕は、やりがちだったりすると思うんです。僕の場合は、不在だとすればももクロのライヴに出かけちゃってるときでしょうか。人生の優先事項がそうなっているので。だからこそ「困ったとき」が起きないように、その芽を摘んでおく努力を惜しみません。
自分の作業や人への指示は完璧に終えておくこと。
不在になる時間帯をあらかじめ予告しておくこと。
何か問題が起きたときの対処法を伝えておくこと。
どうしてもヤバいときには戻る覚悟を決めること。
糸井さんの話はそんな小粒な話じゃなくて「とにかく、いる」ことの非凡さと、その先にある大きな信頼感を書いてくれていて、不器用な自分にとっては勇気のわく話だったりします。
いたら、なんでも頼みます。
頼んだことをやってくれたら、信頼が生まれます。
困った場面にいてくれたら、ありがたいと思われます。
そういうことを無数にくり返していると、
「いい仕事だから、あいつにやらせよう」となります。
昔、自分やデザイナーさんが土日に出社しているときに、作業のないディレクターさんまで会社に出てきていることが不思議でした。
「○○さん、今日は用事ないですよね?」
「うん、いいのいいの」
その人は平日に自分の作業を終えているので、タクシー精算をしたり、本を読んだり、ネットサーフィンしたり。
ふとした時に、その人に声をかけていたことを忘れていました。
「○○さん、これってどうしたらいいと思います?」
もちろん、チームの仲間なのですぐ相談に乗ってくれます。
あれは、いてくれてたんだ。
そんなことを、転職してから自分もディレクターの立場になって知ることとなり、常に誰かが土日に作業の時は自分も出社するってわけじゃないけれど、「とにかく、そこにいる」を実行しよう!と決めて、現場にいるようにすることが増えたのは事実です。