TCC(東京コピーライターズクラブ)50周年特別企画のトークショー、
『コピーの今とこれから』に行ってきました。
12月15日(土) 開場14:00 開演14:30-16:00
テーマ:『TCC50周年特別企画 コピーの今とこれから』
秋山晶氏(TCC賞/ライトパブリシティ)
佐々木宏氏(TCC賞/シンガタ)
司会:谷山雅計氏(谷山広告)
今年50周年をむかえるTCCの歴史をふり返りながら、
コピーの今とこれからをざっくばらんに語り合っていただきます。
ここでしか揃わない超豪華パネラーの競演をぜひ。
(TCC公式サイト より)
いまさらこのお三方についてここでご紹介するまでもないですが、一応うちの親のために書いておくと、司会の谷山さんは新潮文庫の『Yonda?』や東京ガス『ガス・パッ・チョ!』、資生堂TSUBAKI、佐々木さんは『TOYOTA ReBORN』やソフトバンクの犬のお父さんシリーズ、『そうだ 京都、行こう。』、秋山さんはキリン ラガービールの『人は、人を思う。』やキユーピーの広告など(もっとあるけど乱暴に割愛!)を手がける、そうそうたる面々。
壇上に古めかしいモノクロテレビが鎮座しており、そこに50年分の日本の広告(CM)が流れるという趣向だったらしいですが、砂嵐しか映らなくなったらしく‥‥そんな機材トラブルに見舞われつつスタート。審査員ならではの本音が飛び交うトークショーでした。
※会場で速記しましたが、きっとここだけの話も多分にあるだろうなと思い、一部、僕の判断で割愛しています。
谷山さん :今日はよろしくお願いします。秋山さんは50周年の1期目の新人賞でしたっけ?ですよね?佐々木さんが1986年の新人賞、僕が87年の新人賞ですよね。
佐々木さん :いや〜、谷山くんの司会がキッチリしすぎてるから、どうも僕はそういうのを壊したいタチで(会場 笑)。ちょっとこのテレビどけてもいい?(笑)
秋山さん :そこに美人が居るのに見えないよね 。
(昭和のテレビいきなり退場)
Q:おふたりがもっとも「いま」を感じたコピー・広告は何か?
佐々木さん :僕の(コピーの)代表作といえばすぐ『ダメ、ゼッタイ。』 っていう麻薬撲滅運動のコピーが取り上げられて。なんと20年以上使われているんですけど、これといった賞も獲れず、TCCからも無視され(笑)、しかものりピーも出てたっていうね (会場 笑)。
僕はTCCが好きでずっと関わってきたんですけど、ある時期からわかんなくなってきたんですね。僕もCMプランナーで受賞してきた仕事もあるんですけど、2000年代からTCCもCM作品が獲るようになって、「どの言葉がいいか?」っていうことじゃなくて、いつしか大キャンペーンが受賞するようになった。それだとACCとかADCとかと変わらないね、という思いがTCCの中にあった時期もあったんですよ。言葉よりもコマーシャル、キャンペーンにスポットの当たりがちな時代がつづいた。 コピーにスポットを当てようという動きもこれまであったけど、かといって、わざわざキャンペーン系を外して「ひっそりしたコピーを探そう」というのも極端でおかしな話で、そんな感じでTCCがちょっと迷った時期があったんですね。でも審査委員長の仲畑さん が「今年、コピー イケるんじゃないか!」と元気に言い出してね。それで、僕も「コピーって、コピーライターって、いいんじゃないか?」とまた思いだして。スギちゃんの「ワイルドだぜぇ?」よりも世の中に広まる言葉をコピーライターが送り出さなきゃ、って。
で、今年?よかったコピーって、そんなになかった(笑)。まずはじめに言いますと、磯島(拓矢)くんと東畑(幸多)くん、グランプリ おめでとうございます。九州キャンペーンはぶっちぎりでグランプリを獲って、よかったけど、どれがコピー?っていう思いもあって。まさか「祝!九州」ってのがコピーとして獲ったんじゃないよなぁ?とか思う。キャンペーンでグランプリを獲るのは今年の九州新幹線までで、来年からは「このコピーで獲ったな」ってのがわかるようにしたい 。このキャンペーンがもたらした素晴らしい偉業というのはあって、逆にこれがグランプリじゃなかったらおかしかったんですけど、ただ、言葉はどこにあるの?っていう。来年は「このコピーで獲ったんだな!」と思えるものが出るように、言葉を探す先頭に立ちたいなと思います。
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2012年度TCC賞 グランプリ「九州新幹線全線開業」シリーズ
谷山さん :ちなみに来年のTCC審査員長は佐々木さんがされるんですよ。なので今のは佐々木さんの所信表明といいますか(笑)。秋山さんはいかがでした?
