兄弟

弟と喧嘩した。

京都と東京。
電話。
はじめは何でもない会話。
些細なことで口論。
徐々にヒートアップ。
遠慮のない罵詈雑言の応酬。
近所迷惑なボリュームで。

言ってはいけないこと。

 

たぶん、同じタイミングだったと思います。
胸の詰まる瞬間があって、ぼろぼろと涙が
こぼれだして、嗚咽する弟の声を電話越しに
聞いて完全に感情の箍(たが)がゆるんでしまい。

「兄弟ゲンカで泣くなんて、これじゃ
 5歳と10歳の頃と変わらんやん」

そう言われて、パスをもらったような気がして、
ごめんと言いました。いやほんと、申し訳ない。
たぶん初めて、泣きながら謝りました。
彼女が出張中でほんとよかった。

 

兄弟って何だろう。

まさか29にもなって、来年30になるのに、
兄弟ゲンカで泣くとは思いもしなかった。

お互い、遠慮がないからキレやすい。
大人になっても永遠に弟だから子ども扱いしてしまう。

 

薄っぺらな関係じゃないことは確かだけど、
仲が良いというほどでもない、悪くもない。
趣味が合うところもあるが、合わないことの方が多い。
共通の思い出は恋人以上に多いけれど、振り返ったりしない。
薄っぺらな関係じゃないことは確かだけど。

 

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ひさしぶりに泣いて疲れました。
6年前の日記を引っ張り出して反省。


投稿者: tacrow

伊藤 拓郎 / Takuro ITO (April 12, 1980~) 2006年 武蔵野美術大学 造形学部映像学科卒業。デジタル系広告制作会社を経て、2017年〜広告会社にてデジタル・プランナー/コミュニケーション・プランナー職