現在開催中のカンヌライオンズ2013のプロモ&アクティベーション部門のグランプリに、ブラジルの臓器ドナー登録を促すキャンペーンが選ばれました。AgencyはOgilvy BrasilとSao Paulo。
審査員の野添剛士さんによるレポ。
死後に臓器提供することへの家族の精神的ハードルというとてつもなく大きな課題に対して、「自分の愛するサッカーチームのファンを増やすためならオレはドナーになるぜ!」という宣言をチームのファンカードにつける。という、とてつもなくシンプルで、世界中で展開可能なアイデアで実現した仕事です。(中略)これがこの記念すべき年のカンヌで世界に知られることで、本当に少し世界を変えられるんじゃないか。そんなことを信じて選んだグランプリです。
![『immortal fans』不死のファン、永遠のファン。](http://tacrow.files.wordpress.com/2013/06/immortal_fans06.jpg?w=300)
同じチームを応援するファンの間でドナーカードを作る。それは臓器だけでなく魂をバトンするためのドナーカードになる。日本にも「臓器提供意思表示カード」がありますが、そこにこんな熱い意味を込めるなんて、熱狂的なサッカー大国ブラジルらしい施策かもしれません。
![51,000人以上がオリジナルのドナーカードを求めた。](http://tacrow.files.wordpress.com/2013/06/immortal_fans07.jpg)
![それがコレ。](http://tacrow.files.wordpress.com/2013/06/immortal_fans01.jpg)
![臓器移植の年間件数も増加。](http://tacrow.files.wordpress.com/2013/06/immortal_fans04.jpg)
![初めて、角膜移植の待機リストが1,047人からゼロに!](http://tacrow.files.wordpress.com/2013/06/immortal_fans02.jpg)
スポーツの力を、選手やチームではなくサポーターが軸になって別の価値に転用する。「俺が死んでも俺の心臓でお前はチームを応援してくれよな!」と誇らしげに語るファンの姿が目に浮かびます。まさに不死のファン。さながらハッピーなレッドカード。
ファンの結束力をドナー登録に結びつけたこの施策、素晴らしいと思いました。