秋山さん :今年のTCCは楽しかったですよ。来年の審査員長に逆らうようだけど、九州新幹線のあの中にも、立派なコピー沢山ありましたよ。それは、「カメラは進行方向の左側にあります」というコピーは、いいコピーです(※九州の人々にCM撮影当日にエキストラとして参加してもらうための予告CM。「カメラは進行方向、向かって左側。左側から手を振ろう」と呼びかけていた)。あとは、磯島さんの、旭化成のヘーベルハウスで「緑はなくても、風は吹く」もよかったですね。両方ともすごく心が動きましたね。プラスの方に 。
http://youtu.be/yPj88zyf1JY
秋山さん :最高新人賞を獲った、ラジオのやつもよかった。
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(クルマ用ファブリーズ-「でも、クサいヨ」)
秋山さん :通勤途中にJ-waveで聞いたんだけど、新しいと思った。まっすぐに届かせるよりも斜めから弾が来たっていうのは今風ですね。シニカルで、文化を感じました。 この2つですね。
佐々木さん :秋山さんの話を聞いて、僕もいいと思いました(笑)
谷山さん :僕は、「緑はなくても、風は吹く」はすごくいいコピーだと思ったんですが、「カメラは進行方向の左側にあります」ってのはすっかり忘れてました。
秋山さん :あれは、ぶんなぐられましたよ。
佐々木さん :蛇足かもしれませんけど、じつはこの前年のTCCグランプリは青森の東北新幹線で高崎(卓馬)さんと一倉(宏)さんが獲りましたね。これもぶっちぎりで一等賞でしたね。これは一倉さんの「MY FIRST AOMORI」でしたよね。これも「祝!九州」といっしょで、キャッチフレーズはどれだ?って探すと「MY FIRST AOMORI」なんだけど、でも一倉さんってすばらしい名コピーを沢山書かれていて、そのお仕事の中で「MY FIRST AOMORI」がいちばんよかったか?というと、どうかな?と。一倉さんも照れてたんですけど。でも、秋山さんが『ブレーン』で書かれていたことが興味深くて。CMの中で吉幾三さん扮する地元の駅員さんが、三浦春馬さん演じる東京もんの新人駅員のことを「東京!」って呼ぶ んですよね。あれがよかったって書かれていて、同感!って思ったんですね。あれは審査員の中にもずっと引っかかっていたんですよね。だからコピーって必ずしもキャッチフレーズだけってことじゃなくて。
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谷山さん :おふたりが印象に残っているコピーって、CM全体の中の一部分を取り上げられていて。キャッチじゃなくて。かつてなら「男は黙ってサッポロビール」(※秋山さんの名コピー)とか、そういうのが真ん中にあったんですけど、いまはコピーが見えづらくなっているんでしょうか?
佐々木さん :コピーってグラフィックの中心にあったり、商品のことを言い当てていたり、世の中の提言だったりした時代があったけど、それが当たり前になって。そのなかでTCCは「タグラインが上手いか下手か」だけにこだわっていた 時期もあったと思うんですよ。でも、同じ新幹線でも秋山さんがやられた「その先の日本へ」(1992年)は「その先の日本へ」というキャッチで思い出すんです。(※これは僕も同感!当時12歳でしたがあの“読後感”はCMが流れていた金曜ロードーショーとともに覚えています)
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http://youtu.be/FgPQhg2I8rI
佐々木さん :CMのど真ん中にある言葉が企画にもなっている と思えたんです。読むか読まないか?ってのも大きくて、椎名誠さんのナレーションで「その先の日本へ。JR東日本がお連れします」って言っているかどうか、っていうことかもしれないですけど。あの声がゾクッとくるし、あの言葉がかなり真ん中にあったなっていう気がするんですよね。
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